2014-07-17
THE ORAL CIGARETTES、曲を聴いてもらえるバンドになりたい
『MASH A&R』オーディションのグランプリに輝き、ライヴパフォーマンスも抜群のTHE ORAL CIGARETTESがいよいよメジャー進出! その狼煙を上げるシングルからは彼らの志の高さがうかがえる。さぁ、番狂わせの始まりだ。
──活動拠点を東京に移して、メンバー全員での生活はどうですか?
山中 楽しくやってます!
あきら 拓也(山中)のメンバーへの接し方がすごく変わったと思う。本当に家族みたいな、ひとつ深い仲になった。
中西 あきらも自然になったよ。前は“そんなに開かんでいいよ!”ってとこまで開けてたのが(笑)。
あきら 3人がリビングでワイワイしてる時に、前までならワーって行くところで、ひとりで部屋にいられるんです。“嫌われたくない”って思ってたのが、“嫌われないだろうな”っていう安心感に変わって変に気を遣わなくなった。
山中 あきらの知らんかったマイペース感もオモロい! わりと朝しっかり起きんねんなとか、洗濯機を回す時間が一定とか、お風呂のんびり入るんやなとか(笑)。
鈴木 僕の部屋だけリビングの横で他の3人は2階なんですけど、みんなが下りてこないとむっちゃ寂しくなるんですよね。集まろうや?ってなる。住む前はスタジオ後もメンバーといるなんてうんざりやとか思ってたのに(笑)。
──バンドへの意識も変わりましたか?
山中 高くなりました。上京前は僕だけが常にオーラルのことを考えてる気がしてて、結構孤独やったんですよ。でも、今は各々がやってることが確認できるから安心なんです。一緒に考えようとする姿勢も出てきて、セットリストを任せてみたり。
中西 今はオーラルを第一に考えられるようになりましたね。プライベートとのスイッチの切り替えなしで生活できてるのがめっちゃ楽で。
あきら いいね、まさやん(中西)は精神的支柱やもん。結構ちょけるキャラなんやけど、それがあるから和むんです。
──新作「起死回生STORY」には、バンドの意思が凝縮されてますね。テーマやメッセージも明確にあるし。
山中 そうですね。前ミニアルバムの『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』はもっと“俺たちのことを分かってくれよ”って押し付ける感があったと思うんですけど、今回はお客さんとか制作チームとか、作る側の意識としていろんな人が背景にいるんです。
中西 やっぱり、お客さんが気付かせてくれた部分が大きいよな?
あきら うん。たくさんライヴをする中で、お客さんを巻き込もうとする攻撃的な姿勢からだんだん変わっていった。僕たちに本気で接してくれるお客さんに対して、誠意を持って応えなあかんなと。
山中 そういう思いを込めた上での“革命”“逆襲”というテーマが、曲を作る前からありました。
──タイトル曲の「起死回生STORY」は「Mr.ファントム」を超える新たな代表曲になる確信があります。
山中 「Mr.ファントム」の時はイメージの的が広くて、完成形も漠然としてたんですけど、「起死回生STORY」は点に近いというか。覆したくないポイントも歌詞の方向性も定まっていて、全員で一点集中のアプローチができました。お客さんがどんな景色を見せてくれるか、作る段階でそれをすでに想像してた。今までと違うのはそこですね。
──冒頭の歌詞が特にインパクトありますね。
山中 この1年でいろんなライヴに出演させてもらって、ロックシーンに対して感じることが多かったんです。なので、メジャーで多くの人に聴いてもらえる今、歌詞にしてみようかなと。アンチ的な気持ちじゃなく、人それぞれ正しい意思があるのを認めた上で、自分たちの意思をしっかり示したかった。オーラルを好きになってくれたお客さんには伝わってほしい部分ですね。
──Cメロからのポエトリーリーディングも驚きました。
山中 レコーディング直前であそこに何か声を入れたくなったんですよね。で、“試しにやってみたい”ってみんなに提案した結果、うまく仕上がったと思います。ハンドクラップも最初は抵抗があったんですけど、入れてみたら曲がいい感じに締まったっていう。
──「出会い街」のギターの棲み分けも楽しいです。鋭角的な音色がありつつ、ヘヴィロックっぽさもあって。
鈴木 僕としては一番素直にできた曲ですね。前作で言う「瓢箪山の駅員さん」のような空想的な物語調のナンバーで、「起死回生STORY」で想像するリアルとは違って、ファンタジーでフィクションやからこそ逆にイメージしやすいというか。4人の個性が混じった面白い曲になった気がします。
──「See the lights」もA面でいいくらいキャッチーですね。
山中 俺らの中でも推し曲だったもんね。なんなら分けてシングルで出したかった(笑)。
中西 そうそう、2曲ずつで!
山中 歌詞が先にあったんですよ。それをいつ使おうかなって溜めてたんですけど、その時点ではいい感じのバラードになると思ってましたね。世界観のぴったり合う曲が今回できてみて、正解は違ったんやなって。バラードだけじゃ表現し切れないものが歌詞にあったと気付いたし、曲がジャストなところを突いてきてくれました。
──そして、2曲目の「N.I.R.A」はライヴでもお馴染みのナンバーですね。
あきら 昔の曲を音源で聴きたいって声がありがたいことに多くて、僕らも入れたかったんです。この曲はシゲ(鈴木)がスタジオに遅刻してきた日にできたんよな? シゲがいない中でセッションして作ったら、ベースメインの曲に(笑)。拓也が付けたリードギターもハマって、ファンクっぽい面白いのになりました。
──最後に、今後について訊かせてください。
山中 曲をちゃんと聴いてもらえるバンドになりたいです。風習か分からないけど、今のロックシーンは“盛り上がってれば良し”なところが少なからずあるじゃないですか。
鈴木 “盛り上がるバンド”みたいには言われたくないよね。
中西 それが目的じゃないもんな。
山中 もちろん、踊れる曲では踊って楽しんでくれたら嬉しいんですけど、盛り上がるだけが全てじゃないのを分かってもらえるようなライヴができればいいなと思います。“何様やねん”って言われるかもしれない。でも、そういうことを伝えたくてバンドをやってるわけですから。
あきら ライヴのバリエーションは増えていきそうだよね。楽しみにしててください!
取材:田山雄士
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