其処(そこ)に 在(あ)るなら 取(と)りも 敢(あ)えず
行(ゆ)き立(た)つ 是非(ぜひ)も 無(な)く
迷(まよ)いも無(な)くば 追(お)えど 待(ま)たぬ
御座(おざ)なりの 我(われ)は 影無(かげな)し

憐(あわ)れなる哉(かな) 無為(むい)に 如(し)かず
只(ただ) 狩(か)られる 狐狼(ころう)よ

運命(さだめ)なりせば 渾(すべ)て 呑(の)まれて 終(しま)え
其(そ)れは 未(ま)だ 愜(かな)うと
然(さ)れど 至情(しじょう)に やけに 過剰(かじょう)な
覚悟(かくご)は 剥(は)がれはしない

何処(どこ)に 在(あ)るやら 丸(まる)で 見(み)えぬ
苛立(いらだ)つ 態(ざま)も 無(な)く
争(いか)で 生(う)まれ 死(し)ぬるを 随(まま)にさるか
置(お)き去(ざ)りの 悔(く)いに 喰(く)われて

愚(おろ)かなる哉(かな) 戒(かい)も 聞(き)かず
只(ただ) 咲(さ)いて 散(ち)るのに 何(いず)れとも無(な)し

掟(おきて)なりせば いっそ 巻(ま)かれて 仕舞(しま)え
其(そ)れは 未(ま)だ 愜(かな)うと
然(さ)れど 無上(むじょう)に 酷(ひど)く 野乗(やじょう)の
編(あ)みたし 滅(ほろ)びの 儘(まま)に

運命(さだめ)なりせば 渾(すべ)て 呑(の)まれて 終(しま)え
其(そ)れは 未(ま)だ 愜(かな)うと
然(さ)れど 至情(しじょう)に やけに 過剰(かじょう)な
覚悟(かくご)の 忘(わす)れ形見(がたみ) 神鳴り(かみな)りの 魔(ま)ぞ

真芯(ましん)に 走(はし)るは 二度(にど)と 返(かえ)らぬ 念(おも)い
其(そ)れが 今(いま) 翔(かけ)るも
然(さ)らば 非道(ひどう)に 暮(く)れた 私(わたし)よ
彼(あ)の手(て)に 抱(だ)かれて 墜(お)ちる

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