2013-08-20

【FUZZY CONTROL】今、聴かせたい、伝えたい最高傑作

 2003年の結成から10周年を迎え、到着した『ROCKS』は原点に立ち返りつつ、新たな扉を開いた正真正銘のロックアルバムだ。初めてJUON (Vo&Gu)が作詞を手掛けるというエポックメイキングも試されたFUZZY CONTROLの最高傑作、ここに誕生。

──結成からの10年、いろいろな変化がありましたよね。

JUON「もう、昔は好き放題やってましたね! でも、当時“バンドが楽しくてしょうがない、仲間って最高!”ってガムシャラにやってたのが、今考えると筋トレだったなぁと思うんです。そこで培った“バンド=楽しい”精神のおかげで、その後どんな嵐が吹いても受け止めることができたし、10年経って音楽の方向性も少しずつ定まってきたけれど、根っこの心意気だけは変わらず、互いをリスペクトできてる。」

JOE「結成当時は、なんか…尖ってたよね。もう、すぐ売れるんだと思ってた。」

SATOKO「毎年クルーザー買うって言ってたよ(笑)。音楽面にしても、今なら絶対やらない域まで詰め込んでたり。そう考えるとCDっていいよね。毎回全力を出し切る、いわばオフィシャルで付けてる日記みたいなもん。そこで10年経って、6枚目を出すっていうのは感慨深い。」

──そんな今作『ROCKS』のテーマは、やはりロック?

JUON「そうですね。今までのアルバムは結構バラエティーに富む構成が多かったけれど、そもそも俺たちはロックをやるためにバンドを組んだわけだから、10 周年の今、存分に押し出そうと。ロックっていうのは現在進行形でロックバンドをやってる俺らにとっては“生き様”であり、“今”でもある。今、ロックをやって輝いていないと、それは自分の考えるロックじゃないですからね。」

JOE「だから、結構ゆっくりな曲も入ってるけど、どれも落ち着いてなくて、自分のキャパシティーを超えるくらいのパワーを使ってるんですよ。おかげでライヴでやると激しすぎちゃって、身体がもたない!(笑)」

SATOKO「キャリアを重ねるに従って覚えた引き算を、今回は一回ブッ壊して。やりたいことを全部詰め込んだんです。そしたら、すごくスッキリして! その分レコーディング前は、メチャクチャ練習しましたね。」

JUON「まぁ、確かに今回のレコーディングはすごかったよね。久々の合宿で、最初は合宿風景をビデオで撮ろうとしてたんだけど、スタジオに着いた時に撮ったきり、あとは一度もカメラ触らなかった!」

──それくらい音楽に集中してたってことですね。

SATOKO「そうなんです。曲にしろ、歌詞にしろ、10年経ってもやりたいこと、伝えたいことがあふれてきて。しかも今回、初のJUON作詞曲が中盤に4曲も収録されているんですよ。中でも最初にできた「僕のその物語」は、今まで作ってきたバラードの中でも最高だと思う。初めてJUONが聴かせてくれた時も“ヤバイよ、これ!”って興奮が止まらなくて! やっぱり“初めて”の勢いって半端じゃない。」

JUON「前々から言葉を書き留める作業はしていたけれど、なんだか自分の言葉に自分自身が追いついてない気がして、完成にまで至れなかったんです。それが今年、自分の中にピタッとハマッて、自分自身と向き合いながら歌詞を書くという作業を、10周年にしてスタートできて。俺にとっても、バンドにとっても、新しい扉を開けられたなと思います。」

SATOKO「その歌詞から想像していたのとは違うJUON像が見えて、10年一緒にいるのに新たな発見があったのも面白かった。結構ハッピーな人だと思っていたのにわりとダークな部分が出ていたり。」

──個人的には繊細さやロマンチシズムも感じました。

JOE「そう。その反面、すごく男らしかったり。そうやって今までやってきたこと、最近チャレンジし始めたことを全部入れ込めたから、大袈裟じゃなく“このアルバムを作るために今までやってきたんじゃないか?”って感じられるんですよ。我ながら5 曲目「DON’T NEVER STOP」後半のウォーキングベースは世界一だなと。」

JUON「あれは、まさに“JOEウォーキング”だよね。もう行きたいところへ、道なき道を進んでく!(笑) 名古屋のイベントで3曲目の「What are u waiting for ?」をやった時は、後ろで静観してたキッズたちが前にバーッ!と駆け寄ってきて、すごく嬉しかったなぁ。俺たち、ちゃんと届く音楽作ってたんだ! っていう自信につながった。」

SATOKO「そうやって人と分かち合っていくことで、日々かたちを変えていくのが音楽という生き物だろうし。このアルバムを聴いてると、私も日によって“神だな!”と思う曲が違うんですよね。そんなふうに楽しめるのが一番いい。」

──出来上がる過程もロックなら、幕開けのインストとゴスペル的な荘厳さすら漂うラストの「Burnie」も上手くつながって、非常にスケールの大きい一枚になりましたよね。

JUON「それが10年で学んできたものの集大成なんでしょうね。頭に壮大なギターインストを入れて2曲目で激しく弾ける展開にしても、歴代のロックスターたちがやってきた様式美だし、そういうインストを聴く機会の少ない時代だからこそ、ここで若い人たちにロックの世界に酔いしれてほしかった。ほんとに今、聴いてほしい&伝えたい最高傑作なのは間違いないんです。今作を引っ提げたワンマンツアーも決まっているので、ライヴと音源の両面で“今”という時間を皆みんなで共有したい。世界を変えられる俺たちだけの新しい音楽で、大切な想いを生み出させる自信はありますから。」

JOE「そういう意味でも、僕にとってFUZZY CONTROLはスーパーヒーローなんです。もし、自分が一員でなかったとしても“なりたい”と憧れる、そんな存在でいたいですね。」

SATOKO「いいこと言うなー(笑)。」

取材:清水素子


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