2017-06-02

原宿系カルチャーの祭典『KERAフェス2017』。5月27日(土)渋谷WOMBLIVEが、奇抜で濃厚なKERA色に染まった。

自分らしさを大切にしている女子必見のティーン誌として、パンク、ロリータ、ゴシックなど、個性的なファッションやカルチャー情報を発信し続けている原宿系ファッション誌「KERA」が主催する「KERAフェス 2017」が、5月27日(土)東京・渋谷WOMBLIVEにて開催された。メインMCをKERA松村編集長と人気モデル・ルウトが務め、KERA人気モデル多数出演の新作ファッションショー&トークショーと、KERAにゆかりのある音楽アーティストのライブステージを展開していくという、まさしくKERAを象徴するような音楽とファッションの祭典。ライブ部門とファッション部門が主に交互に行われた。

ファッションショーでは青木美沙子やAKIRAなどKERA誌モデル数名で「KINGLY MASK」「SEX POT ReVeNGe」「Angelic Pretty」の原宿系ブランドの最新ファッションをランウェイにて紹介。「KINGLY MASK」のショーではゲストバンドであるレイヴやアンフィルのメンバーもランウェイに登場して場を盛り上げる。ショーのあとはKERAモデルを招いたトークタイムも設けられ、ファッションのコツや着た心地の感想などに花が咲いた。抽選会とトークショーではAKIRA、青木美沙子、木村優といったKERAを長く支えるモデルたちによる思い出話に。KERA+SHOWROOMコラボオーディションで選ばれたラッキーガール4人のトークタイムなど、KERAという雑誌が実際のステージに飛び出てくるような内容で彩られた。

ライブ部門には8組の音楽アーティストが登場。一番手はKERAカリスマモデル・AKIRAがボーカルを務めるスーパー晶子バンド。メンバーには皆方由衣や星名桜子といったKERAモデルを含む6人編成で登場した彼女たちは、「爆裂乙女心」ではメンバーがヘドバンを行ったり、キャッチーな四つ打ち曲「右手左手振ってチャチャ」では振り付けやOiコールなどで観客を煽り、パンキッシュなロリータファッションとともに華やかなステージを見せた。

LINDBERGの川添智久のプロデュースでデビューをした冒険的ガールズロックバンドRagnaRockは、上手ステージにつながったランウェイもフルに使ったパワフルなパフォーマンスで観客を魅了する。ポジティブなメッセージを懸命に伝える姿に、フロアからはいくつも拳が上がる。MCなしで3曲演奏しきったところにも自信のほどが窺えた。ボーカルのアカペラでステージの幕を開けたのは、レジスタンス系ガールズロックバンドを自称するNoble rebel。この日が初ライブだという彼女たちは、仮面+ドレッシーなミニスカートにロングブーツというセクシーな衣装に身を包み、曲の世界観に没頭するように演奏と歌唱を畳みかける。Nachi(Vo.)は「走り続けるので見逃さないようにお願いします」と凛とした表情で抱負を語り、ラスト「MASQUERADE」ではメンバー全員が仮面を外してプレイ。濃厚で妖艶な世界を見せた。

続いて登場したのは、昨年のKERAガールズバンドプロジェクト第2弾で選ばれた、シャ乱Qはたけプロデュースによるシンデレラガールズ・FUN RUMOR STORY。オーディション、楽曲制作、3日間の集中合宿の様子やインタビューといったドキュメンタリー映像で丁寧にバンドが紹介されると、白い衣装に身を包んだメンバー5人がステージへ登場。「Dear darling」ではクラップを促し、TaKey(Vo.)は和歌山なまりで「みんながクラップをしてくれているのを見て感動した」と感無量の表情を浮かべる。初ライブということでフレッシュな空気に満ち、それでいて練習の成果を見せつけるような堂々としたステージだった。そのあとは松村編集長とルウトとともにFUN RUMOR STORYのトークショーへ。メンバーはデビューライブにかけてきた想いなどをひとつひとつ自分たちの言葉で伝えていく。はたけからのビデオメッセージや総監督であるex.HOUND DOGの鮫島秀樹の登壇もあり、メンバー全員にスポットが当てられた。

ライブ後半戦の先陣を切ったのはアンフィル。アンフィルオリジナルである“ヒカルグッズ”を手にした女子が多数現れたフロアはかなり煌びやかだ。安定感のある演奏、タオルを回す曲やアッパーで疾走感のある楽曲などで魅了し、翔梧(Vo.)はクラップやコール&レスポンスなどを求め、すみずみまで煽りながらコミュニケーションを取っていく。盛り上げ上手で華やかなステージングは、様々な客層が多いKERAフェスにも順応していた。

3月に解散したHysteric LolitaのボーカルでありKERAモデルとしても活躍するRaniは、この日がソロ初となるライブステージ。「久し振りのライブで緊張と興奮のるつぼ」と彼女は語っていたが、緊張など微塵も感じさせない自然体で凛とした佇まいだった。バックバンドとの息もばっちりで、バンドに突き動かされるようにロングヘアーを振り乱す姿や拳を振り上げてジャンプする姿もクールかつキュート。歌姫としての風格を見せつけた。

4月26日に1stシングル「雨は次第に弱まる」をリリースしたice(ex.Black Gene For the Next Scene)はオペラのように豊かで力強い歌声を響かせる。ただMCになると一転、「楽器隊に感謝しろ! (ソロアーティストだから楽器隊が)いないとカラオケで歌うことになる!」とテンポのいいトークで次々と笑いを誘った。観客やファンへ感謝の気持ちを伝えると、その気持ちを歌に込めるように「Harness」を情感たっぷりに歌い上げる。終始熱い歌を突き刺すようなアクトだった。

トリを飾ったのはレイヴ。登場するやいなやレン(Vo.)が「必ずみんな楽しませます」と宣言した通り、彼らの武器でもあるジャンルにとらわれない音楽性と抜けのいい個性的なボーカル、どこか飄々とした雰囲気など、遊び心に溢れたステージングを次々と見せていく。セットリストが進むにつれて中毒性も増し、ダイブしてきた観客を抱きしめたりフロア全員に肩を組ませるなどの無理矢理感や豪快さも痛快。ラストの「SETSUDAN」まで会場中が終始彼らのペースに巻き込まれていた。

最後に松村編集長とルウトがステージへ登場し、松村編集長は「今後もこういうイベントが開催できるように頑張っていきたい」と抱負を語る。こうして5時間弱にわたる、1本1本が非常に濃厚な音楽とファッションの祭典は幕を閉じた。

取材・文 沖さやこ
撮影・写真 牛島康介

《「KERAフェス2017」公式サイト》
http://www.e-next.co.jp/kerafes2017/

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