2011-08-20
GARNET CROWを知ってる人も知らない人も裏切れる
昨年から続いていたハッピーなモードから一転し、クールでミステリアス! サウンドもデジタルを基調としていて新鮮なのだが、GARNET CROWらしさは失っていない。そんな新作について中村由利(Vo&Songwriting)と岡本仁志(Gu)に訊いた。
──メンバーみんなが昨年の結成10周年のハッピー・オーラを纏ったままだった前作「Smiley Nation」に対し、今作はジャケ写やアー写からしてミステリアスですね。
中村 はい。前々作「Over Drive」や前作「Smiley Nation」が“みんなで一緒に歌って笑顔になろう!”っていうような、ライヴで歌って楽しい傾向のものだったので、その反動でクールで力強いGARNET CROWを、もう一回見せたい欲求が出てきまして、それで作った曲になりますね。みんなと一緒に歌うっていうよりも“どうだ!”って感じで聴かせる…この曲の世界を聴き入ってもらうっていうか。
──でも、もともとGARNET CROWが持っていたミステリアスな雰囲気とは、また違うテイストですよね。打ち込みのビート感やダンサブルな感じが新しいと思いましたよ。ダンサーと一緒に踊ってそうなイントロだし(笑)。
中村 今時の方はこういう曲でダンスを付けて歌うんでしょうけど、残念ながら踊れないので(笑)。デジタルロックで、ローがすごく出ているグルービーな楽曲というのは、あまりGARNET CROWになかったですよね。なんとなくデモの時からそういうイメージがあったんですけど、最初に出来上がってきたアレンジは全然違うものだったんですよ。メロウでゆったりとしたGARNET CROWらしいサウンドっていうか。だから、古井さんに言って、もう一回、やり直してもらったんです。いつもオーダーはなく、デモのイメージでアレンジしてもらって、それで制作を進めていくんですけど、この曲はどうしても自分がイメージしたものをやりたかったので、初めてオーダーしました(笑)。そしたら、もっと振り切ってくれたんですよ。その新たに出来上がったものに歌を入れたんですけど、その歌に合わせてさらにアレンジしてくれて、ああいうイントロになったんです(笑)。
岡本 入れるCDを間違えたのかなって思いましたよ(笑)。歌が入ってきたらGARNET CROWらしくなるんですけどね。だから、GARNETを知っている人は“これ、GARNET CROWの曲なの!?”って感じだし、知らない人は歌になって“えっ、こういう世界観だったの!?”みたいな(笑)。GARNET CROWを知ってる人も知らない人も裏切れる曲ですね。
──歌もクールで凛とした力強さがありますよね。
中村 どうしてもそうなりますよね。歌詞も韻を踏んでいたり、言葉の使い方とかメロディーの譜割りとかに面白いポイントがあったりするんですけど、AZUKIさん自身も意図したわけじゃないのに、そういう言葉が出てきたって言ってましたね。メロディーに言い放つようなパンチがあるんで、歌詞と合わさった時により爆発力のある…ワンセンテンスにパワーのあるものになって歌い応えもありました。
──その歌を入れた後に、さらにアレンジされたと。
中村 イントロを作り替えて、ループとかが入ってブラッシュアップされて、もっと振り切った感じになりましたね。クールで爆発力があるんですけど、GARNET CROWらしいメロウな部分もあって、そのバランスが絶妙だなって。
──ストリングスが壮大でドラマチックですしね。
中村 そこが華美っていうか、今までのGARNET CROWに通じるところっていうか。だから、ただクールで強いっていうだけじゃなくて、アンサンブルの構築美とデジタルロック的な要素とうまく融合して、また新しいものができたなって。
岡本 振り切りすぎたんじゃないかって心配してたんですけどね、メンバーは(笑)。でも、いろんな人の感想を聞いていると意外と大丈夫なんだなって。「As the Dew」の時も“これはマニアックだろう_ー”と思っていたんだけど、実際にリリースしてみたら、みんなめっちゃ気に入ってくれたんで、そういうのが今回もあるのかなって。
中村 うん。そういう反応を知るのも楽しみですね。“イントロを聴いて、まさかGARNET CROWだとは思わなかったです”とか言われるとうれしいです(笑)。
──ちなみに岡本くんは中村さんから出来上がってくる原曲を聴いて変化というか、新しさを感じたりします?
岡本 いろんなことをやりたいんだなって。GARNETで言うところの定番ゾーンってあるじゃないですか。そこをギリギリ入ってるか入ってないかっていうような、どストライクじゃない曲が最近多いんですよ。いろいろやって戻ってくることもあるし、その時のモードもあるだろうから、メンバーは楽観視して温かく見守ってます(笑)。
中村 そうやってGARNETの可能性を広げているわけですよ(笑)。
岡本 左様でございますか(笑)。
──(笑)。そういう中で、次のアルバムに向けてバンド内のテンションも高まってる感じですか?
岡本 いや_ー、もともとテンションの高いバンドじゃないので(笑)。みんな、超マイペースですからね。
中村 でも、いろいろやってみよう!っていう感じにはなってますね。前のアルバムからもう一歩先っていうか、それもアリでさらにもっとっていう。選択肢が増えた感じがするので、どういうのものが出来上がるのか、自分たちも楽しみにしています。
──その姿勢が今回のシングルに表れていますよね。3曲3様でさまざまな角度からGARNETを見せているというか。
中村 そうですね。クールで強い「Misty Mystery」と、みんなで一緒に歌ってハッピーになる「live」、原点を振り返ったような王道のGARNETサウンドの「I can’t take...」とが共存していて、自分たちがやりたいと思っていることだったり、現在のモードが分かるシングルになったかなって。
岡本 濃いですよね(笑)。最新のGARNET、ちょっと前のGARNET、さらにもっと前のGARNETが一枚になっているんで。この濃いシングルを聴いてもらって、“次のアルバムを期待してるぞ”って言われたらうれしいですね。次のアルバムにつながるシングルになっていると思うので。
取材:石田博嗣
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