潮騒。午後の空と海鳥。
木洩れ日ゆらり、風は穏やか
蝉落ちる頃、手紙を出した
返事は来ない、分かってるけど。


二階建てのバスはいつもの
海岸通りの道に差し掛かる。
手を振る子供達の頭上を、
飛行機雲がその尾を延ばす。


お話はここまで。
『さようなら。
ささやかな日々に終止符を。』

天窓を閉めなくちゃ。
『ありがとう。
いつかまた、何処かで。』


やがて降り出した雨の音が
献花台さえ染めぬいて、
その手の温もりを思い出させた。
私にも等しく、例外無く
次の朝が訪れたなら、
遠くへ、遠くへ、遠くへ―。

行こう。

あの日、いつもと変わらぬ顔で、
いつもと同じ食事の後で
君は何か言いたげだけど、
私はそれさえ見ないフリした。


やがて降り出した雨の音が
その喉下を締め付けた。
ままならない呼吸、吐きそうになる。
根は腐り、醜い成れの果てに
それでも朝が訪れたら
遠くへ、遠くへ、遠くへ―。


行こう。



手紙を書こう。

あの頃の私に。

痛みを伴う事は気付いている。

数多の月日が臆病にさせた?

どうか、

君にも、

届きますように



シニサイメデテハヒニトイイヲハラム

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