秋夜を飾る淡い満月の光に照らされながら
瞳を閉じれば体に響く鼓動は強くなる

漂う水面に映る月影を
指でなぞってみても
何も聴こえない
何も聞こえない
波音だけが、ざわめきを詠う

「私」の夜想曲よ
錆び付いた鳴弦の如く
心が緋い毒に侵されて散りばめられていく
「堕ちていく」


割れた鏡は孤独を映し、蒼く光り続ける
黒薔薇の棘が、朧月夜の影の代わりになる

落ちていく上弦の香りに誘われ
夜風に身を委ねて
重なり合う過去を一つ一つ
光と共に空に還していく

「私」の夜想曲よ
麗しき鳴弦の如く
気高き貴方だけの変わらぬ存在へと鳴り響け
「永久に」


貴方の残り香を
闇の中抱き締めて
私から貴方が消えぬように
瞳を閉じて、月に祈りを…


「私」の夜想曲は
麗しき鳴弦の如く
いつか影が押し寄せ、孤高の新月になっても

色褪せぬ瞳と永遠を誓ったその強さ
気高き貴方だけの変わらぬ存在へと鳴り響く
「儚く」

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