瘡蓋を剥ぎ取る 丁寧に 破れない様に
指でなぞる
「私」を確かめるかの如く
捩り詰め込んだ美徳の刃が脈を切り刻む
剥がれて行く 崩れて行く
曖昧な歪が残った
其方から此方を抜け彼方が見透かせるかの様
爪と肉の間に喰い込んだ滓
それはかつて焦がれ焦がれた綺麗な戯れ言
掻き毟り取り溢れた蜜の味
それは今も…
流れて行く 壊れて行く
慥かな異物が残った
吐き気さえ飲み干して 喉を這い出ずる手を噛む
「私ハ傀儡、猿轡ノ人形」
津液に溺れ錆びた声が私を喰い破る
乞えば溢れて また一つ増える「穴」
映せば在れど無く 黒い枷に塗れた物言わぬ傀儡一つ
触れてみれば…ざらり…ざらり…
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