2013-02-21

【BO NINGEN】日常と非日常の狭間

 ロンドンを拠点に活動するBO NINGENが日本盤アルバム『Line The Wall』を発表。日本でアルバムを出すにあたり、Taigen(Vo&Ba)は“言葉の意味が分かるからこそのつながりを感じたい”と語ってくれた。

──BO NINGENはロンドンのアートカレッジで出会い、結成されたとのことで。

「4人の中で一番最初に会ったのが僕とKohhei (Gu)だったのですが、まずお互いのライヴに対する姿勢や、ステージでの動きのようなものに共感したことを覚えています。当時、ノイズや現代音楽に特に強い興味を持っていたのですが、そのような音楽のことを話し合えたり、お互い演奏できる仲間がいなかったので、すぐに一緒にジャムをしようという流れになって。音を出してみて、確信し合った感じです。そこからまた共通の友人の紹介でYuki(Gu)、SMの女王様の紹介でMon Chang(Dr)と知り合うのですが、同じくスタジオに入って音を出し、そのまま自然なかたちで今に至ります。なので、制作に関して具体的な話をしたことはなく、ただひらすらジャムをしていました。それが僕たちの音楽の作り方、そして楽曲にも影響していると思います。」

──そして、昨年10月にイギリスにて発表されたアルバム『Line The Wall』をリマスタリングし、今回日本盤として発表されるわけですが、激しさだけでなく、しっかりとメロディーを聴かせる部分もあり、ひとクセもふたクセもある刺激的な内容でした。

「1stアルバム『Bo Ningen』に比べて、曲調や各曲が持つ色のバリエーションが増えたと自負していて、作品を聴いてくれた方によって自由な印象を持ってもらうために抽象的なタイトルにしました。ただ、“Line(=線)”と“Wall(=壁)”という単語には、音のレイヤー、次元、境界線、壁を壊す、巨大な壁の存在や歴史…他、いろいろな意味が込められてもいます。ライヴは人間の五感全てを使う総合的な体験ができる場だと思っているのですが、音源はそれが耳という感覚に全て集中されます。それをネガティブなこととして捉えるのではなく、ライヴでしか体験できないモノと同じぐらい、音源、録音物でしか到達できない体験というものを目指しました。その上で、オーバーダブの多用を含むプロダクションの可能性というのを突き詰めてみたかったんです。それと同時に土台となるレコーディングテイクも、音から感じられるライヴ感は可能な限り音に込められたと思っています。最初の音の作り込みをスタジオでする前の土台ミックスは僕が手掛けたのですが、低音音楽に代表されるクラブミュージックからの影響は大きいですね。打ち込みを導入するだけの、バンドとクラブ音楽の融合とはまた違ったベクトルで、打ち込み音楽の影響を感じてもらえたら嬉しいです。」

──ライヴではすでに本作を演奏されているのでしょうか?

「はい、イギリスではリリースツアーをやりました。手応えは、国や文化の違いというより箱、イベント、お客さんによってまったく変わるんだと気付きました。言葉の意味が分かる人と分からない人が混ざっていてもそれはまったく関係なく、両方に違う解釈で同じレベルの衝撃を与えることへの意識、そしてBO NINGENというものを完璧に保ちつつ、今まで以上に幅広い人に届くことへの意識が高まりましたね。日本でのツアーも決定していますが、海外との客層の違い、日本のバンドから受ける刺激、日本語が通じる…など、日本でしか得られないステージ上での感覚とお客さんとのつながりが濃いものになっているので、それをさらに濃く、また前回と違う感覚にできればと思います。」

──サウンドだけでなく、作品毎のアートワークへの意識も高いですよね?

「サウンド面では僕が毎回ミックスからマスタリングに関わるのと同じで、アートワークはギターのKohheiが全てを担当しています。サウンドとアートワークを自分たちでコントロールすること、そして一貫性というのは意識していますね。」

──海外で日本語詞の曲を歌うという面白みが、日本で日本語詞を歌うとリスナーの受け取り方にも違いが出てくると思います。日本盤を出すにあたり、そこに関して思うことはありませんでしたか?

「歌の言葉が伝わるということに関してとても興味があったのですが、海外での歌詞が分からないからこその全然違う解釈の面白さと同じぐらい、意味が分かるからこそのつながり…みたいなものがあると期待しています。」

──自問自答を繰り返しながら、さまざまな景色を想像させる歌詞が印象的でした。歌詞を書くにあたり、大切にしていることはありますか?

「僕はバンドのリハーサルでも、ライヴでも、その場の雰囲気や音に合わせて歌詞を変えて歌うのですが、ジャムで曲を作る時も、アイディアやネタを少し適用させることはあれど、その場で思ったこと、自分でも気付かなかったことなどを頭から直接音や言葉としてアウトプットしてます。日本語の響き、音の乗り方、そして何より日本語自体が好きなこともあり、言葉を大切にしています。」

──今後の展望があれば教えてください。

「出会いやopportunity(好機、機会)にあふれていて、有名なバンドマン(the horrorsなど)、他の業界(tim and sueなどのアート界隈、i-dやdazedandconfusedなどのファッション系)がライヴをたまたま観ていて、コラボレーションに発展したりと、活動拠点としてはとても恵まれていると思います。今回の日本盤のDVDに収録されている教会でのライヴをはじめ、V&Aミュージアム、ベネチアビエンナーレでのライヴ、dazed&confusedの記念パーティーなど、場所や趣向がクロスオーバーしやすいのもロンドン・ヨーロッパの特徴だと思います。このようなUK/EUでのコラボをはじめ、日本でも灰野敬二さん、Merzbowとの対バンからアイドルのでんぱ組とのコラボレーションまで、音楽のジャンル、業界の壁を越えた活動をしている自負があるので、その壁を壊す規模をメジャーからリリースさせていただくことでもっと拡げていきたいです。本当の意味でいろいろな人に届くライヴ、音源制作を継続していけば、辿り着けないところはないと思っています。」

──では、最後にBO NINGENを言葉で表すならば?

「日常と非日常の狭間。」

取材:ジャガー

(OKMusic)


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