【ダウト】今まで以上に怖いもの知らず

　東京、大阪、札幌、仙台、福岡、名古屋の各都市編で発表されるニューシングル「中距離恋愛」。それぞれの土地の空気感を匂わせながら、やるせない思いを抱える恋人の胸の内を熱量高く歌い上げている。

──ご当地ソングとは面白い企画ですね。

幸樹「作りたかったものがこういう曲だったんですね。今回の「中距離恋愛」まで盛り込んでいなかったとはいえ、今までも景色が限定される地名や事柄だったりは歌っていたので抵抗はなかったし、より景色がはっきり見えるほうがいいなって。」

ミナセ「歌謡曲って今の時代だとインパクトが強いと思うので、街中で聴くとすごく残ると思うんですよ。ひとりでも多くの人の耳に残ってもらいたいし、ぜひ触れてもらいたいなって。」

──哀愁漂うカバーソングなどを盛り込んだ前作のミニアルバム『high collar』が布石となっていたのかなと。

玲夏「『high collar』がひとつの自信になったのは確かですね。『high collar』は自分たちの濃い部分を出すっていう前提で選曲したんですけど、それをファンの子も素直に受け入れてくれたんで、今まで以上に怖いもの知らずっていうか。素直に自分たちから出た音を出せればっていう気持ちで、変に気難しく考えずに作れましたね。」

──ストリングスやホーンは明るくて、バンドは物悲しげ。そこに幸樹さんの熱っぽい歌が入ると生々しくなりますね。

玲夏「プロデューサーの岡野ハジメさんとやり始めて、曲の構成とか、ベースラインの作り方とか、勉強になる部分がたくさんあって。メンバーもいろいろ吸収しているから、すごくスキルが上がってるなっていう実感がありました。」

ひヵる「今回特に作品が出来上がってからの自信が今までと違う。自分自身も何回も聴き直したし、マスタリングが終わってからは“早くみんなに聴かせたい！”って気持ちが強かったですね。」

幸樹「こういうメロディーは好きだし、テンポ感やリズムにしても自分に合ってるんで、楽しんで歌えましたね。」

──主人公の言い表せない気持ちを言葉にせずとも、リスナーに読ませているのもポイントかと。

幸樹「別に恋愛がうまくいっていないわけじゃないし、振られたわけでもない。でも、そういう腑に落ちない、やり切れない気持ちを…日本の映画って白黒はっきりさせないエンディングが多いじゃないですか。そういうのが好きなんです。」

──カップリングの「ジュリアナ」は現実をシニカルに捉えていて、「WILL」では現実を受け止めて吹っ切れてるんだけど、その吹っ切れ具合はポジティブで嫌みがないという。

ひヵる「「ジュリアナ」は激しいけど、歌がちゃんと出る。綺麗にまとまってるなって思いました。僕も激しい曲を多く作るんですけど、どうしてもうるさい方向になってしまって。「WILL」は、威吹が作ってきたにしては珍しい。綺麗めなちょっと悲しげな曲が多いんですけど…ここまで明るいと何かあったんかなって。」

威吹「何もないですよ（笑）。確かにメジャー調の曲を作るのは苦手なんですけど、今回ライヴで盛り上がる、未来に向けてのメッセージソングという自分の中でのテーマがあったんで、頑張ってメジャーキーで作ってみました。」

玲夏「ギター陣が作ってくる曲って、プレイヤーとしては辛いところがあって。ベースが打ち込みなんですよね。そこからアイデアを広げていくのって意外と難しいんです、初めて言ったけど。」

──ある程度出来上がった状態のものに自分の味を出すってなると難しいですよね。

玲夏「ラインとか何もなしにコードを追う音を崩して、自分でイチから構築していく作業が意外と大変で、作業にかかるまで腰が重かったです（笑）。」

取材：ジャガー

(OKMusic)