辿り着いた 西海(さいかい)の 際(きわ)に
泪(なだ)の玉 きらきら 舞う
不埒(ふらち)の果て 契(ちぎ)りたる 男(ひと)は
諍(いさか)う 間も無く 影も無し

見つめられたら 直ぐに 零れてしまう
移り気な 此の身 なればこそ
抱き寄せて 繋ぎ止めて

躍れ 先の旦(だん) 巡り廻りて 彼(あ)の 前夫(ひと)の番
彼是(あれこれ) すべてを 水に 投(な)いで 私を 肯(うべな)え
千里眼 あらば 馳せて 私の許
夜な夜な 首伸ばし 迎えに来る 夢を見る

板に付いた 独り寝の 傍に 借り取りの 猫が 侍(はべ)る
詮無きとて 選り屑と 縒(よ)りを
戻して 遣(や)る 他 如(し)くは無し

求められたら 直ぐに 蹌踉(よろ)けてしまう
不身持ちの 女 だからこそ
盗らるるは 貴方の罪

躍れ 先の旦(だん) 巡り廻りて 彼(あ)の
前夫(ひと)の番
彼是(あれこれ) すべてを 水に 投(な)いで 私を 肯(うべな)え
千里眼 あらば 馳せて 私の許
夜な夜な 首伸ばし 迎えに来る 夢を見る

間抜け面した 優しい前夫(おとこ)
未練のあらば 兎も角 御出(おい)で

躍れ 先の旦(だん) 今や 懐かし 彼(あ)の 飛頭蛮
彼此(かれこれ) すべてを 蜜に 化(け)して 解ったら 疾く
審美眼 あらば 染めて 私の事
又候(またぞろ) 過(あやま)てど 奪って逃げる 男(ひと)が好(い)い

待ち草臥れて 伸びきる 首よ


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