2019-03-26
umbrella、全62曲、6時間に及ぶ9周年記念ワンマンを完走
関西を拠点に活動を続ける4人組バンドumbrellaが結成9周年を迎えた。
それを記念して3月24日に東京・高田馬場AREAでワンマンライヴが開催されたのだが、この日は普段のライヴとは異なり、持ち曲をすべて披露するという。
umbrellaにとって全曲披露ワンマンは初の試みというだけに、傍から見れば無謀とも取れる挑戦だったが、彼らは6時間かけてすべての曲をやり遂げた。結論から言おう、とても素晴らしいライヴだった。
正直なところ、これまでの楽曲をすべて披露するとはいえ、彼らが築いてきた9年間という濃密な歴史が1日の中でどう収まるのか観る側としてはいささかの不安はあった。
だが、ライヴが進むにつれ、鮮やかさを増していく楽曲を観て、この無謀とも取れる挑戦にはちゃんと意味があったのだと思えた。
彼らがなぜ今日までumbrellaを続けてこられたのか、その想いが曲を通して明らかとなった。
15時半過ぎ、「リュミエール」に乗ってメンバーが静かにステージ上に現れる。
いつもとは異なる主旨のライヴとあってか、フロアとステージに良い緊張感が走るのを肌で感じられた。
唯(Vo/G)の「umbrella、始めます」という合図と共に「軽薄ナヒト」が長丁場の開始を告げる。
辺り一面を柔らかく包むような心地よいメロディに合わせて観客は体を小刻みに揺らしていく。
思い起こせばこの曲は、MAVERICK DC GROUPとソニーミュージックが主催する新人バンド発掘企画「BATTLE OF THE BRAVE」で優勝の際に獲得したDANGERCRUE RECORSからのリリース権でリリースした楽曲であり、それによってumbrellaの名前を多くの人に知ってもらうきっかけとなっただけに、メンバーも演奏していて当時の思い出が蘇ったことだろう。
だが、今日は全曲披露ワンマンだ。それゆえ、この曲だけで懐かしいとは言っていられない。
ここから先、もっとたくさんの思い出が鮮やかな曲と共に思い出されていくのだから。
その後、「箱庭」「WALK」とライヴは続き、次に「叩けば誇り。」が演奏されるはずだったのだが、柊(G)がはやる気持ちを抑えきれなくなったのか、後で演奏するはずだった「トウメイ」を紹介してしまうというハプニングが勃発。
そもそも、なぜこのハプニングが起ったのかというと、今日はメンバーそれぞれが、自分の推し曲を入れてセットリストを構成していたことが上げられる。
曲の間に挟み込まれたMCで各々が推し曲について思いを語るという形を取っていたのだが、あまりにも想いが溢れすぎたのか、当初8曲目で演奏されるはずの「トウメイ」を先に紹介してしまったというわけだ。
だが、そこはさすがumbrella。メンバー全員が曲を途中で止めることなくやりきったのだった。
「和んだところで、次の曲いこうぜ!」とニコニコした顔で春(Ba)が言うと、フロアからも思わず笑みがこぼれる。
こうしたこともあり、ライヴがスタートしたときに感じられた緊張は一気にどこかへと吹き飛んでいってしまった。
そう、ライヴというのは、持ち曲をうまく演奏する発表会の場ではない。
こうした予期せぬことが自然発生するから面白いのだ。
そこからは「叩けば誇り。」を筆頭に、「モノクローム」など勢いの良い曲が並べて演奏された。
そんな中で目立ったのは、「五月雨」だ。柊のギターが生命を宿したように感情を持って奏でられ、そこに乗る唯の歌声はどこまでも伸びやかに響く。それだけに、ライヴで人気の高い楽曲というのも頷ける。
ここでは、観客がリズムに合わせて拳を一斉にあげて盛り上がっていったのだが、激しいテンポの楽曲ではないのに拳をあげる様がよく似合っていた。
激しいといえば、「シェルター」も良かった。この曲は春がumbrellaに入る際に初めて唯から聴かされたものであり、umbrellaに入る決め手となったそうだ。この日も、フロアに響き渡る低音が気持ち良く、挑発するような眼付きで歌う唯の姿が印象的だった。
また、本編中盤では「Frontier」を披露。この曲はリリースした当時、umbrellaの中で異色の曲と言われていたのだが、何度もライヴで演奏したことで浸透していき、最終的にはライヴ曲へと成長していった。
それだけにこの日も自然とフロアから手拍子が起こる様子は観ていて実に爽快だった。
この後には、唯が傘を持ちながら歌ったバラード曲「スロウレイン」にフロアは心を奪われることに。
メンバーの仕草や表情といった視覚面で観客を魅了したのはもちろんのこと、聴覚を揺さぶるほどの美しいメロディに辺り一面がumbrellaの色で染まっていくのがわかる。
歌い終わりにギターの音色が余韻を残すと、幕がスルスルとしまっていった。
今日のライヴは長丁場のため、ここから10分間の休憩が挟まれることになったのだが、そんな休憩タイムでもメンバーは遊び心を忘れない。スクリーンにスタジオの練習風景が映し出されると、そこで演奏されていた「ヒマワリ」と「キラメキ」がこの後すぐに披露された。
音源未収録の2曲というだけあって、フロアが盛り上がったのは言うまでもない。
曲が終わり、メンバーがステージ袖に一端はけた後でもう1度出てくると、フロアの空気感はガラリと変わっていった。
ようやく来た折り返し地点、しばらくしてから披露された「レイニングスター」は、将(Dr)にとって思い入れのある1曲。
これは初めて4人で合わせた曲であり、ドラムのフレーズ的には難しくないけどニュアンスが難しく、それだけにやり甲斐のある曲だそう。
疾走感のある歌モノゆえに普通に演奏したら単純なポップスになりがちだが、そうやってニュアンスを意識することで緩急がついた仕上りになっていた。
気付けば、普段のライヴの曲数をとうに超えている。休憩を挟んだとはいえ、メンバーの体力もかなり消耗されているはずだ。
だが、唯の喉は枯れるどころか艶を増しており、楽器陣のスタミナもまるで切れていない。
さらに、「anima」の後で「まだ休ませないよ!」と唯が煽るものだから、フロアもますます元気を取り戻していった。
本編後半には『管」』と『「月」』といったファンから人気の高い楽曲を続けて披露する。
前者では黄金色の照明に照らされたステージの上で唯がリラックスした様子で歌っていく。
後者は初期umbrellaの中で最も人気のある楽曲だけあって、観客も思い思いに体を揺らして音を楽しんでいった。
なお、この曲は入手不可音源となっていたのだが、今日のライヴから会場限定アコースティックCDの収録曲として購入できるそうなので、ぜひとも入手してもらいたい。
さて、ここまで観ていて思ったのだが、umbrellaの楽曲はどれも自然体だ。
だからこそ、観客の自由意志で楽しめる。こう観なくてはならないという決まりがumbrellaのライヴには一切ないのだ。
だからこそ、これだけ多くの楽曲を次々に披露されても飽きることはなく、どんどん聴けるのだろう。
「本当に来てくれてありがとう。今日が1番良い景色です」と素直に喜びを表わす唯。
そんな彼がギターボーカルとして良い意味で概念を崩されたのが、この曲、「拝啓、雨日和」だ。
曲中でタオルを振り回すだけにギターを置いて歌に専念するのだが、「ボーカルとして戦えないと嫌だなと思った曲」というだけあって、ボーカリストという視点から見て非常に貪欲な曲だ。
そこから、「アンドロイドと果実」や「オカルト彼女」といった、これまたバンドにとって貪欲になれる曲を挟みながら、「Witch?」へと。
ここでは柊がギターを背中で構えて弾き倒す姿が非常にROCKだった。
フロアは手を上げたままジャンプを繰り返し、曲の世界観へと引き込まれていく。
そうこうするうちに、いよいよライヴはラストが近付いてくるのだった。
彼らはまだ止まることを知らない。「ヨルノカーテン」でもう1度観客にタオルを振り回させてその場を盛り上げると、「みんなここまでよく見守ってくれました、ありがとう。
正直、この企画を考えてから無理じゃないかなって……でも、案外できるもんだなって。
それもすべて、あなたたちとスタッフ、そしてバカな仲間のおかげです」と唯は感謝を述べた。
温かな空気が場内に流れる中、バラード曲「夕立」で本編は締め括られたのだった。
そして、たくさんの声に呼ばれて再度ステージに登場したメンバーは何とも晴れやかな表情を浮かべていた。
アンコールのラストに用意された「アラン」を演奏する前、4人は今感じていることを口にしたのだが、皆一様に、こうして無事にバンドが活動9周年を迎えられたことの嬉しさと、これからに対する希望を語っていた。
その中でも印象に残ったのが唯の言葉である。実は昨年から自分の父親が病と戦っていること。
それでも今日のライヴに向けて「気にせずにやってこい」とビデオレターでメッセージを送ってくれたそうだ。
家族が頑張っているから自分もこうして必死に頑張ることができる。
そのうえで、自分にとってはメンバーとファンも同じぐらい大事な家族だと。
そして、「これだけ集まってくれたら心強い」と、しっかりと前を向いて話す唯の姿はどこまでも頼もしく、「アラン」を演奏した後に「お前ら、俺たちの誇りです。素晴らしい1日をありがとうございました!」と大きな声で言うと、フロアから今日1番ともいえる大きな拍手が贈られたのだった。
彼らが今日までumbrellaを続けてこられた意味。それは、自分たちが描く夢に共感してくれる人がいるから。
そのことを、この62曲のワンマンライヴで改めて知った。
6月にはニューシングル「リビドー」がリリースされる。
それに伴い、全国ツアー「解放する衝動」も始まるのだが、今の彼らに怖いものはない。
家族といえる心強いファンを味方に、自分たちのやっていることを信じて進めば、今日より素敵な景色が見られるに違いない。
PHOTO:YOSHIHITO_SASAKI
TEXT:水谷エリ
umbrella 9th anniversary All songs oneman【Chapter.8「全部」】
高田馬場AREA SET LIST
M1:リュミエール
M2:軽薄ナヒト
M3:箱庭
M4:WALK
M8:トウメイ
M5:叩けば誇り。
M6:モノクローム
M7:風穴
M9:イト。
M10:O3
M11:掌ドロップ
M12:五月雨
M13:造花
M14:「シェルター」
M15:永久地図
M16:ギザギザ回路
M17:ハイキ
M18:凪
M19:風見鶏
M20:僕達が描いたパノラマ
M21:hollow
M22:Frontier
M23:レッドシグナルデイ
M24:LoV
M25:スロウレイン
M26:ヒマワリ
M27:キラメキ
M28:セカイノオワルヲト
M29:ワスレナグサ
M30:流星群
M31:レイニングレター
M32:レクイエム
M33:微熱
M34:アマヤドリ
M35:anima
M36:ミラーガール
M37:非「情」階段
M38:電脳・少年・スピーカーーー。
M39:進化論
M40:太陽光線
M41:構想日記
M42:造形アリス
M43:東へ
M44:「管」
M45:「月」
M46:拝啓、雨日和
M47:アンドロイドと果実
M48:Labo
M49:オカルト彼女
M50:内向的声明
M51:Witch?
M52:黒猫が通る
M53:フェイク・アンダーグラウンド
M54:SCAB
M55:ヤマアラシの涙
M56:スカイフィッシュ
M57:ヨルノカーテン
M58:夕立
アンコール
M59:Powdery Snow
M60:LOOP
M61:Door
M62:アラン
≪umbrella INFROMATION≫
<リリース情報>
■6月12日(水)Release 7th single「リビドー」
01.リビドー 02.悪路 03.タイトル未定
価格:1500円(税抜) 品番:DCCNM-20
<ライヴ情報>
■umbrella 7th single「リビドー」リリースワンマンツアー【解放する衝動】
6月11日(火) アメリカ村BEYOND
6月14日(金) HOLIDAY NEXT NAGOYA
6月27日(木) 渋谷RUIDO K2
OPEN 18:30 / START 19:00
前売3500円 当日4000円
【チケット先行受付】イープラス先行チケット
大阪公演 http://ur2.link/MsVn
名古屋公演 http://ur2.link/QwPJ
東京公演 http://ur2.link/7Vmt
※受付期間 3/25(月)12:00〜3/31(日)18:00
※入金期間 4/2(火)13:00〜4/4(木)21:00
【チケット一般発売】 4月13日(土)12:00~ イープラス
大阪公演 http://ur2.link/MsVn
名古屋公演 http://ur2.link/QwPJ
東京公演 http://ur2.link/7Vmt
【入場順】e+先行チケット→e+一般チケット→当日券
■umbrella 春 生誕祭 【アマヤドリ~〆~】
4月25日(木) 池袋手刀 OPEN 18:30 / START 18:30
【出演】umbrella、マイナス人生オーケストラ、THE NOSTRADAMNZ
【チケット料金】 前売 3,500 / 当日 4,000 (入場時ドリンク代別途)
【チケット発売中】イープラス https://eplus.jp/sf/detail/2869070001-P0030001
umbrellaオフィシャルサイト http://xxumbrellaxx.com/
umbrellaオフィシャルTwitter @umbrella_DATA
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の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
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咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
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