積み木のように積み上がり
砂漠のように乾いた街角を
ひとつずつ ひとつずつ
指を折るように
すり抜けるように

タイヤのチューブは擦り減り
漕ぎ出すペースを奪い去るように
少しずつ 少しずつ
彼は離されたんだろう

真昼の暑さに干上がり
黒地に僕らがへばりつくように
ひとつふたつ ひとつふたつ
奪われるように
失うような

スピードに意識を混ぜ込み
失う怖さを紛らわす度に
少しずつ 少しずつ
僕は寂しくなったよ

遠く向こうから雨の匂い
少し前から気付いていたんだよ

走り出して数分の彼にだって
振り向けビーナス
いつかはこの空洞を埋めるように
微笑み合いたいな

錆びたペダル
色が褪せたサドル
漕ぎ出せ
走り出せ

振り返れば
見えなくなって
誰もいなくなったって
進まなきゃ さあ

行き詰まった現在の僕らにだって
振り向けビーナス
いつかはこの空洞を埋めるように
微笑み合いたいな

走り出して数分の彼にだって
振り向けビーナス
いつかはこの空洞を埋めるように
微笑み合いたいな

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