己龍/螢

己龍


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『螢』収録

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  • 目覚めてみれば蟲の息で命を刻む 淡く淡く
    心に何か想っても 浮かんで流れて消える まるで走馬灯の様
    目覚めぬままに息絶えれば 命を刻む音も眠る
    心に何か想っても 巡り巡って行くのでしょう 私を通り過ぎて

    現はただ甘い夢を垂れ流す残酷
    焼かれ叫ぶ目が眩む程の悲鳴

    燃ゆる命 その痛みは何を照らしたのでしょう
    浮かび沈む 必然の性 正と不が織り成す「歪」
    故に「生きた意味」に縋り「生かされた意味」が誰かの「生きる意味」と成り行くのでしょう

    常夜に舞うは冷光

    「黒い日」一つ終える度に迎えに来るのはまた「黒い日」
    心に強く想えば 巡り巡って何時かは…私を照らすでしょうか

    燃えた命 その屍は何を残したのでしょう
    「終わり」の端 その鋒で何かを織り成す「歪」
    故に愚か 然れど仄か 琴の音を掻き鳴らす様に胸の奥に触れられたなら

    常夜に舞うは冷光

    鼓動が脈を打つ度に広がる痛みに怯え震える私を救ってくれた「冷たい優しさ」
    また一つ、私を通り過ぎた「想い」に手を振りましょう

    今は…

    生きて 生きて 死すべき日に大いに笑い逝きましょう
    唯一無二の必然として理が織り成す「歪」

    「私として私を生き、私の儘に死のう」

    「その日」は刹那の果てにぽつり…

    嗚呼、待ち惚け

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