2014-08-20

近藤晃央、最初から諦めるのではなく、その都度トライしていきたい!

 昨年11月の「ブラックナイトタウン」から約9カ月振りのシングル「心情呼吸」は、人気ドラマ『ペテロの葬列』主題歌である表題曲をはじめ、人の気持ちを彼らしい独自の目線で切り取った楽曲が詰まった一枚になった。

──「心情呼吸」はドラマ『ペテロの葬列』の主題歌なのですが、原作の小説を読まれてから書いたのですか?

「はい。『ペテロの葬列』は前々回のシングル「あい」が主題歌になっていたドラマ『名もなき毒』の続編で、『名もなき毒』の放送が終わってすぐに原作小説を読みました。それで、さまざまな人間模様が描かれている中でいろいろな事件や問題が起こる、その根本にあるものを書こうと思ったんです。続編という部分で、『名もなき毒』を観ていたし、どこでどんなふうに使われるか分かっていたので、作業は進めやすかったです。」

──歌詞は嘘とか素直になれない気持ちみたいなものが、キーワードになっていますね。

「そうですね。人間というのは結局、自分が抱えている本心を我慢したり、伝えないことによって、どんどんストレスを抱えていく。そのストレスに耐えられる人もいれば、耐えられない人もいて、事件や犯罪はストレスに耐えられなかった人たちのアクションなんじゃないかと思うんです。要は、抱えているものの出し方とを誤っているというか…。それぞれが抱えているものを事前に吐き出すことで、事件とかが起きるもっと前の段階で未然に解決できることなんじゃないかと。」

──ストレスって誰でもありますからね。

「現代は“ストレス社会”とも呼ばれているくらいですから、ストレスを抱えることは避けて通れない。例えば、仕事で何か自分の意見を持っていたとして、他の人の意見とぶつかることもあるだろうけれど、それを恐れて最初から諦めるのではなく、試しにでも発言してみればいいと思う。そういうワントライが必要で、そういう本音を隠さない、自分に嘘をつかないことを心掛けていくことが大切なんじゃないかと思います。」

──“心情呼吸”というタイトルは、心が呼吸するというような意味で付けたのですか?

「はい。さっきの話と同じで、心って自分から発しない限りは周りからは見えないもので、外に出さないと人には伝わらないんです。それを外に出して表現するということは、心が息を吸って吐き出すっていう、呼吸することと似ているんじゃないかと思ってこういうタイトルにしました。」

──曲調としては、すごく淡々としながらも全体にドラマチックという印象でした。

「この曲はサビとAメロを繰り返しているのですが、Aメロが非常に淡々としていて、サビは逆に感情的になっていて、そのメリハリやギャップ、温度差がキーになっていますね。」

──間奏ですごく激しいサウンドになるのがいいですね。

「3番のAメロの歌詞がすごく感情的になっているので、その気持ちを反映して激しいものになっています。ただ、前半は閉鎖された雰囲気で、後半は開けた感じになっているのですが、そういう気持ちの流れをそのまま音でも表現しているところも聴きどころだと思いますね。」

──この曲はAメロとサビだけなのですが、Aメロは4番まであるという、ちょっと変わった構成ですね。

「せっかく自分で曲を作っているので、少しでも面白みを追求していきたいですよね。失敗することも多々あって、やっぱり普通のほうがいいとやり直す曲もあるし。この曲で歌っていることと同じで、最初から諦めるのではなく、その都度とりあえずでもトライしていきたいと思っています。」

──そして、カップリングなのですが、初回盤に「あい -plugless ver.-」、通常盤には「片隅スマイル」、そして両方に「あの娘が嫌い」を収録しているという。

「「あい -plugless ver.-」は電子楽器を使わず、ピアノ、チェロ、バイオリン、アコギ、歌で録っています。あまりに原曲とはアレンジが違うので、「あい」と同じ曲とは気付かない人もいるかもしれませんね。ライヴっぽい臨場感もあると思います。「片隅スマイル」は明るいタッチのバンドサウンドで、2010年に作った曲です。会社に入って、一番最初にトライしたのがこの曲でした。人間の感情で、最高と最低は両方とも涙なのかなって。“泣き笑い”という言葉もありますし。その両極端にある涙という存在のことを歌っています。」

──「あの娘が嫌い」は「ブラックナイトタウン」を彷彿させる、ちょっとダークで毒っ気がある曲ですね。

「毒っ気は、書いていいと言われれば死ぬほど出てきますよ(笑)。ただ、これは女の子の目線で書いたので、愚痴を吐くような毒とは少し違いますけど。猫を被った女の子と、そういう子が嫌いな口の悪い女の子のやりとりを描いていて。女の子同士だと、すごくエグいことも言うんですよね。」

──しかし、「心情呼吸」とのギャップがすごいですね。

「そうですね(笑)。でも、この曲もできた時はシングルにしたいと思ったくらいなので。そういう意味では、一枚の作品として「心情呼吸」だけじゃなく、全部A面の気持ちです。プレリリースイベントで何度か演奏したのですが、やっぱりインパクトが強かったみたいで。“聴いて鳥肌が立ちました”とか、Twitterのリプライでも反響がすごく大きいです。握手会の時なんかは女の子のファンがみんな、握手しながら“親友に彼氏を取られた”とか、女の子同士のトラブル体験を語っていくのが面白くて(笑)。「ブラックナイトタウン」の握手会に来てくれた子で、“今日ここで友だちができました”って言ってくれた子がいたんですが、その時に僕は“女の子同士の友情には気を付けて”って言ったらしいんです。で、その子が今回また来てくれたんですけど、そうしたら今度は“あれからあの子と連絡が取れません”って。言った通りになってしまったという(笑)。」

取材:榑林史章

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