2012-09-20
【Do As Infinity】ピンチをチャンスに変えた制作 Do Asの歴史を10曲に凝縮!
前作『TIME MACHINE』から、わずか7カ月で新作『Do As Infinity X』をリリース。シングルなし、妥協なし、タイアップわずか1曲で誰にも媚びず…幅広い楽曲と独特な視点による、Do As Infinityというスタイルの醍醐味を存分に発揮した。
──前作『TIME MACHINE』から7カ月と早いですね!
大渡「ここ数年は、だいたい年明けか2月くらいに出していて、そのスパンに変化を付けたいというアイデアがまずあって、10枚目だし10月10日がいいんじゃないか、と。それに毎年9月29日にデビュー記念ライヴをやっているので、そこでリリース前に全曲演奏してしまおう、というアイデアまで飛び出して。だから、最初からお尻に火が付いた状態で、制作がスタートしました(笑)。」
──実際の制作期間は、いつもより短かったのですか?
大渡「短かったです。でも、それに伴って制作スタイルも変えていて、それが時短につながりました。実は歌以外のオケはほとんどが打ち込みで、実際に生で演奏しているのは僕のギターとサウンドプロデューサーである亀田誠治さんのベースだけ。あと何曲かストリングスを弾いていただいているくらい。それが単なる時短のためではなく、内容を伴った新しい制作スタイルとしても成立させることができたので、そこから新しいDo Asというものも見えましたね。」
伴「今までも何曲かはこういうかたちでのレコーディングはありましたけど。今回は歌を録ってからギターをダビングしたりとか、いろいろなパターンがあったので、それはそれで面白い制作過程でしたよ。」
大渡「実際のヴォーカルの温度を感じてギターを弾くのは、バトンを受け取るような感じですごく新鮮でしたね。」
──シングル曲がないのも特徴ですね。
伴「こういうのは初めてです。でも、作る自分たちとしては、今までと変わらないです。いつもアルバムに向けて制作して、たまたまアルバムの前にシングルをリリースしていたという感覚なので。シングルのないアルバムは洋楽っぽくていいと思うし。逆に、いいのがあったらタイアップでどんどん使ってください(笑)。」
──作詞は、全曲川村サイコさんということで。
伴「初期の頃のクレジットは全てD・A・Iと表記されていて、実はその頃から川村さんには書いていただいていました。」
──どれも独特のテーマ性や世界観があって、言葉も分かりやすいし、歌詞を読むだけでもすごく楽しかったです。例えば、「ヨアケハチカイ」は去年からの日本の状況をすごく力強く励ます感じで歌っているし。一方で、「東京亜熱帯」などは今年の暑かった夏とか未来の地球の姿をすごく想像させる。
伴「「東京亜熱帯」は絵が浮かんでくるような曲ですね。100年後の地球の話なのか分からないけど、想像が膨らみますよね。」
大渡「個人的に「東京亜熱帯」は、面白い切り口で僕もすごく好きですね。世の中に警鐘を鳴らしている曲とも言えるし。こういう物語的なテイストは、川村さんの真骨頂ですね!」
──また、「コペルニクス」は地動説を唱えた天文学者が題材で。
伴「鋭い切り口を盛り込みつつ、キャッチーな言葉で仕上げていて、これも川村さんテイストです。この制作期間中に川村さんとお話しさせていただく機会があったのですが、“今までのJ-POPで誰も歌っていない内容で、新しいJ-POPをテーマに書いている”とおっしゃっていて。それで「東京亜熱帯」や「コペルニクス」を読んだ時、なるほど~とすごく納得しました。」
──ベースがものすごいですが、もちろん亀田さんが?
大渡「今度のライヴで亀田さんと一緒にやるんですけど、僕らのライヴにベーシストとして亀田さんが加わるのは実は初めてで。たぶんライヴ出演のオファーを受けた時にアレンジしたんだと思います。“俺が弾くんだからぐいぐいいっちゃうぞ!”って(笑)。」
──「Work!」や「mannequin」のように女性目線の曲もいくつかあって。同じ女性という面で、気持ちを入れやすかったのでは?
伴「会社勤めの経験がないので、“メイク直さなきゃ!”とかって歌詞を見ると、OLさんって大変だな~と(笑)。「mannequin」は面白い切り口のストーリーで、すごく心地良く歌えました。他に「Right now」や「ROCK DAYZ」のようなロック系もあるし、いろんなものがあるアルバムにしたいというのはありましたね。」
大渡「「mannequin」のようなバウンスビートは久しぶりで、昔はこういうのをよくやっていたなって思い出しました。きっと作曲家の方が、昔の僕らを研究してくださったのでしょう。この曲のように作曲家のテイストが活かされているものもあれば、「コペルニクス」のように亀田さんのアレンジで激変したものもあります。」
──「蓮華」の世界観は面白いと思いました。
伴「これは、歌的にすごく難しかったです。テンポ感というかグルーブが掴みにくくて。三拍子は今までも歌ったことはあったけど、同じ三拍子でもこうまで違うかっていうくらい。自分の中で消化されるまでに時間がかかりましたね。歌詞の舞台は京都。“宵山”と出てくるのですが、それは京都の祇園祭の前夜祭みたいなもので、そこを舞台にしています。」
──そして、「送電線」は母娘の絆を歌った切ないバラードという。
伴「ファンの間で人気のある「遠雷」や「ブランコ」の続編と受け取ることもできるし、それらを彷彿させる家族ものとも言えるし。小説を読むみたいな感じで楽しんでいただけたらと。」
大渡「ファンの間では「ブランコ」が「遠雷」の続編ということになっているみたいですが…(笑)。まぁ、解釈はいろいろあると思うので、そのあたりはリスナーにお任せします(笑)。」
──完成してみていかがですか?
大渡「短期間にしてはよくできたな~と(笑)。曲順的にも、長く聴いてもらえるものになったと確信しました。」
伴「ホント、よくできたよね(笑)。前作から短いスパンだけど、内容的には新たなチャレンジもたくさんやっているし。CDとライヴ、それぞれのかたちで楽しめる作品になったと思います!」
──じゃあ、次作は半年後くらいで!(笑)
伴「次はもっとゆっくり作りたい!」
取材:榑林史章
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