2013-05-20

【Aldious】Aldiousの可能性がすごく広がった充実作

 新メンバーRe:NO(Vo)を迎えて制作されたシングル「White Crow」も好評なガールズメタルバンドAldiousが、3rdアルバムをリリース。メロディアスかつ起伏に富んだ本作について、フロントの4人に話を訊いた。

──今回のアルバム『District Zero』ですが、全体的にはすごく疾走感がある作品になりましたね。

Yoshi「そうですね、Aldiousの曲はもともと疾走感が醍醐味っていう感じなんで。でも、中には「Scabby Heart」みたいなラウドな曲も入れてみたり。とにかく多様なアルバムにしたいなとは思ってました。前作の『Determination』はわりと疾走感のある曲でバーッといってたんですけど、今作はメンバーのカラーを出しつつ、でもメロディーはデビュー当時から変わらず。メロディーを重視して、他の面ではすごく変えましたね。特にギターソロは…今までの自分のギターソロって“メタルだから速弾きしなきゃ”とか“テクニカルなことしなきゃ”みたいな部分があったんですけど、今作はほとんどそういうことを考えないで作ったんですよ。曲に合ったソロっていうのを意識しましたね。メタルのアルバムを作ってやるぞっていうより、ひとつの作品を作ってやるぞみたいな。ここで盛り上がって、ここでちょっと抒情的になってとか、起承転結のある感じにはしたいなと思ってました。」

──起承転結といえば、アルバムラストを飾る「菊花」は、悲しくもドラマティックなバラードナンバーですね。

Re:NO「これは17歳頃、すごい大事なものが全部なくなっちゃった時期に作詞作曲した曲です。家族から友達から何から、大事なものが全部。今回のレコーディングでは、その17歳のこの曲を作った時の気持ちを思い出して歌ったので辛かったですね(苦笑)。どういう気持ちで歌っていいんだろう、みたいな。」

──救いの成分がないですからね、この曲の歌詞。

Re:NO「ないです。もう本当“あ、全て終わった”と思いました、17歳の時。“あぁ、 何もなくなっちゃった”みたいな。この曲は当時、自分で宅録してたんでデモ音源はあったんですけど、レコーディングの日、家からスタジオまで向かう間、その音源をすごい聴き込んだんですね。デモ音源を聴きながら電車に乗ってスタジオに向かってたんですけど、どんどん世界に入ってっちゃって、もうなんか死にたくなってきちゃって(笑)。…すごい暗くなるような歌詞ではないんですけど、辛い時期に作ってるっていう思い出があるから、フラッシュバックじゃないですけど、あの時のことがブワーッと蘇えってきて、スタジオ着いた時には“…お願いしまーす(棒読み)”みたいな感じで、なかなか始められなくて、歌えなくて。終わったのが朝の5時くらいかな、一番時間かかったんじゃないですかね、この曲が。」

──今、こういうかたちで発表できるってことは、その時の気持ちを受け入れるとか、認めることができたっていうこと?

Re:NO「その、認める作業がレコーディング中でしたね。まだまだ気持ちの整理がついてないというか、曲を書いたものの、曲ができてからあまり歌詞をちゃんと考えて歌うことがなかったんで、今回のレコーディングで歌いながら“あぁ、こういうことあった。でも、今はもうあの時じゃないし。たぶん自分も強くなってるし”とか、そう言い聞かせながら歌ってましたね。このアルバムが発売されて、ツアーがあるんですけど、今はそこで歌うのがすごい怖いです。曲にするってことは人に聴いてもらいたいから作ったんですけど、だけど聴いてもらえてるっていう感動が今回のツアーの「菊花」で出ちゃわないか心配で。“ついにみんなの前で、こんな大勢の中で歌えるんだ、Aldiousとして自分の曲をできるんだ”っていう、そういう喜びと、歌詞の悲しみとっていういろんな感情が混ざって、ちゃんと歌えるのかなっていう心配はあります。」

Yoshi「確かに、悲しい感情を大勢の前で歌うっていうのは大変やろうなとは思いますね。ヴォーカルってすごいですよね。自分の実体験を大勢の初対面の人の前で、感情をさらけ出すって。自分の過去の辛い思いを全然知らない人に言うようなものなんで。」

──ヴォーカルというパートは一番身を削って感情を伝える表現者なのかもしれないですね…。では、アルバムの話に戻りますが、今作が完成した今の手応えを聞かせてください。

Re:NO「すごいバラエティー豊かなんですよ。この一枚の中でミディアムテンポだったり、バラードだったり。ずっと聴いてて飽きないというか。ひとつの枠にとらわれないAldious、いろんな顔のAldiousをこのアルバムでできたと思うので、これからもいろんな一面を見てもらいたいなと思います。」

トキ「今回のアルバムは、Aldiousの可能性っていうのがすごい広がった作品だと思うんですよね。今までになかった曲とか、アレンジとか、歌詞だったりとか。他にもまだ、ああしたいこうしたいっていうのが今回の制作にあたって出てきたんで、ここからもっともっとAldiousの世界がどんどん広がっていくための出発地点っていう感じになったんじゃないかなって思います。」

サワ「今回のアルバムでやっと、自分の曲が作品化できたんです。「Misty Moon」っていう曲で、作詞作曲させていただいたので、聴いてもらって覚えてもらって、ライヴで一緒に歌ってもらえたら嬉しいです。新生Aldiousを代表する一曲としてみんなに覚えてもらえたらと。今回のアルバムは、この曲以外にも「夜桜」「Raise Your Fist」とか歌えるような曲が多いので、ぜひライヴでは一緒に歌って盛り上がってもらいたいですね。」

──アルバムのリリース後には、ツアーも予定されていますが。

トキ「自信満々のアルバム引っ提げてツアーを回るんで、みんなに笑顔と元気と生きるパワーとか希望とか勇気とか、そういうのを与えられるようなライヴを目指して頑張りたいと思います。」

Yoshi「今回のツアーは頭から最後まで通して、感動を与えられるようなライヴにしたいなと。単純に“楽しかった”だけじゃなくて、観にきた人全てを感動させるライヴにしたいなと思っています。」

Re:NO「掛け合いの曲とか、みんなに歌ってもらいたい部分とかあるんで、そういうところも覚えて一緒に。自分がマイクを向けたら歌えるくらいアルバムを聴き込んできてもらいたいですね。」

取材:舟見佳子

(OKMusic)


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