2010-08-20

【小林太郎】いろんな曲があるけど、どれもテンション高い

 4月に1stアルバムを全国リリースし、夏には数々のフェスで衝撃を振りまいた、若干20歳の小林太郎が、早くも2ndアルバム『DANCING SHIVA』を完成させた。地を震わせるような歌力が、幅を広げた楽曲の中で存分に発揮された傑作だ。

──夏はたくさんフェスに出てましたけど、鍛えられました?

そうですね。夏前は、フェスのライヴの絵がまったく想像できなかったんですよ。無理じゃねぇ!?って。でも、お客さんとコミュニケーションがとれるようになって、オープンになれましたね。

──そこで素朴な疑問なのは、前作から隙間もなく、出演フェスもこれだけあって、いつ今作の制作をしていたのかっていう。

俺も作る前は素朴な疑問でした(笑)。曲作りは3月から5月くらいで、レコーディングは6月から7月くらいで、ミックスを8月にやって終了っていう。最後はフェスに行きながら、その先でミックスの要望をメールしたりしてましたね。フェスで傷だらけになって、レコーディングで傷だらけになったら、削ぎ落ちる肉もないわ、骨だけになるのかなって思ったんですけど、1stで一回経験したこともあったから、精神的に余裕があったんですよ。

──今作に対してビジョンはあったんですか? 例えば、1stはこうだったから、次はこうしよう、みたいなこととか。

言ってもらった通りですね。1stが、こういうアルバムにしようと思って作ったアルバムじゃなくて、がむしゃらに作ったんですけど、その後で客観的に見て、迫ってくる感じはないけど、その場でどろどろしてると思ったんですよね。だから、2ndは漠然とした言い方だと、衝動的にやりたい、でも1stのどろどろしたエネルギーはそのまま持たせたいっていうふうに考えました。歌詞も、120パーセントオープンにしたいけど、それはできないから、一方通行でもいいから自分で発信してみようって思いました。

──とてもエネルギッシュに仕上がりましたよね。

1stではすごく悩んで曲作りして。歌詞なんて特に、何を書いていいか分からなくて。でも2ndはすごく作りやすかったんですね。ロックはもっとロックに、バラードはもっとバラードに振り切りたいと思ってて、そしたら歌詞も書きやすくなって。だから、適当じゃないけど、気楽にがっつり、速いんだけど力強さは大切にしてって感じが欲しくて、それを意識しながら作りました。

──じゃあ、自分の素も出た感じ?

そうですね。自分で思ったことをちょろっと入れてみようとか、そこは進歩できた感じがして。コンセプトを自分の中に持っただけで、こんなに変わるんだって知れたアルバムですね。それまでやったライヴも生かされてて、もっと盛り上がりやすい曲が欲しいって思って作ったり。そこで、俺ってこんな感じの歌詞書くんだなっていう発見もありましたね。

──思ったのは、バラードの歌も、激しい曲と同じテンションで聴けるエネルギーがあるなっていうところで。

そういうところを出したいと思ったんですよね。ロックはもちろんだけど、バラードでも同じ力強さが欲しいと思って。そうやってアルバムの一貫性が出せたのかなって。いろんな曲があるけど、どれもテンション高いっていう。

──あとは、さっき自分に対する発見もあったと言ってましたけど、自分のヴォーカルが持っている、いろんな武器に気付けたところもあったんじゃないですか?

あー、ライヴで歌ってみて、どういうふうに歌えるようになりたいとか、どういうふうに歌えるようになったとか思えたんで、ヴォーカルでもいろんな歌い方を試せていると思います。

──歌そのものを聴いているだけでも楽しいですもん。

歌ってる方も楽しかったです。

──このテンションを出すために、どういう感じでブースの中で歌ってるんでしょうか?

死ぬかと思いましたね。120パーセントの力で出し切って歌っても、もっと熱量があればいいかなって言われて(笑)

──そういう時はどうするんですか?

明日死んでもいいかな、って思いながら歌う(笑)。ハンドマイクで、上半身裸でレコーディングしましたからね(笑)

──おおっ(笑)。ライヴばりのデカい声で歌うんですか?

ライヴよりデカいと思いますよ(笑)。ライヴは響きがあるから、マイクに負担かけないように歌うんですけど、レコーディングは、自分の声がアンプというか。昔のアンプって音量上げないと歪まないけど、今のアンプはゲインを上げれば歪む、でも熱量は違うじゃないですか。そういうので言うと、昔のアンプと似てます。でも、特別じゃなくて、普通だなって感じですけどね。

──歌詞だと、特に「ユニヴァース」とか「ガソリン」が、今の20歳っていう年齢ならではの感じが出てると思いましたね。

『ユニヴァース』はもろそんな感じですね。『ストファイHジェネ祭り』のテーマソングの話をもらってから書いたんですけど、お題があって書くのが好きで、平成生まれの人の大会だから、それに沿った感じで、自分の世代だから言われたことを書こうと思ったら、さらさらって書けて。不満はあるけど反抗しないとか、反抗しないけど言いなりにもなりたくないとか。

──そこには、テーマがあれ、自分の本音も入ってますよね。

そうですね。他の曲も自分で前提を設けたことで、書きやすくなったかなって。個性を出そうと思ってやったわけじゃないのに、型にはめて出そうと思ったことで、個性が出てきたことが面白かったですね。それも自分では発見でした。

──最後に、アルバムタイトルに込めた気持ちというのは?

母親がなぜかインドの神様の話をしていて、シヴァ神は、物作りの神様で、いいものを作るには、今あるものを壊して、ゼロからじゃないと作れないっていう神様で、英語では“DANCING SHIVA”っていうんだよって。絵も踊ってて。破壊の振り切ったイメージと、踊ってる娯楽の振り切ったイメージと、両極端なイメージがして、それが2ndには合ってると思ったんですよね。

取材:高橋美穂

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