君の居ない景色に酔い痴れては
鈍色のビー玉を放り投げて
黄金色に映えている麦秋の空に
温もり無き安堵と 嘘の清々しさを
口笛か何かで吹き飛ばした

にわか雨が去ったら 胸に空っ風が吹いて
何もかも消えていたよ
もう僕でも君でもない
オンボロのスタジオで
手垢まみれのギターを撫でながら
麦色の抜け殻を胸に閉じ込めて

薄暮れのバスを待つ君の影
蛙の鳴き音で呼び覚まして
緑薫る空虚な風の往来に
繋いだ手の かすかな記憶が滲んでた
少しまどろんでいた

「さよなら」とだけ告げて 泣き終えた後
ショートケーキを残さずに食べていた
そんな君が好きでした
懐かしいあの店もこないだシャッターを下ろした
また一つ 消えてゆく
麦色の壁の向こうへ

もう何年振りだろう
キツい煙草に火を点けて
麦色の蜃気楼 君と過ごした夏の日
にわか雨みたいだね 僕を濡らして去って行った
アリガトウ アリガトウ

ひび割れた麦色のメロディー奏でて


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