2019-06-30
umbrellaツアーファイナルライヴレポ
「心に傘を」をコンセプトに掲げるumbrellaにとって、これ以上ない絶好の傘日和に見舞われた6月27日。
渋谷RUIDO K2にて、7th Single『リビドー』のリリースツアー「解放する衝動」の最終公演が行われた。
これまで無彩色でシックな装いを貫いてきた4人が一転、極彩色のヴィジュアルを身に纏い世に放った『リビドー』は、「人間の欲」を描いた作品だ。
「解放する衝動」という一種の攻撃性を孕んだツアータイトルも相まって、彼らの内なる鬱積が豪快に発射される物騒な公演になることを予想しながら、会場へと潜り込んだ。
定刻に暗転を迎えると、ステージ天井から床にかけて帯状に伸びたカラフルなブロックノイズが左右へゆっくり移動し、場内にはマリリン・モンロー『I Wanna Be Loved By You』が流れる。
まるで会場丸ごとアンニュイなオールドムービーの世界へ迷い込んでしまった様な雰囲気だ。
悪戯に色気を帯びたステージへ将(Dr)、春(Ba)、柊(Gt)、唯(Vo&Gt)が姿を見せると、フロアからは穏やかな拍手が送られた。
しかし、メンバーが持ち場につき、SEが止むと事態は一変。
それまでのゆるやかな時の流れを一喝する「全てを解放していこう。いいかい東京!かかってこい!」という唯の煽りを合図に『リビドー』の火蓋が切られた。
生まれたての新曲、その産声が轟音となってフロアを奇襲したかと思えば、サビで繰り返される唯の美しいファルセットが全音色の遥か頭上を遊泳していく。
男声とは思えぬその心地良くしなやかな高音と、硬質で無骨な轟音とが織り成す不可思議な浮遊感に初っ端から「umbrellaの特異性」を突き付けられた。
感情を露わにしながらも品性を欠かない将の激しいドラムから『ヤマアラシの涙』へ。
先程までの異世界観から一気に現実へ不時着させられたフロアは、頭上で大きなクラップ音を立て、そのリズムに熱を重ねていく。
続く『非「情」階段』でもそのクラップは止むことがなく、4つの音色と熱気は加速の一途を辿った。
嵐の様な間奏へ飛び込むブレイクのタイミングで唯が甘く囁いた「おいで」という誘いに満場一致でのったファンとメンバーとの荒々しい共謀は、まさに心中そのものだ。
シリアスな歌唱時とは一転、「アンブレラでーす」という気の抜けた唯の挨拶に緊張感が緩むも、一度目のMCで彼は「苦しんで苦しんで歩いてきた道が今ここに在ります。
この9年間、平坦な道は全くなかったです。これからもずっと険しい道を歩いて傷だらけになりながら、このバンドで新しい道を作っていこうと思います」と語り、その想いを投影した『悪路』へと歩を進めた。
『悪路』の余韻を引き摺ったままなだれ込んだ『造花』『ハイキ』では、気怠く淀んだ空気が場内を支配していく。
数えきれない程多くの名バラードを持ちながら、ここでバラードセクションを設けず、敢えてダウナーサイドへとフロアを引き摺りこもうとするライヴ運びに、彼らの尖った一面を見せつけられた。
『ハイキ』において、顔を歪ませながら「消えたい 言えない 変えたい なりたい」の詩を力の限りに張り上げる唯の絶唱には言葉を越える力が宿っており、本公演で最も「欲を解放した」場面に感じられたことをここに記録しておきたい。
「未来のことは本当に分からないけど、考えなければならない現実とごちゃごちゃになりながら生きていくのが人間だと思うので、焦らずこの曲を聴いて前を向いてください」
そんな唯の言葉から『未来計画』へ。
「グルーヴ」という言葉をそのまま具現化してみせた最高峰のリズムに促されるまま、大きく肩を揺らすフロア。
体を突き抜け、心臓を直に震わせる春のベースと将の美しいハイハットワークとの絶妙なコンビネーションもさることながら、そこへ自身の第一音を混ぜようとしたときの柊が漏らした笑顔もまた最高であった。
自らが奏でるサウンドへの自信に満ちたその表情に隠し切れない「umbrellaの誇り」が滲んでいる様に見えたのだ。
ギターを下ろし、大きく伸びをした後、マイクの根元を掴みながら手元でくるくる陽気に回してみせた唯が『SCAB』で再戦の狼煙をあげる。
息つく間もなく「まだまだいくよ東京!」と煽り、ライヴの定番曲にしてバンドが誇るキラーチューン『Witch?』へ。
サビになった途端一気に重力を失う浮遊感たっぷりなサウンドに体ごと持っていかれるフロアは,隅から隅までジャンプラッシュ!
それに触発されてか、ステージには水溜まりではしゃぐ子供の様に衣装の裾を持って跳ね踊るご機嫌な唯の姿が。
隙あらばアドリブでアレンジを施しまくるフリーダムな楽器隊の天真爛漫さも手伝って、ステージ&フロアが徐々に無法地帯と化していく様は「愉快」の一言!
そんな両者の無邪気な姿を眺めながら歌われた「特別製の夜さ」という言葉は、そこにある絵にかいた様な「自由」を讃えているかの様だった。
本編のラストを飾ったのは、umbrellaの根幹を成す珠玉のバラード『管』。
楽曲に漂う一音一語を迎えにいくかの様、前のめりな意識でその優美で切ないメロディーを追うファン一人一人が作る静寂の美しさは『管』の世界に、より一層の輝きを与えていた。
音像の湿度が極めて高いこの一曲に「雨上がり」の感を宿す温かなライトを浴びながら、祈る様に美声の限りを尽くす唯の歌声は病的なまでに繊細で儚い。
本編のデザートとはいえ、それはあまりにも贅沢な時間だった。
アンコールでは、この日2度目となる『リビドー』が披露され、「このまま突き進んでいきます!」という唯の高らかな宣誓と共に『ヨルノカーテン』が放たれた。
薄闇をぐるりと照らすミラーボールが天井・床一面にポップな灯をともし、賑やかなプラネタリウムと化した会場の光を撹拌する様に勢いよく振り回されるタオルたち。
両腕を大きく広げて最後の「これからも僕をよろしくね」という一節を歌う唯の表情には、疑い様のない希望を感じさせられた。
ツアー「解放する衝動」の最終公演。そのエンドロールを飾ったのは『アラン』。
真っ白なタクトを振る唯に指揮されながら、会場が一体となってシンガロングを楽しむ曲だ。
リリース当時に「umbrellaらしからぬ」と多方面から声があがったこの曲を、今まさに「umbrellaらしからぬ」と思われるであろう極彩色を纏った唯が高らかに歌い上げる「退屈な灰色に広がるこの世界からさようなら」という言葉と声に、ツアータイトルにある「解放」の最たるものを見た。
原色の眩いライトがステージを照らすなか、力の限りに歌を終えた彼は両の耳にピンと広げた両手を当て、目を閉じ俯いては、目の前に広がるオーディエンスの声に全神経を集中させていた。
そして、拳と共に張り上げられる多くの声を受け取り切った瞬間、スッと顔を上げた彼が見せた100点満点の笑顔は、多くの目撃者の記憶に強く残り続けていることだろう。
この日に発表された次なるumbrellaのワンマンツアー「【Chapter.9「旅路」】~Road to 10th Anniversary~」。
何千何万もの人間が入っても尚余りあるその巨大な傘に新たな来訪者が多く訪れることを願うばかりである。
PHOTO:ひらりい
TEXT:渡辺公平
≪umbrella INFROMATION≫
<ライヴ情報>
■全国雨宿りワンマンツアー
【Chapter.9「旅路」】~Road to 10th Anniversary~前編
10月5日(土) Music Lab.濱書房 OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
10月6日(日) 本八幡 Route Fourteen OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
10月27日(日) LIVE HOUSE 岡山ペパーランド OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
11月16日(土) 神戸ART HOUSE OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
11月17日(日) LiVE Buzz KYOTO OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
12月22日(日) SENDAI BIRDLAND OPEN:17:00 START17:30 終演予定19:30
12月23日(月) GOLDEN PIGS BLACK STAGE OPEN:18:00 START18:30 終演予定20:30
【チケット料金】前売3,500円 当日4,000円 (税込/D別)
【チケット先行発売】
① チケデリ先行 https://ticket.deli-a.jp/ [受付期間] 6月27日(木)21:00~7月15日(月・祝)23:59
② バンド物販手売りチケット (7月21日心斎橋BRONZE公演~物販にて発売)
③ e+ (7月21日~発売)
④ バンド予約 (7月21日10:00~予約開始 umbrella.information@gmail.com )
【入場順】①チケットデリ先行予約チケット→②物販手売りチケット→③e+→④バンド予約→当日券
■umbrella 柊×THE NOSTRADAMNZ燕瞳 合同爆誕祭 ~危険因子vol.3~(キケンな二人編)
7月25日(木) 下北沢SHELTER OPEN:18:45 / START:19:15
【出演】umbrella 、THE NOSTRADAMNZ、Mr.ChickenHat Timers
【チケット料金】 前売3500円 当日4000円
【チケット発売中】 イープラス https://bit.ly/2wv0lkR
THE NOSTRADAMNZオフィシャルサイト https://www.nostradamnz.net/
Mr.ChickenHat TimersオフィシャルTwitter @mr_Chickenhat
<リリース情報>
■6月12日(水)Release 7th single「リビドー」
01.リビドー 02.悪路 03.未来計画
価格:1500円(税抜) 品番:DCCNM-20
リビドーMV
umbrellaオフィシャルサイト http://xxumbrellaxx.com/
umbrellaオフィシャルTwitter @umbrella_DATA
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Neverland / 『HumaNOISE』
歌詞合ってる?
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
ジャケットイラストのギャグが最高です
咲人さんのイラストに影響されて女性の友達とクリスマスに
シードルを飲もうと考えました 断わられました
咲人さんの絵は手つかずの新雪のよう 語学の勉強も真面目
です
咲人さんの絵はとても良いのでこれからも描き続けてくださ
い 独創的かつ笑えるイラストです 好きです
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
インサクリファイスが好評です ナイトメアメンバーで仲間
の飲み代をまとめて払うと雑誌で語っておられた咲人さん
ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
Withはラクリマクリスティを意識したと知りました 咲人
さんのナチス嫌い発言
咲人さんにはキリスト教に対する照れのような感じを受けま
す キリストとご自分にとても似た意識を持っているのかも
しれないと思いました
downは意味を調べました 夜明け、でした
いつか一緒に朝日を見ようという歌詞に救われました
ジャキガンマイスターは咲人さんのセンスの良さが光ってい
ますね
JAKIGAN MEISTER / 『Bhava』
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ナイトメアでキリストはユダと詠まれていました 二年前の
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しれないと思いました
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ますね
DIR EN GREY / 『「楓」~if trans…~』
気持ち悪すぎ。犯罪者