乾いた笑いと少しの静けさで
いつしか遠くまで来ていたんだと気付く
古びた街灯が足掻いて照らした
路上に影を落としたのは黄昏

錆びた鉄の中に咲くアネモネを眺めていた
誰にも知られないままで凛としているのは何故
いつか枯れてしまう前にまた逢いに行けるのかな
まとわりつく時間を背にアネモネを眺めていた

忘れてしまうのは一番怖いこと
明日の影は傷も飲み込むだろう
もがいて伸ばした頼りない手足が
掴めるものはまだあるのか探して

錆びた鉄の中に咲くアネモネを眺めていた
誰にも知られないままでそれでも倒れないように
深く根を張る姿は何を思っているのだろう
まとわりつく時間を背にアネモネを眺めていた
色褪せて

いつから僕たちは代わりを求めてた
繋がっていられたはずなのに
いつしか縛られていたことに気づいた
終わりから数えたら

錆びた鉄の中に咲くアネモネを眺めていた
誰にも知られないままで凛としているのは何故
いつか枯れてしまう前にまた逢いに行けるのかな
まとわりつく時間を背にアネモネを眺めていた
笑い合ったあの瞬間も手を取り合った感触も
全て消えてしまう前に忘れてしまわないように
誇り高く咲いている姿に何も言えずに
僕らはずっと眺めてた
アネモネを眺めていた


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