2012-12-20

【NICO Touches the Walls】自分がリスナーならこういうものを聴いてみたい

 今年の各地の夏フェスを大いに盛り上げた前作「夏の大三角形」に続くニューシングルが完成! 今作「夢1号」が生まれた源は、なんと光村龍哉(Vo&Gu)の夢の中。その驚きのエピソードを含めた制作秘話を語ってもらった。

──「夢1号」は“ALGORHYTMIQUE”ツアーで初披露されて、光村くんが“夢の中で曲を作った”とMCで言っていましたけど本当なんですか? ポール・マッカートニーの域までいよいよ達してしまった、みたいな(笑)。

光村「(笑)。「イエスタデイ」ですね(注:THE BEATLESの「イエスタデイ」はポール・マッカートニーが夢の中で作ったというエピソードが有名)。本当に、夢の中でメロディーと歌詞が現れたんですよ。これは脳内で作詞作曲をしてるんだと思ったら“絶対覚えなきゃ!”って意識が働いて、起きて携帯のヴォイスメモを立ち上げてエレキギターを持って、なんとなくコードを確認して吹き込んで、っていう。夢で見たまんまを。」

坂倉「起きてすぐデモを録って。NICO Touches the Walls史上最速だ(笑)。」

──かつてない感じの曲だけに、“夢の中で曲を作った”という話をされた時は驚きませんでした? みなさんの第一声は?

対馬「そりゃあ、もう…“聴かせて!”ですよね(笑)。何しろ初めてのパターンなので。当時は、みんなでツアー用の…ライヴ用の曲を作ってたタイミングだったんで、その中で夢にしろ何にしろ曲ができたって聞いたら、そりゃあ“なんだそれ! 聴かせろ!”が第一声ですよ(笑)。」

古村「確かに(笑)。だから、最初は“どんな夢だったの?”ってところから始まりましたね。夢の詳細をまず聞いて、こういう夢だったよって言われて。でも、何せ夢の中なので…(笑)。」

──どういう音なのか、想像もできないですよね(笑)。

古村「そう(笑)。“これ、どう作っていくかな…”って最初は思いましたけど、でもメロディーが良かったんで曲として全然成り立ってたし。だからこれは、今の俺たちが、今のモードで、次の目標として挑戦できる曲だなと思えてからの作業はわりとスムーズにいけた感じですね。」

──そうですね。メロディー、音色、それと“青年合唱団”なんて表現をライヴの時にしていたコーラスも含めて、聴いていて音に包まれるような感覚が心地良くて。広がりを感じる音像が。

光村「ありがとうございます。ここ1年ぐらい、コーラスワークは自分たちの中に取り入れていきたい要素にあったんですよね。例えば、最近のバンドだとフリート・フォクシーズみたいなバンドも好きで、ライヴで観てもすごく新鮮で。っていうところで、まぁ言ってみれば古典的な手法だとは思うんだけど、綺麗に聴かせられるんじゃないかなと思って。しかも、そのコーラスを含めた、この曲のアンニュイな感じっていうのも、僕ら自身の中ではNICOっぽさのひとつっていうところで共通の認識があって。それこそ1stアルバムの曲だと「葵」だとか、インディーズの頃の曲でいうと「プレイヤ」だとか、ああいうものが“自分たちらしい要素”っていうところではものすごく大きいんですよね。夢っていう不思議な縁がきっかけだったにしても、そういうものが久しぶりに出てきたことには初心に帰らされた気もしたし。」

──こういう雰囲気はNICOらしさの大きなひとつでありつつ、例えば「夏の大三角形」みたいないわゆるシングル向きなキャッチーさをすごく感じる作品の次にこういう作品をシングルにすることは、ある意味挑戦的な姿勢を感じたりもするのですが。

光村「本人的には、抵抗とかは全然なかったんですよ。っていうより、むしろ…「夏の大三角形」の後に曲作り期間を長くもらえたんですけど、その中で自由にバンドをやる楽しさというか、自分たちの感覚を信じて曲を作っていくことの楽しさがすごくあって。だからこそ、こういうものこそシングルになって、ちゃんと世の中で鳴っていくのは気持ち良いことなんじゃないかなっていうワクワク感のほうが大きいですね。」

──自由さは、確かにものすごく感じます。何しろ、「決戦は金曜日」をこんなかたちでカバーすることからして自由でしょう(笑)。

光村「そうですね(笑)。カバーシリーズは、前作の笠置シヅ子さん(「ラッパと娘」)がかなり古い曲だったんで、もうちょっと最近の曲で選ぼうと思って。で、「決戦は金曜日」はDREAMS COME TRUEの中でも特に大好きな曲なんですけど、もともとのアレンジがとてつもなくオシャレで完成しているんで、これに近いことをやっても意味がないなと。それで、今までなかなかやれなかったジャンル感をあてはめてみたらどうかということで、レゲエってどうだろうと思い付いて。」

──これまでのNICOの曲にも、レゲエというイメージの曲はなかったですよね。そういう意味でも新鮮でした。

坂倉「オリジナルの曲ではこういう感じで1曲作り切ったことはなかったですけど、でも…」

対馬「普段のリハとかでも、そういうことって実はやってたりするんですよね、俺ら。」

光村「レゲエ遊びみたいなのとか(笑)。」

対馬「そうそう。レゲエ遊びとか、インド遊びとか(笑)。」

古村「インドスケール、アラビアスケールなど…(笑)。」

──いろいろやってるんですねー!(笑) あと、ツアーの音源が今回のシングルには入るということですけど、ツアーでは楽器をパートチェンジしたりっていう自由さもありましたし、その自由な感覚が作品でも表現できているのは、本人的にも気持ち良いでしょう。

光村「気持ち良いですね! っていうか、自分たちには好きな音楽がたくさんあるからっていうのが、もう本当に純粋な思いなんですよ。今回の「夢1号」も、「決戦は金曜日」のレゲエカバーにしても、自分がリスナーならこういうものを聴いてみたいなっていう感覚だったりするので。だから、本当に自分がやりたいもの、聴きたいものをやってるっていう感覚が、今はすごくあるかな。他の人がやってくれないなら自分たちでやるよ…じゃないですけどね(笑)。」

取材:道明利友

(OKMusic)


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