あの小鳥が飛び立つ頃
静寂は訪れ
ひとりきりで 見上げた夕陽は
枯れた雛菊のよう

普遍な闇に怯え
鍵を掛けた 幼日(おさなひ)
凍えた身体を 癒せるものが
あるとしたら
もうここには無い

もしも翼がここにあるなら
もう一度あの夕陽の元へ
わたしはわたしを守るために
何を捨て 何を手にしたんだろう
わからない
もうわからないの

何も知らずに生きてきた
それすら気付かずに
青葉に揺れ やがて葉を散らし
この身を包んだ 黒煙

途方に暮れた叫び
誰も振り向きはしない
今なら思い切り 飛べる気がした
“もう、いいよ”と
煽る風の 声

もしも翼がここにあるなら
夜に紛れて羽ばたきたい
きっと 幸せの形なんて
ひとつひとつ 違うものだから
憧れた 終わりの面影

生まれ変わり 別の世界で
不実な色 愛せるのだろうか

もしも翼がここにあるなら
もう一度あの夕陽の元へ
わたしはわたしを守るために
捨ててきた 心の震動

もしも翼がここにあるなら
夜に紛れて羽ばたきたい
もしも“変わらないままでいい”と
この夕陽に 少し思えたら

まだここにいても
いいのかな


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