優しい風の音が頬撫でる
雲間鮮やか、揺れ花菖蒲
この場所を僕らは覚えてる
立ちくらみ、不格好
風に流されて腰を下ろす原
夏草は肌に擦れるまま
思い出の中に貴方はいる

優しい風の音が頬撫でる
土用の縁側、言葉足らず
雲の下へ続く田舎道
夏木立、不格好
風に流されて足を運ぶまま
あの頃指差して進むまま

「さぁさぁもっと踊っていようよ
腕を引かれるまま、情け無い顔のままで
一生踊って暮らしていようよ
もう考えないでいいよ」

優しい風の音が頬撫でる
夏休み、校舎の七不思議
あの夜を僕らは覚えてる
立ちすくみ、不格好
風に流されて歩く長廊下
宵闇は鼻に擦れるまま

「さぁさぁもっと踊っていようよ
胸を焦がせ今は泣き止んだ顔のままで
一生踊って暮らしていようよ
疲れたら寝ればいいよ」

夜の校庭、たった二人だけの舞踏会
さながら舞台裏のパ・ド・ドゥ
僕ら芥川の小説みたいに
今だけの想い出になろう

「さぁさぁもっと踊っていよう
深く息を吸うように
一生踊って暮らしていよう

さぁさぁもっと踊っていようよ
いつか出会えるならふざけた笑顔のままで
一生踊って暮らしていようよ
そう考えたっていいよ

さぁさぁもっと踊っていよう」


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