ASAGI/斑

冬椿 〜白妙の化人〜

ASAGI


word: 浅葱 music: 浅葱

『斑』収録

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  • 春やは遠き 夜半の徒路(かちじ)降り積む雪は深々と染む

    行方も知らぬただ身すがらの私めを 夫(つま)は娶りて暮らしつ

    咲き撓(おお)る冬椿(はな) 限りなき美山 
    流離(さすらい)の果てに野墓を見つけたり

    世は飢渇(けかつ)して難に遭へり よき里人の嘆きなせり

    よろづの山賊(やまだら)は押し掛かる
    惨(むご)らしき有様 こそろと憤(ふつく)む

    亡き数読めど いかがは悲しき
    帰らぬ人らは誰(たれ)もあへしらはず

    荒れ惑ふ雪 掻き乱る心
    「其の首(くし) 刎ねたし 我 白妙の化人なり」

    闇路に落(あ)ゆる椿 蘇芳 赤し血を零(あえ)す
    是(これ)や此の古物語 雪じもの足音(あおと)無く往(い)ぬ

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