2012-06-20
【Plastic Tree】今の時点で最高のものとして表現できた
今年4月に4度目の日本武道館公演を成功させたPlastic Treeが、メジャーデビュー15周年“樹念”第二弾シングル「くちづけ」をリリース! “自分たちの原風景にも近い”という同曲について、有村竜太郎(Vo)と長谷川 正(Ba)に訊いた。
──Plastic Treeにはいろんなタイプの曲がありますけど、「くちづけ」はすごく“らしい”曲ですよね。長谷川さんの曲ですけど、イメージとしては?
長谷川 曲の雰囲気とか印象で言うと、こういうマイナー系のコード進行にちょっと切ない感じのメロディーが乗っててっていう…あくまでそういうイメージからスタートしたんで。そこに、今のプラにマッチした感じの、例えばリズムだったり、そういうものも盛り込めたらなぁって。
──で、有村さんが歌詞を乗せる、っていう作り方ですか?
有村 そうですね。曲から呼ばれる言葉というか、曲を聴いて触発されるような心象風景的なものを言葉に落とし込んでいったりしつつ。もともと持ってる世界観が強い曲だったので、それに沿った言葉で物語を創っていけたらなぁっていう。
──レコーディングはどんな感じで?
長谷川 いわゆるプリプロ…前段階でメンバーで集まってやる作業をわりと密にやったんで、レコーディング自体は結構スムーズでしたね。プリプロで出たアイデアをどう清書するかみたいな感じの作業だったんで。曲の風景固めみたいなものですね。
──アイデアは、メンバー全員で出し合っていったと。
長谷川 ただ、少なくともキモの部分は自分の中で固めるようにはしてるんですけどね。この曲はここがいいんだよ、みたいな。
──この曲の場合は?
長谷川 この曲はもう、コード感とメロディーの兼ね合いですかね。あとは、リズムの雰囲気だったりとか。まぁ、いわゆるバンドとしてすごいベーシックなところかもしれないですけどね。
──レコーディングでは、そこを大事にして?
長谷川 そうですね。そこをより際立たせるっていうか。特にベースなんかはそうですね。そのコード感だったり、リズムだったりってものを自分のベースを使って、よりくっきりと浮かび上がるようにできたらなぁって思いながらやってました。
──ヴォーカルはどんな感じで取り組んだのですか?
有村 歌のイメージが頭の中であったんで、それにどこまで近づけるかみたいなところを結構時間をかけてやってましたね。なんか、必要以上に感情的に歌うんじゃない感じがあったんで、ちょっと淡々としたところでっていうか。
──声の音色がすごくきれいに入ってるなぁと思いました。
有村 音として声をとらえて、自分の中で作るイメージが大きかったんですよね。ワンワード、ワンワード、こういうふうな感じで響けば…って、ほんとそれが感覚として強かったんで。
──ちょっと擦れる感じのところとか、張り方とか、そういうところも細かいニュアンスまできれいに伝わってきましたよ。
有村 あぁ、それが伝わったならうれしいですね。
──完成してみて、改めて感じたことは?
長谷川 こういう曲はPlastic Treeにとって必要な曲なんだなぁと思いました。もともと自分たちの持ってる原風景にも近い部分ではあるんですけど、そういうのって過去にもやってきたし、もう自分たちの中で消化されちゃってて、改めてかたちにする必要もないだろうっていう考え方もできると思うんですよ。だけど、今回、バンドを始めた時に“こういう曲あったらいいよね”って思っていたような曲をもう一度作ってみた。結果、ちゃんと今の自分たちのセンスだったり、スキルだったりを出せているなって。自分たちって、変化を遂げてきてるけど、いい意味で変わらないところは変わらないのかなぁって実感することもできましたね。さっきも言ったんですけど、コード感だったり、リズムの気持ち良さだったり、メロディーラインの気持ち良さだったりっていう。自分たちがずっと自分たちなりに追求してきたものっていうのを、今の時点で最高のものとして表現できてると思うんで。
──そして、カップリングには「くちづけ」のライヴバージョン(今年4月の日本武道館・初演版)が収録されているのですが、“初演版”ということは、この曲が初めて人前で演奏されたテイクということ?
有村 そうですね。初めてです。
長谷川 お客さんも予備知識が一切ない状態で。そういう瞬間をとらえた音源も面白いかなぁみたいな。今後ライヴで演奏していけば、この音源とは違った表現の仕方というか、違った印象になるのかもしれないですけど、この緊張感や空気感をとらえた音源っていうのは、その日しか録れないし。
──あと、初回盤には「くちづけ」のPV付きで、通常盤A・Bにはそれぞれライヴで人気の名曲2曲のリビルドがカップリングとして入ってますね。
有村 再構築するにあたって、基本的には基の曲のイメージを壊したくないっていうのが希望としてあって。
──ずっとライヴでやってきてるってことは影響してます?
有村 それはもちろんあると思います。あと、今の4人でやったらどうなるのかなっていうのもあったし。原曲のレコーディング時とはメンバーが違うんで。この4人でやったら、今どういうふうに響くんだろうっていうのはありましたね。
──そういう意味では、今回のシングルは、今のPlastic Treeというものが凝縮されてる作品と言っていいんですかね。
有村 うん、ほんとにそうだと思います。
──もし誰かに“プラってどんなバンド?”って尋ねられたら、今作はまず聴いてもらうのに最適じゃないかと思うんですよね。最新作品であり、バンドの本質的なところが表れているし。
長谷川 そうですね、ほんとに。もちろん他の側面はたくさんあるにしろ、まずPlastic Treeっていうバンドのキャラクターを知ってもらうにはいい曲じゃないですかね。
──じゃあ、今まで縁がなくて聴いてなかった人に。
長谷川 そうですね。ぜひ聴いてほしいですね。
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