追憶

思い返せばいくつかの兆し　春めく街　過度に曇る記憶
いつも通りの私の勘違い　戸惑う顔に　あなたは笑って

事実知れば涙さえ出ない　嗚呼

当たり前のように思えてた幸せ今更手繰り寄せて
抱きしめても言い出せない儘　隠して告げた然様なら
もう二度と来る事のない幸せ　縋る前に離れて
朝が来る迄　只震えてる　私が私じゃなくなる

止まない着信　今はまだ判る
優しいあなたはもしも真実を知ってしまえば離れないでしょう

だから誰よりも大切なあなたへ伝える理由は無くて
傷つけても重荷にならずに気付かれないよう消えたい
あなたにつく最初で最後の嘘　別れの意味全てを
伝えられない弱い私を直ぐに忘れてほしい

笑顔の写真飾った部屋
くれた指輪が外せない
ねえ忘れたくない　ねえ忘れたくない
「どうしてわたしはここにいるの?」

堰を切ったように溢れ出す涙が記憶を押し流した
迎えた朝握った刃の理由を誰か教えて
白い壁に貼られた写真の中　二人は幸せそうで
ドアを開いて抱きしめてくれた人はどうして泣いているの?