2013-02-21
【ALI PROJECT】レア曲からヒット曲まで、 ALI PROの20年をコンプリート!
今やアニメソングの世界には欠かせない存在のALI PROJECTが、デビュー20周年を記念したシングルコレクションBOXを発売。今では稀少なあの曲やこの曲、さらには新曲まで。ありとあらゆるALI PROが網羅された作品について、宝野アリカ(Vo& 作詞)に訊く!
──“快恠奇奇 ALI PROJECT Ventennale Music,Art Exhibition”というタイトルは、どういう意味ですか?
「“Ventennale(ヴェンテンナーレ)”は“20年に1度”という意味になります。つまり、“20周年の展覧会”という企画です。展覧会と言うとテーマごとにいくつかの小部屋で区切られていたりするので、このアルバも“Japonisme”“少女象徴”“浪漫主義”“エトランジュ”“汎未来派”“暗黒党”、そして“展望”と7つのテーマでまとめていて。全32曲とたっぷりですが、テーマごとに聴けば、少しは聴きやすくなるのではないかと。」
──ALI PROJECT と言えば、ゴシックでダークという印象が強いですが、そういう世界観をやるきっかけとなった曲は?
「もともとクラシックの要素はあったのですが、ゴシックというテーマをはっきり持つようになったのは、01 年の「コッペリアの柩」という曲です。もともとはアルバムの曲として発表していたのですが、アニメ『ノワール』の監督が聴いて、世界観に合うと気に入ってくれて。で、05年のアニメ『ローゼンメイデン』のタイアップをやってからは、ゴスロリ全開です!」
──もともとゴスロリの世界観はお好きだったんですよね。
「すごく好きでしたよ。でも、ここに至るまでには、そういう趣味を全面に押し出していいものなのかと不安もあって。東芝EMI(現EMI ミュージック・ジャパン)からデビューした当時は、そんなのは一般受けしないからと止められて、ちょっと暗めのJ-POP みたいなイメージで売り出されて。それは見事に失敗しましたけど(笑)。結局、やりたい音楽をやるんだ!と、半分自主制作で徳間ジャパンにディストリビュートしていただきながら続けているうちに、CLAMPさんと知り合ったり、アニメのタイアップを多くいただくようになって、今に至っています。」
──独自の世界観をブラさずに貫いてきたからこそですね。
「最初はやっぱり中途半端だったからダメだったんです。結局、世の中に迎合せず好きにやるのが一番なんですね。普通の人に“何だこれ?”と思われるくらいでないと、自分でもやってて面白くないし。時代とともに、聴く側も慣れてきたというのもあります。」
──昨年のライヴでは、ゾンビのような衣装で登場したり、貞子のように這ってステージに出てきたり、ちょっと上から目線のドSなMCだったり…。そういうステージングは?
「最初の頃はライヴもほとんどやっていませんでしたし、やってもどんな衣装を着ていいのか分からなかったし、あまり表に自分を出すことはしていませんでした。04年のシングル「禁じられた遊び」で初めて自分の顔写真をジャケットに使用したのですが、ビジュアル面も好きにやり始めたのはその頃から。昨年観ていただいたライヴは、約10年かけて辿り着いた成果です(笑)。」
──どの曲もドラマチックで展開が激しくて、聴いていると焦燥感を煽られてる感じになるんですよね。
「そうでしょうね(笑)。作ってる私自身が、音楽に安らぎを求めてはいないので。もし、どうしても私たちの音楽で安らぎたいという希有な方は、オーケストラだけで演奏して歌っているアルバムも多々出しているので、そちらをオススメします。」
──しかし、中には意外にもかわいらしい曲もあったり。
「そうですね。「ピアニィ・ピンク」などは、声もまだ細くて初々しいです。『CLAMP学園』というお子さん向けアニメのタイアップだったので、20歳くらいのファンから、幼稚園の時に聴いてました!とよく言っていただきます。でも、かわいいアニメなのに「暗黒天国」なんて曲もやってますけどね(笑)。当時の子供に変なトラウマを与えてなきゃいいですけど(苦笑)。」
──他にも、まったくALI PROっぽくない「LABYRINTH」や、88年のインディーズデビュー曲「フラワーチャイルド」も。
「昔は、今なら絶対にやらないこともやっていて。中には、嫌々歌ってるのがありありと伝わってくるものもあります。もう、なかったものとして、そっとしておいてほしかったんですけどね…。シングルコレクションなので、一応入ってます(苦笑)。」
──さて、今後の展開は?
「ラストの「快恠奇奇」が新曲で、最初に話したテーマの“展望”に分けられていて。今まで20 年間やってきて、ここからまた新しく始まるというイメージをすごく持っている曲です。」
──すごく壮大なサウンドですね。
「ALI PROの曲ってわりと暗かったりしますが、決して人生に対して否定的なことを歌ってきたわけではないんです。むしろ、生きることは素晴らしいことなんだ!というメッセージが根底にあって。ただ、普通のJ-POPとは違って、ALI PRO風に歌ったらこういう歌詞になるということなんですけど。「快恠奇奇」は節目の曲なので、これでもだいぶさわやかに作ったほうなんですよ。」
──写真も青空でさわやかそうですね。
「実はここマイナス3度なんです(笑)。ニューメキシコ州のホワイトサンズという砂漠で撮影したのですが…。寒いとは聞いてたけど、とはいえ砂漠でしょ!とナメて行ったら、酷い目に遭いましたよ。さわやかさとは無縁で、凍傷寸前でした。あと、撮影地は海外ドラマでも有名はロズウェルの近くなので、あれはUFO じゃない?みたいなものも観たのですが…もしかすると、私が立ってる地下では、エイリアンの研究が行わなれていたかも!こういうのも、ある意味でALI PROっぽいでしょ(笑)。」
取材:榑林史章
(OKMusic)
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