2013-04-21
【高橋優】快楽業だと思ってるので 楽しんでなきゃ意味がない
2カ月連続リリースの第一弾。BRAHMANとの異色タッグによる、高橋 優史上最強のロックサウンドが完成。
──次は何を作るんだろう?って期待してたけど、BRAHMANとは。一緒にやるつもりで書いたものなの?
「いや、そうじゃないですね。どういうことを歌っていこうかな?って考えてて出てきたのが、“沈黙をぶっ壊そうぜ”“声をあげていこうぜ”って感じのキーワードというかメッセージテーマだったんですけど、バンドアレンジどうやろうかな…ってなった時に、これはTOSHI-LOWさんしかいないってことで。2年くらい前にイベントでセッションさせてもらったのがきっかけで、食事行ったり付き合いはあったので、話をしたらBRAHMANで参加するって言われて。」
──驚きだよね。実際レコーディングした感触としては?
「スゴい面白くて、やりやすかったんですよね。高校生の時、バンドのコピーやってたんですけど…ずっとイヤホンの中で聴いてた音楽が、目の前のスタジオで展開されてるみたいな感じで、しかも自分のリクエストに応えてくれるというか。ジェットコースターに乗ってるみたいな感じでした。」
──TOSHI-LOWさんのパートというのは?
「少しアコギを弾いてもらってるのと、《50基の核発電所 年に5000回揺れる列島》とか、キワドい言葉のところにコーラスで参加してもらってます。」
──この“沈黙を破りたい!”っていうメッセージが気になってたんだけど…沈黙してなかったじゃんって(笑)。言葉の選択肢とか、社会的な意味でも妙な緊張感や迷いはあったかもしれないけど、決して沈黙はしてなかったよねって。
「確かに!(笑) 自分の思いを赤裸々に書いてたし、言葉の選び方で今さらビビってる感じはないんですけど、でも、もう一歩踏み込めてない自分があって…それが何かって考えたら、“自分の中に歌ってた”気がしたんですよね。それを変えたい。どうなんだ!って、手を伸ばしたいというか…。そもそもメジャーもインディーズも関係ないところで歌っていたいし、自分は快楽業だと思っているので、楽しんでなきゃ意味がないんですよね。今、僕の周りには一緒に面白がってくれる人たちがいて、それが救いだと思ってます。僕だけだったら、絶対アンバランスになってしまうのを、別のところに比重を置いてバランスをとってくれるチームがいる。みんなで一致団結して「オナニー」って曲出そうって言ってる現象は、全員カッコ良くて、逆に僕が心配してるぐらい(笑)」」
──いい環境だね。でも、さすがにインパクトありすぎるタイトルだよね。これは何を思って書いたの?
「本当に“馬鹿ばっかりだ”って思って、最初はがむしゃらな怒りだけで書き上げたんですよ。だけど本当に怒りすぎてて、自分で聴いても不快だったんですよね。で、メロディーラインも少し変えて、歌詞も“自らを慰める”っていうことをテーマに、情景が浮かびやすいようにって。みんな、衝撃のカップリング!って話ばっかりですけどね。」
──こういうテーマや内容は、ずっと歌ってきてるだろうし、全然ブレてないと思うけどね。
「はい、全然ブレてないです!」
──最後の《愛すべき馬鹿ばっかり》っていう、このワンフレーズ、いい着地だよね。
「愛さなきゃいけないって思ったんです、人を。愛することをやめて、歩み寄ることをやめて、それがなぜかって言うと、自分が傷付くことが怖いからでって…そんなのもう、自らを慰めてる“自慰”なんですよ。で、僕がやってたことも、もしかしてそうだったのかなって思ったら怖かったんですよね。自分を慰めるために曲を書いて出してたんだったらマズい…って。」
──そして、もう一曲「野に咲く花になるまで」ですけど。
「実は、このシングルは3曲ともテーマが一緒なんです。この曲から始まると分かりやすいんですけど、これが原点の思いになってて、あなたに幸せになってほしい、あなたと誰かが分かり合えててほしいみたいな願いがあって、それができてないから“馬鹿ばっかりなんだよ”って「オナニー」での怒りがあって、そうするために、声出していこうぜ!って…自分の中では、初志貫徹みたいな。」
──高橋 優的、人間っぽさだよね、このバランスが。
「そうなんですよ、なかなか理解してもらえない価値観…(笑)。自分の中では、ほんとに並列なんですよ。どれのほうが価値があるとかまったく考えてない。」
──“もしも願いごとがひとつ叶うなら、君の夢が叶ってほしい”って、いいよねぇ。
「僕は歌を歌ってるから、こう思うのかもしれないけど、やっぱり相乗効果っていうか、いろんな人と一緒に幸せになってるほうが、絶対幸せの度合いはデカイと思うんですよ。なのに独り占めしようとするから、おかしなことになる。」
──みんな不安なんじゃないのかな?
「僕も不安です。でも、不安の中に一歩でも、1センチでも誰かを思う気持ちがあれば変わると思うんですよ。自分の中ではそっちがテーマなんです。声をあげるほうが愛だと…。」
──真意に気づいたというか、自信かな…
「感動する気持ちっていうのは、自発的じゃないと発生しないから、自分が良いって思うものを奏でてたら誰かがそこに共鳴してくれるんじゃないかなって。自分を信じてるというより、音楽を信じれるようになってきてる気はしてます。」
──いい言葉だね、“音楽を信じれる”って。
「メロディーに乗せて言葉を奏でると魔力が生まれるっていうか、それが音楽の力だと思うんですよね。僕自身が何度も感動させられたってことは変えようのない事実だし、もしかしたら自分にもやれるかもって。」
──やっと、やれるかもなんだ?
「やらなきゃいけない…ですかね。自分も感動していたいし、誰かを感動もさせたいって思うと、その辺のアンテナというか間口は広げたほうがいいと思うんです。食わず嫌いじゃなく、“良いものは良い”って言える人じゃないといけないなって。」
──なるほどね。ここからが本当の意味でのリアルタイムシンガーソングライターなのかな?
「分かんないですけど、ただ、これからも面白いと思いますよ、高橋優ってヤツは。結構、笑えると思います。」
取材:石岡未央
(OKMusic)
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