ほらあなから歌は届く
忘れたことあるからさ
寒がりの町は静かに
夜明けを待つ

さよならの手を振って
花束をほどいたら
皺を伸ばす手に愛を込めて

思い出は眠る夜更けに
歌の中で目を閉じて
便箋に書かれた文字に
ランプが灯る

ずっと前に閉じたままの宛名のない手紙たちは
10センチの隙間夢を見る
どこへでも行けるのに

暖かな秘密の場所は
小さな家具
海の底
どこかであの手紙がふいに届くように

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