2013-02-19

【明日、照らす】普通の人より、過去に執着している気がします

──名古屋出身の明日、照らす。とても印象的なバンド名だが、最初は“アステラス”という片仮名だった。しかし、ある会社名と被るために、漢字を当てたのだそうだ。“でも不思議と、この名前になってから、CDを聴くと明日も頑張れます、とか言われたりするバンドになったんです”と、作詞作曲を担っている村上友哉(Vo&Gu)は言う。確かに、ニューアルバム『あなた』も、さまざまな日常に重ね合わせられる楽曲ばかり。とはいえ、単純に明るい楽曲というわけではない。むしろ、痛みをはらんだ思い出が刻まれているのだ。

村上「普通の人より、過去に執着している気がします。何でそんなこと覚えてるの?って言われるし。最初は、自分のために曲を書いているところが大きかったんですよ。思い出をパッケージしているような感覚で。それが、だんだん人から求められるようになっていって。本気でやれば、誰か分かってくれる人がいるんだなって思いましたね。そういう中で生まれたのが、今作の最後の曲「xoxo」なんですよ。 ね。この歌詞、お客さんからもらったメールや手紙の言葉を組み合わせて作ったんですよ」」

伴「認めてくれる人が出てきて心も開けるようになった、そういうアルバムだと思います。」

──遡れば、村上と伴 佳典(Ba)は、高校生の時からバンドをともにしてきた。メンバーが抜けてからはサポートメンバーに支えられながら、ずっとふたりで活動している。“僕が下書きしたものを、彼が清書するみたいな。曲作りも活動でも、そういう役割分担なんです”と村上が言う通り、絶妙なやり取りが光る。村上が“未練が生きてるような奴だって言われる”と苦笑いすれば、すかさず伴が“根に持つタイプだもんね”と突っ込み。村上のアーティスティックな才能を、伴がポップに昇華して、明日、照らすは成り立っている。

村上「僕が思う良い曲って、例えば失恋とか、そういうシチュエーションになった時に聴こえてくる曲なんです。固有名詞も使わないほうがあっさり聴けますけど、その言葉が一個でもはまったら、音楽と聴き手がめちゃめちゃ近くなるじゃないですか。」

──まさに“あなた”のための10曲。“音楽はお金じゃなくて、精神的に生きていくためにやっているんで”と村上は言うが、こういう距離感の音楽こそ、今、求められているんじゃないだろうか。ぜひ、 触れてみてほしい。

取材:高橋美穂

(OKMusic)


シェアしてアーティストの活動を応援しよう!

 ROCK LYRICをフォローする!

フォローすることでROCK LYRICの最新情報を受け取ることが出来ます。

  明日、照らす。 新着ニュース・インタビュー

   

  新着ニュース