濡れた髪から滴る雫
声にならずに息を呑む静けさ。
未だ気付く素振りさえ見せないけど
キミはきっと知らない大人に変わってた。
遠く香る雨の音に紛れ込む
呼ぶ声が探している それは誰なの?
風に呑まれて聴き取れぬまま
怖くて目を逸らす臆病者を嘲笑って。
延びる影法師、幽玄と目眩。
揺らぐ陽炎、蝉時雨に惑う。
嬉し?悲し?表情は窺えない
汗が引く頃には空気は澄み渡っていた。
遠く香る雨の音に紛れ込む
呼ぶ声が探している 弱く、か細く。
言葉が喉に爪を立てるように
そこに留まったまま、無情に刻は過ぎ往く
波打つような衝動
不可思議な空模様
泡影の彼方へ。
遠く香る雨の音に紛れ込む
呼ぶ声が探しているさざめく様に
望む姿かと尋ねる間も無く
遠退く背中には悲しみを湛えたまま。
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