2026-05-30
間々田優×渋谷るり、全国ツアー「アタックテダケロック!」 札幌公演2日目ライブレポート!!!
間々田優と渋谷るりが3月より始めた全国ツアー「アタックテダケロック!」も、5月23日・24日に行った札幌公演で、まさに折り返しとなった。配信でご覧になる方を含め、どの会場にも大勢の人たちが足を運び、活況を呈している。ここでは、中村ピアノがゲストで参加、チケットがSold Outになった、5月24日・札幌ローランドゴリラ公演の模様をお伝えしたい。
オープニング
~まりもの呪い~
鳴り響くサイレンの音へ導かれるように、間々田優・渋谷るり・中村ピアノの3人がステージに姿を現した。この日は昼下がりのライブ。でも、3人が醸し出していたのは、妖しい夜のムード。そこが、影と艶気を肌に宿した3人の歌い手らしさ。ここで間々田優が、「北海道はでっかいどう」とベタなジョークを飛ばし出す。3人とも、この日で札幌滞在は3日目。すでに、札幌のいろんなグルメを味わってきたこともあって、3人のトークも、(なぜか)北海道では有名なコンビニエンスストアのセイコーマート話や、そこで購入したドリンクのカツゲン話へと発展していく。渋谷るりは1ℓのカツゲンを手にしたが、甘すぎて2mlしか飲めなかったと伝えてきた。さらに渋谷るりは、かつて、家で育てていたまりもが干からびたことから、新たにまりもを手にするために北海道へ来たことを語り出した…ところ、中村ピアノが「バカヤロー、まりもを買いにだけ来たのか」といじりだす。そこから3人がふたたびグルメ話などを繰り広げたうえで、中村ピアノが「ヒロイニズム宣言」を宣言しようとしたところ、なんと、会場中にピーッというハリウング音が響きだす。これも、すべては"まりもの呪い"…。そのうえで、ライブは幕を開けた。
渋谷るり
~一点を凝視して歌う憑依型シンガーが、声の五寸釘を打つように歌いあげた呪いの宴~
トップを飾ったのが、渋谷るり。ライブは、間々田優とのデュエットによる『ヒロイニズム宣言』から始まった。手にしたフラッグを振りながら歌う2人の姿に合わせて、客席でも大勢の人たちが同じようにフラッグを振りながら、彼女たちの心の波動とみずからの鼓動をシンクロさせていく。低音を生かした、渋谷るりの歌声のインパクトがハンパなく強烈だ。普段は物静かなのに、ひとたびマイクを手に歌いだしたとたん、憑き神が憑依したような気迫に満ちた表情を見せながら、彼女は雄々しき声で歌っていた。間々田優が巧みにコーラスで寄り添いつつ、豹変した渋谷るりは、じっと一点を見つめながら、何かを射すくめるように歌う。いきなり、憑依型シンガーの持ち味を発揮してくるとは…。これも、まりもやカツゲンの魔力、いや、威力か…。
アコースティックギター(以下、アコギ)を手に渋谷るりが、おどろおどろしい音色を響かせて歌い出したのが、呪い歌の『歌う藁人形』。「あなた好きに選んでいった」と、まるで相手を呪い殺すように、祈りを…ではなく、呪いを込めた歌が、野太くも雄々しき声に乗せて会場中に響き渡る。この曲でも彼女は一点を凝視し、相手を呪いの感情で突き刺すように歌っていた。サビを歌い終え、「歌う藁人形」と曲名を語るのを合図に、渋谷るりは、手にしたアコギを力強く掻き鳴らし、先程以上に呪いを込めた、しかも怒声のような歌声の五寸釘を、一人ひとりの心の臓に次々と打ちつけていく。その迫力に誰もが釘付けになり、いや、蛇に睨まれた蛙のような様で、鬼気せまる姿で歌う彼女の姿をじっと見つめていた。胸に刺さった歌声の五寸釘は、心を縛りつけるほど深く食い込んでいった。
その流れから『グラジオラス』への展開が、美しく、おどろおどろしくもドラマチックだ。身体も気持ちも前のめりに、今にもマイクを喰らう勢いでギターを掻き鳴らし、渋谷るりは声の礫をぶつけていた。憑依したその姿と歌声に触れていると、彼女に呪い殺されそうだ。心の中に憑き神を降ろした姿で、渋谷るりは歌の世界へ没入し、痛い言葉を次々とぶつけてきた。その姿に手拍子をする人たちもいたが、ほとんどの人たちが憑かれたように、頭の中に生まれた甘い香りの漂うお花畑ならぬ、三途の川へと引き寄せられるようなトランス状態で見入っていた。
「髪の長さと伸びしろの長さは誰にも負けません」の言葉通り、このツアーを通して、渋谷るりは物凄く成長してきた。この日は昼下がりの宴という理由もあったのか、次に届けたのが『昼下がりのお秘め事』。この選曲にも、ニヤッとさせられた。渋谷るりが歌うすぐ側では、間々田優がイラストを描いていた。今回のツアーでは、間々田優と渋谷るりが得意の画力を用いて、ライブ中に絵を描き上げ、完成した絵をライブ後に物販で販売も行なっている。この曲で渋谷るりは、巧みに間を生かしながら、自分の感情と鼓動が生み出すリズムに乗せて、雄々しい声を響かせていた。この曲でも彼女は、目の前にいる一人ひとりを、気迫に満ちた歌声で自身の世界へ導き入れ、釘付けにしていく。乱れ狂う感情の揺れが見える歌声とパフォーマンスだ。憑依したその姿から視線も心も離せない。いや、狂気的ながらも甘美なその世界に飲み込まれたまま、ただただ乱れ狂う黒い感情の波に溺れていたかった。
おもむろに手にした扇子も巧みに用いながら、まるで地の獄で生まれ育った赤子をあやすように、渋谷るりは、ときに艶やかに、でも朗々と『毒蛇-道明寺-』を歌いあげていた。途中からは、乱れ狂う気持ちをアコギを掻き鳴らす音にして、沸き立つ薄汚い感情を吐き出し、猛るように、力強く歌い奏でていく。さすが、憑依型シンガーの渋谷るりだ。短い時間の中でさえ、人を惹き付け、いや、釘付けにし、眼光鋭い視線と青白い炎のような声と般若のような表情で、この場にいる一人ひとりの心をみずからの歌声で犯し、飲み込んでいった。
渋谷るり、このツアーを重ねるごとに、ますます現実と人間という姿から遠ざかった、独創的で唯一無二の世界を作りあげる歌い手に成長し続けている。終盤で彼女は、髪を結い止めていたかんざしを抜き取り、髪の毛をざんばらに振り乱しながら、気が狂ったように歌っていた。呪い殺す歌姫としての姿にどんどん磨きをかけている渋谷るりのライブに触れ、あなたも呪われるままに、心を焼き尽くされてしまえばいい。
中村ピアノ
~悲しみを憑依させた中村ピアノは、みずからを壊し、癒し、浄化するように歌っていた。その声が、傷ついた心をギュッと抱きしめてくれるようにも響いていた~
二番手を担ったのが、ピアノの弾き語りスタイルで歌い奏でた中村ピアノ。妖しくもダークメルヘンでファンタジックな楽曲に乗せ、彼女は満面の笑顔を浮かべてステージに姿を現した。
「溶けない方程式投げ出して」と、中村ピアノが鍵盤を叩きながらも、美しい音色を響かせて歌い出したのが『14歳』だった。揺れ動く思春期のもどかしい感情を、彼女は乱れ惑い、心が叫ぶままに、その思いを歌声やピアノの旋律に託していた。なんて声量と感情をぶつけた歌声と演奏だろう。沸き立つ思いのまま雄々しい声で歌い上げるその姿が、強烈な存在感を放っている。思春期時代の少女に戻った中村ピアノは、心の傷をえぐるような声とピアノの演奏に乗せ、「初めての事 全部全部あなたとしたいの」など、一つひとつの感情を言葉の礫にして、吐き出すようにぶつけていた。彼女も、楽曲の世界へ憑依して歌うシンガーだ。とても、とても、とても感情的だからこそ、歌うその姿に、心がずっと惹き付けられていた。
止まることなく、中村ピアノは「あなたさえいなければと」と『火傷』を歌いだした。ときにファルセットを織り交ぜた声の色も交え、とても美しくて純潔な、でも、無垢なその心を、みずからの体内から流した鮮血でべたべたと塗りたくるような様で歌っていた。優しくて温かい歌声の中から滲み出る、ドロドロとした赤黒い感情。「全部あなたのせい」と呪うように、感情をぶつけて歌うその声に心や感情をえぐり取られるような衝撃を覚えながら、その姿にずっと釘付けになっていた。感情的な声で身体中をきつく縛りつける、そんな優しい怨念のような歌が、耳の奥までずっと響いていた。
MCで、しっかりと笑いを取っていくところも、中村ピアノらしい。この日は、間々田優も巧みに巻き込んでネタを披露していた。
ここで、いきなり松山千春の『長い夜』をアカペラで歌い出すという、予測不可能な様を見せていくところが、中村ピアノらしい。しかも目の前にいる観客に向けて、「この愛をお前だけに誓-----------う」と歌いあげる遊び心も見せていた。
次に届けたのが、「歌詞変ジュークボックスコーナー」と題した、観客たちからのリクエストに応じて歌うコーナー。この権利を物販で購入した方は、曲の歌詞を一部変更して歌ってもらうことができる。この日は、「ひづき」さんという方が、その権利を買い取り、自身の名前を歌詞変ワードとして組み込むようにリクエストしていた。
この日、リクエスト曲として披露したのが、ファストナンバーの『ヲタク讃歌』。短い中にもいろんな要素を濃密に詰め込んだアップテンポなこの曲を、中村ピアノは、歌詞ヘ巧みに「ひづき」の言葉を組み入れ、観客たちのクラップに乗せ、軽快に跳ねた楽曲に身も心も弾ませて軽やかに、ときに「ひづきひづきひづき」と連呼しながら歌っていた。
次に歌ったのが、今や中村ピアノの顔にもなっている『ニポポのうた』。彼女は、「この曲は、罪を犯した受刑者が、ニポポ人形を掘ることで罪をつぐなうことを歌にしている」と伝えてきた。さらに、「何があったとしても、わたしがみんなの味方でいてあげる」とも思いを伝えていた。
そう語った上で、みずからピアノを弾きながら披露した『ニポポのうた』からは、今にも心壊れそうな声で歌いあげる、中村ピアノの切々とした祈りのような歌声が胸に響いてきた。歌の世界へ感情を没入し、憑依したような姿で歌う中村ピアノの声が、一人ひとりの心の傷を抉り、そこへ癒しや優しさを塗り込んでいく。重々しくも踊るようなピアノの音色が響きだすのを合図に、フロアのあちこちで手拍子が沸き起こる場面もあれば、中村ピアノの歌声にも、より太い芯が加わりだす。悲しみを憑依させた彼女が、みずからを壊し、癒し、浄化するように歌う、その声が傷ついた心をギュッと抱きしめてくれるようにも響いていた。終盤には「ララライ~」と、みんなでシンガロングしていく場面も誕生。歌の世界へ憑依し、全身全霊で、祈るように思いを届ける中村ピアノ。その歌声に、強く、強く惹き付けられていた。
「みんなの心にあったかい春がきますように」の声を合図に、オケに乗せて歌いだしたのが『春よ来い』。ステージの上を左に右に動きながら、心を芽吹かせるように明るい声で歌う中村ピアノが、そこにはいた。妖しく身体を揺らし、みずから春風を巻き起こしながら、彼女は、観客たちの心を軽やかに揺らしていた。途中には、「バカみたいバカみたい」と合唱していく場面も登場。ときに、「春よ来い、早く来い」と童謡も織りまぜ、ときに大きく手を振り、その場で軽やかに跳ねて歌いながら、中村ピアノは、この場にいる人たちの心を朗らかな色に染め上げ、解き放っていった。
間々田優
~壊れそうな思いを覆す勢いで、間々田優は「生きて」と叫んでいた。叫ぶその声に触れ、心が崩れ落ちた…~
トリを飾ったのが、もちろん間々田優だ。「愛を込めて歌います。一緒に愛を」の言葉に乗せ、「ウォーアイニー」の声を合図に高らかに歌いだしたのが、超癖強曲の『ごめんねピータン』。やはり今回のツアーは、この曲から始まってこそ。一人ひとりの肌へ歌声の肌を重ねるように、間々田優の声がねっとりと絡みつく。艶めいたその歌に触れてこそ、いや、絡め取られるようにきつく抱きしめられてこそ、間々田優のライブ。粘り気のある歌声に絡められたとたん、もっともっと心の奥までKISSしてほしい衝動に駆られていく。「ごめんねピータン」と、両手を大きく広げて歌う姿を、客席中の人たちも真似ながら、気持ちを一つに重ね合う。とても、とても濃密な歌だ。なのに、耳心地よく胸に爽やかに、しかもスーッと声が響いてくるからこそ、その妖艶な魔力にとられわれてしまう。なんて口当たりの良い、一度触れたら離れられなくなる濃厚な、心の箸の動きが止まらなくなる歌声だろう。その癖強い歌声にはまったが最後、気づいたら、その強烈な嗜好品のような歌をお腹にいっぱい満たそうと、たらふく味わっていた。
「甘い香りが会場中に広がっています」の言葉に続いて歌い出したのが、『甘いのがお好き』。間々田優が歌を通して誘いかける甘い刺激は、かなり糖度が高く、しかも、心の中で大きく膨れ上がる。彼女が手にしたフラッグを振って歌うたびに、フロアでも同じ景色が広がりだす。曲の途中で間々田優は、インスントカメラで撮影をする姿も見せていた。途中でラッパーを憑依させて攻めるようにライムを刻むなど、1曲の中で彼女はいろんな表情を見せていく。間々田優と観客たちが甘い熱狂を求めて「甘いのがお好き」と合唱する場面も含め、彼女は甘い衝撃で観客たちの心をとろけさせていった。
「ラーララー」と手拍子をしながら『セカンドダンス』を歌う間々田優の姿に合わせて、フロアでも観客たちが熱く手拍子をし始めた。彼女が左右に手を振る動きに合わせて、場内でも同じ動きが起きれば、「ラーララー」と一緒に歌を口ずさむなど、ここでも、感情をシンクロした姿を間々田優と観客たちは見せていた。1曲進むごと色が濃くなるたびに、間々田優が濃密な世界へと観客たちをグイグイと引き込み、虜にしていく。声量ある声に触れていたらいつしかねっとりとした歌世界の虜になり、心も身体もゆらゆらと揺らめいていた。
アコギを手にした間々田優が弾き語りで届けたのが、『あいの国』。今にも心壊れそうな歌声でしっとりと、でも、低音域の利いた芯の太い声にして、彼女は「神様なんかいらない」と響かせていた。間々田優の歌声が、心を塗りたくる絵筆となり、一人ひとりの心にいろんな苦々しい愛の景色を描きだす。彼女が雄々しい声で「太陽は消えない」と願いを込め歌う、その存在感の強い声が、強烈な歌の光になって心へ突き刺さる。途中から間々田優は、激しくギターを掻き鳴らし、爪弾くなど、いろんな心模様をアコギの演奏でも見せていた。感情を剥き出しに、すべてを破壊し尽くす勢いで、間々田優は雄々しく、朗々と歌う。誰もがその迫力に見入り、感情を突き刺され、無条件で虜になっていた。なんて表現の振り幅の広くカオスな歌い手だろう。
続く『カコ』でも間々田優は、心を深く深く歌詞の世界へ溶け込ませ、みずからの心の行方や拠り所を探るように歌っていた。間々田優が歌う中、渋谷るりが横でイラストを描く姿も見せていた。この曲での間々田優は、哀切さを軸にしながらも、歌詞に綴った言葉にいろんな感情を乗せては、みずからの心へも向けて朗々と歌っていた。まさに間々田優は、歌声で心を突き刺すシンガーだ。巧みにいろんな感情の色を見せながら、揺れ動き、乱れ惑い、でも、強い意志を持った思いを彼女は力強く歌い上げていた。だから、その言葉を一つとして零すことなく、広げた心の両掌でしっかりと受け止めていた。ときに、絵を描く渋谷るりを見つめ、ノンマイクで歌う姿も、間々田優は見せていた。みずからの心を見つめつつも、信じた思いを肯定するように熱唱する間々田優。だから、放つ一つひとつの言葉が、強烈な感情の刺となって心に突き刺さり続けていた。
『歌詞変ジュークボックス」コーナーでは、購入券を手にしたファンから寄せられたリクエスト曲を、一部歌詞を変えて毎回お届けしている。その権利を購入したのが、中村ピアノのときも権利を手にしていた「ひづき」さん。彼がリクエストをしたのが、中村ピアノの『銃声と花びら』。歌詞変更ワードは、先程と同じく「ひづき」。
間々田優は、「あなたをパキュンと撃ち抜くから、わたしをバキュンと撃ち抜いてください」と語ったあとに、アコギを掻き鳴らしながら「バキュンバキュンバキュンバキュン」と相手のハートを次々と貫通する勢いで力強く、攻めるように歌いだした。場内でも、大勢の観客たちが手拍子をしながら、その歌声にエールを送っていた。彼女が「バキュンバキュン」と歌うたび、強烈な存在感を放つ歌声にハートがズキュンズキュンと射抜かれる。弾き語りという形を取りながらも、感情を露わに、がなるように歌うその歌声と嘶くように掻き鳴らされるギターの演奏に触れて、気持ちが熱く身悶えていた。情熱的な感情を爆裂させるシンガーの間々田優らしい姿や、「ひづきひづきひづき」と叫ぶ声の迫力に、全身がボコボコにされていた。
続いては、リクエストした観客とのデュエットを披露する『白黒ラブソング』。この曲でリクエストしたのも、ひづきさん。彼は、みずから歌うのではなく、なんとデュエット相手に中村ピアノを指名。そのうえで、ひづきさんを真ん中に挟む形で、間々田優と中村ピアノがデュエットで『白黒ラブソング』を披露してくれた。
2人の妖艶な歌姫によるデュエットが、本当に艶めかしかった。観客たちの手拍子に乗せて間々田優が艶のある声でねっとりと妖しく歌い出せば、中村ピアノがカラッとした歌声を響かせ、恋の駆け引きをするように思いを返していく。サビでは2人とも艶のある歌声を妖しく重ね、めくりめく甘い禁断の恋物語を描きだしていた。異なる2つの個性的な歌声が、"艶めく歌声"という一つの色をもってねっとりと絡み合う。2人の間に挟まれたひびきさんがにやついてしまうのも、わかる気がする。なぜなら、酸いも甘いも知り尽くした黒と黒の歌姫が、秘めた深い思いを交わすように、男性を挟んで恋の駆け引きをしていくんだもの、にやにやしながら落ちてしまいたくなるのも当然だ。
ここで,間々田優が一肌脱いだ姿に。彼女はアコギの弾き語りで、「君が吉川美南~」と優しく『吉川美南』を歌いだした。そこへオケも加わるのを合図に、場内中からビートに乗せた手拍子も重なりだす。この曲で間々田優は、抜いた声で優しく、ときにおおらかに歌いあげていた。どこかフォーキーな香りも漂わせつつ、目の前の一人ひとりへ温かい思いの声を届けるように歌う姿が印象的だ。パワフルな歌声も間々田優の魅力だが、声量あふれる声で甘く優しく歌いかける声にも、心がスーと引き寄せられていた。そして…。
最後に間々田優は、アコギも弾きつつ、オケを背景に、今にも感情の壊れそうな歌声で、みずからの心を必死に支えるように『ナルシスト』を歌っていた。曲に合わせてページをめくるように、いろんな声と心模様を間々田優は見せていた。彼女もまた、憑依型の面を持つシンガー。セクシーな姿に視線が惹かれつつも、儚げなその歌声を零すことなくしっかりと受け止めていたかった。誰もが、今にも崩れ落ちそうな歌声に心が惹かれていた。気持ちの揺れ動くまま、感情の色を変えながら、間々田優は生きた歌声を会場いっぱいに響かせていった。歌い終え、客席の間を通って立ち去りながらも、最後にステージと観客たちを振り返り、壊れそうな思いを覆す勢いで「生きて」と叫んでいた。叫ぶその声に触れ、心が崩れ落ちた…。
アンコールという名のセッション
~熱狂は熱いうちに連打しながら、アタック テダケ ロックしよう~
アンコールは、鍋をカンカンと鳴らしながら渋谷るりがステージへ登場した。彼女は、お店で販売していた、この日特製の焼きそばの美味しさを伝えようと、「焼きそばお代わりいらんかね」と宣伝したうえで、みずからライブペインティングで描いた絵を改めて披露していた。
渋谷るりの呼びかけに応じて、間々田優がふたたびステージへ登場。じつは今回のツアーで、間々田優は一度もアンコールには登場していない。彼女いわく、ずっと楽屋で眠らされていて、その時間帯の記憶が毎回抜け落ちているらしい。15公演目にして、初めて間々田優がアンコールに登場してくれたのも嬉しいが、この日も、毎回のライブに勝手に参戦しているタイポグリセミアマンが、少し後れてステージに姿を現した。でも、いつもより体型や身長が華奢で小さいのは何故だろう。そんな疑問も思い浮かべつつ、タイポグリセミアマンが、「なぜ間々田くんはこれまでアンコールに出なかったんだ」と間々田優を攻めだした。そのうえで、中村ピアノの声に似たタイポグリセミアマンも含め、アンコールは3人でセッションする形で始まった。
タイポグリセミアマンがピアノを、間々田優と渋谷るりがアコギを担当。届けたのが、前回の北海道公演でも間々田優が歌った『Voice』。タイポグリセミアマンの奏でるピアノの音色に乗せ、言葉のひと言ひと言に命と思いを乗せ、感情的な声にして間々田優が歌っていた。そこへ渋谷るりとタイポグリセミアマンのコーラスが重なる。サビで見せた3声のハーモニーは、美しくも、どこか哀愁を抱かせるように響いていた。 途中、タイポグリセミアマンのマスクがずれ、鍵盤が見えないというハプニングも登場。そんなアクシデントも含みつつ、渋谷るりがアコギのボディを叩いて作り出したリズムに乗せ、3人が壮麗かつ雄々しきハーモニーを描きながら素敵な歌世界を構築していった。3人が作りあげる感情を解き放つ感動的なハーモニーが心を強く、痛く、揺さぶっていった。
最後に3人で届けたのが、このツアーのテーマソングの『タイポグリセミア』。この日は、タイポグリセミアマンと間々田優、さらにガチャガチャでステージに上がる権利を手にした「ひづき」さんも参加する形で行った。曲が始まったとたん、3人が「タイポタイポグリセミア アタック テダケ ロックと雄々しく歌いだせば、客席でも、大勢の人たちが手にしたフラッグを振りながら、「Oi!Oi!」と声を張り上げて、楽しい輪の中に参加していた。タイポグリセミアマンを中心に、間々田優と渋谷るりがコーラスで巧みに盛り上げていく編成が、とても新鮮だ。間々田優に至っては客席へ飛び込み、観客たちと一緒になってはしゃいでいた。いい感じで場内がぐちゃぐちゃになっていく。やはり熱狂は、熱いうちに連打してこそだ。この楽しさがあってこその、このツアーのアンコール。3人は熱狂を連打しながらも、15公演目にして、さらに新しい熱狂の景色を作り出していた。まんねり化するのではなく、つねに進化した姿を、間々田優と渋谷るりはゲストを交えて見せ続けていく。やはりこのツアー、1本たりとも見逃せない(全会場で配信しているので、どの公演も視聴&参加可能)。アンコールで、無邪気な笑顔ではしゃぐ間々田優。いつものように冷静な表情で、でも、熱く昂る心のまま当たって砕ける勢いで歌う渋谷るり。ゲストのタイポグリセミアマンを含め、みんなで大きく手を振りながら、ぐちゃぐちゃになってはしゃぎあう。この熱狂、ぜひ熱いまま現場で味わわなきゃもったいない。だからみんなも、彼女たちと一緒に「サン、イチ、ニー、ダーッ」と拳を上げて叫びながら、アタックテダケロックしようじゃないか。
TEXT:長澤智典
【北海道2Days】アタックテダケロック!全国ツアー生配信!配信チケット
https://premier.twitcasting.tv/thogo777/shopcart/420474
アーカイブ6/23まで
「アタックテダケロックツアー」詳細
https://eplus.jp/mamadayu-tour2026/
SNS
間々田優
https://x.com/demodorimamada
渋谷るり
https://x.com/Artist_Rury
中村ピアノ
https://x.com/missopiano
THOGO
https://x.com/thogo777
セットリスト
渋谷るり
『ヒロイニズム宣言』
『歌う藁人形』
『グラジオラス』
『昼下がりのお秘め事』
『毒蛇-道明寺-』
中村ピアノ
『14歳』
『火傷』
『リクエストコーナー(ヲタク讃歌)』
『ニポポのうた』
『春よ来い』
間々田優
『ごめんねピータン』
『甘いのがお好き』
『セカンドダンス』
『あいの国』
『カコ』
『リクエストコーナー(銃声と花びら)』
『白黒ラブソング』
『吉川美南』
『ナルシスト』
-ENCORE-
『Voice』
『タイポグリセミア』
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