2014-07-25
the brilliant green 、オリジナルとは異なる歌と声の良さ
久々のリリースはベスト盤的なセルフカバー! リアレンジ/新録された楽曲を聴くと、音数がグッと減り、歌もアンサンブルも新たな味わいが感じられる。そんなアルバムについて、ヴォーカルの川瀬智子に話を訊いた。
──どんなきっかけで、今回セルフカバーベストを出すことになったのですか?
レーベルサイドからの提案で、the brilliant green名義でのリリースはブランクがあるので、突然オリジナルアルバムを出すよりも、これまでの代表曲をリアレンジしたセルフカバーベストをリリースすることで、改めて私たちの音楽性を発信できたり、オリジナルを聴き返してもらえたり、それらを新たに知ってもらえるきっかけになるんじゃないかと。その後にオリジナルを発表したほうが今のブリグリの世界観が伝わりやすいと説明されまして、確かにそうかもしれないなと思ったんです。
──Tommy february6、Tommy heavenly6とさまざまなキャラクターで活動されてきた川瀬さんにとって、ブリグリはどんな位置付けにあるバンドなのでしょう?
ブリグリは世界観的に暗めというか、鬱々としたイメージなので、ブリグリがノーマルな憂鬱状態で中心に位置してるとすると、両サイドのLとRにTommy february6、Tommy heavenly6の存在があるみたいなイメージなんですよ。メガネをかけたビジュアルでポップな80'sサウンドやEDMを歌うのがTommy february6で、精神状態は鬱を振り切った躁のブライトサイドのような状態ですかね。対極に位置するTommy heavenly6はダークアイシャドウのビジュアルでゴシックやメタルなアレンジのロックを歌ってて、精神状態は鬱を振り切った躁のダークサイド。でもって、フラストレーションを爆発させてていつも泣きわめいてるか怒ってる(笑)。Tommy february6とTommy heavenly6は私をデフォルメしたキャラクター性と世界観だから、ブリグリが一番等身大に近いんじゃないかなと思います。アルバムではそこを楽しんでもらえたら。
──今作は過去曲をリアレンジしたセルフカバーになってますが、レコーディングではどんな点に面白味がありましたか?
全体として音数の少ないアンプラグドな雰囲気のアレンジだから、オリジナルでのヴォーカルスタイルよりもしっかりめに抑揚や強弱を付けて歌うことを意識しましたね。結果的に声がメインのような感じになって、オリジナルとは違う良さが出たのが面白かったです。
──久し振りに向き合った曲もあったのではないかと思うのですが。
ライヴをほとんどしてこなかったこともあって、どの曲もほぼ15?6年振りに歌ったんですよ。なので、歌う前はやっぱり抵抗があったんですけど、意外と歌ってみたら曲にも詞にも特に気恥ずかしさや違和感はなくて、当時と現在の点と点が一気につながったように今の私にもフィットしたんですよね。どの曲も飽きるほどに歌い込んできたわけじゃないから、それが良かったのかも。自分の中でも鮮度が保たれてる状態でフラットにレコーディングできたと思ってます。
──書き下ろしの新曲「A Little World」も素敵ですね。1stアルバムに入っていてもおかしくないくらいのフレッシュさがあって、なおかつすごくポップで聴きやすい。
このセルフカバーベストのリリースが決まった時に、過去の代表曲にプラスアルファとしてボーナストラック的な、いわゆるおまけを入れたいと思ったんです。シングルでもないので、サラッと気楽なムードで上がってきた曲で、聴いた瞬間にスウィンギング・ロンドンというカルチャーや今回のアルバムタイトルになった“THE SWINGIN' SIXTIES”というワードが頭に浮かびました。実際のところ、最初は“なんでブリグリでこんなにかわいい曲調をやるんだろう…”とか考えちゃったんですけど、スタッフ内でも評判が良くて“新鮮だ”と言ってもらえたし、私自身も深く考えるより楽しもうと(笑)。こういう60年代のパロディー感が楽しいアルバムなんかも、機会があればぜひ作ってみたいですね。
──デビューシングル曲の「Bye Bye Mr.Mug」と併せて聴いてもとても自然です。完成したアルバムの印象はいががですか?
そうですね。とにかく声、歌が主体のアルバムになったと思うので、オリジナルとはまた違う聴き方で楽しんでもらえる一枚に仕上がったんじゃないかな。
──ジャケットアートワークも目を惹くものになってますね。
FOXYさんのイラストと作品のコラボをしたいなと思い付いて、打ち合わせをさせていただいたんです。それでお話をしてるうちに、“イラストを書いていただくだけではなくて、ジャケットのデザインまでお任せできたら最高なのになぁ”と言ってみたら、引き受けてくださることになって! 私はFOXYさんの世界観が大好きなので、もろもろ不安はなかったですね。ラフを見せていただいた時点で、すでに素晴らしくスタイリッシュでキュートで感動してましたから。本当に安心してお任せできました。そういう流れだったのもあって、イラストが映えるように大きめのサイズで作りたいと制作進行には相談しました。7インチレコードサイズならOKということで嬉しかったです(初回プレス盤は7インチ紙ジャケット仕様)。LPサイズで作りたかったくらいに、仕上がりもとても気に入ってます。
──ぜひ、そのあたりも音源とともに楽しんでほしいですね。最後に、ここに収められたブリグリのナンバーが青春時代の思い出だという人もいれば、本作で初めてブリグリに触れる若いリスナーの方もいるはずですが、『THE SWINGIN' SIXTIES』をどんなふうに聴いてもらいたいですか?
セルフカバーに関しては、最初はオリジナルと聴き比べられて当然のように“前の方が良かった”って言われるのがパターンだとしか思えなかったんですけど、結果的に今回は別の味わいを出すことができてる。それならせっかくだし、当時のオリジナルと聴き比べてほしいですよね、この際(笑)。そして、Twitterに感想をもらえたら嬉しいです。
取材:田山雄士
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