2012-09-20

【THE MASSMISSILE】聴く人の心臓を 1ミリでも動かすための“本気”

 約6年間に渡るインディーズ活動を経て、あの熱き男たちがメジャーへカムバック!自らが持つありったけの“希望”を込めた曲たちを高木芳基(Vo)が語ってくれた。

──メジャー復帰作で掲げた“HOPE#”というタイトルは、今のみなさんの心情がすごく伝わってくる気がしました。

そうですね。しかも、それに付けた“#(シャープ)”も、半音を上げるっていう意味のように…自分の掲げている目標の、一歩でも、半歩でもいいから高みに向かっていきたいっていう気持ちを込めてタイトルにしました。今は特に震災もあったり、すごく大変な状況ですけど…。僕たちが掲げたいのはそういう、他の誰にも見えないかもしれないけど、自分たちの中にあった能動的な“希望の光”じゃないかなって。不安や迷いはずっとあるんですよ。何しろ『迷いながら』(2008年作)っていう曲を歌ってるぐらいなんで(笑)。迷ってていい、それでいい、それがいいって歌を歌ったこともあるし。そういう不安や迷いもずっとある中で、人間らしく音楽をやりたいですよね。

──確かに、“迷い”もそのまま歌っている曲が多いですよね。今回も「NO!タイムカード」とかは、“人生にタイムカードなんていらねぇよ!”的な力強さで最後までいくかと思ったら、《やっぱ怒られんのやだな…》っていうフレーズで締め括られていたり(笑)。

最初はそういう描き方にしようとは考えてなかったんですけど、気分が変わってきて…やっぱお金欲しいし、怒られんのやだなって思って、こういう描き方になっちゃいました(笑)。僕らの音楽は、作家が描いた綺麗なものっていうよりは、誰もが感じたことのある感覚。“半径3メートルの歌”と申しますか、無様さがどっかあるっていうのを大事にしたくて。『いこうぜ』にしても、人生にあぐらをかこうとしてますからね、この主人公は(笑)。でも、そんな中でも前にいかなきゃいけない時はある。その“いこうぜ”っていうポジティブさが伝えられたらなと思って。

──伊坂幸太郎さんの小説から触発されたという「ニシジマ」や、伊坂さんの作品を連想させる「たとえそれがフィッシュストーリーだったとしても」も今回は注目ですね。

伊坂幸太郎さんは好きな作家のおひとりで、こういう曲がアルバムに2曲たまたま入っちゃったっていう感じなんです。『フィッシュストーリー』は原作もすでに読んでたんですけど、歌詞を乗せるぞってぐらいの時に改めて映画をDVDで観たら、めちゃくちゃ良くて! そういうタイミングで『たとえそれがフィッシュストーリーだったとしても』は歌詞を書いていったので、どんどん壮大な描き方になっていって。《世界に届け 世界を変えろ》ってまで、最後にはいっちゃいましたからね。

──その2曲の、《戦争や原発や復興語るよりまず 目の前の泣いてる君を僕は救いたいんだよ》や《借り物のツイートなんかもう聞き飽きたぜ》っていうような歌詞をこの時代に歌うには覚悟が必要だったのではないですか?

『たとえそれがフィッシュストーリーだったとしても』の歌詞は、まさに今のこの情報社会を一喝したくて。Twitterに関して言えば、ここのゾーンだけはつぶやかないようにしようみたいな空気ができ始めている感じがあるじゃないですか。と同時に、無責任な言葉が見えないところまでどんどん広がっていく状況もあったり。そういう中で僕たちは音楽で気持ちを伝えたいし、それを生のライヴで多くの人へ伝えていきたいし。僕らの音楽を聴きにきてくれた人たちの心臓を1ミリでも動かすために、“本気であることが全て”っていうことですよね。

取材:道明利友

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