2017-03-23

音×AiR、音楽×コント形式の東京ワンマンが大成功!

音×AiRが3月12日、渋谷TSUTAYA O-crestにて、アルバム『ハートフルレボリューション』の発売を記念した4度目の東京ワンマンライブを行なった。

同会場での公演は2016年8月以来。前回は卒業した大地のラストステージということもあり、エモーショナルな瞬間が多く、楓(Vo)も『過去最高の出来でした』と語っていたように、素晴らしい公演であった。実は1週間前のJOL原宿でのフリーライブで楓の喉が不調だったのが気になっていたが、本番前に『もう大丈夫、絶好調です! 今日はやったりますよ』と気力の充実ぶりをうかがわせていた。

開演前、楓自ら事前に録音した影マイクによる注意事項が流れ、バスガイド口調で『本日のMCは“俺たち夢見るバンドマン3人組、いつかのワンマンライブに向けて妄想特訓中!”という設定のコント形式で進んでまいります。すてきな笑顔でお楽しみください』と、期待を高めてくれた。

黒地にメンバーカラーの文字をあしらったスーツを着て、竜之介(Dr)、MASAYA(Ba)、サポートギタリストの將、楓の順に音×AiRがステージへ登場すると、「波乗りトコナッツ」で開幕だ。明らかに楓の声がよく出ている。そのまま「ダントツ☆YOU」、MASAYAのベースが吠える「オトコボンバー」とイケイケのナンバーが続くが、後者では<♪オッオー>のコーラスでお客の唱和を促すときも『もっと行けるやろー!』とちょっぴり強引。

SEが流れ、MCコーナーならぬコント第1幕に突入。練習中のリハスタで楓が『『Love Me Do』で振付があったら盛り上がる思うねん』とかわいい振りをやって見せるが、全員でやるとテンポを間違え、キーを間違え、アレンジを間違え……と、コミックバンドの伝統に則った音楽的ボケを重ねていく。『もう一個振付考えてきてん』とさらに簡単な振りを伝授して「Poppoco」を披露し、再びコントへ。楓の『僕のMCにグッとくるBGMをつけてんか』という指示で演奏を始めるが、竜之介がシンバルをバシャバシャ叩く、遠ざけたら長い棒を持ってきて叩く、とボケ倒して、キレた楓の『僕ら力合わせててっぺん目指していくんやろ? 何度でも立ち上がっていくんやろ? それが僕らの“ネバギバソウル”やろー!?』を合図に「ネバギバソウル」になだれ込む。どうやら全編コテコテで行く様子だ。

そして、間髪入れずに青春疾走ソング「あの頃のままで」を披露。將のギターがいい感じに弾けてきた。竜之介が主役のコントを挟んで「ドジっ娘モーニング」、そして躍動感いっぱいの「叱ってサディスティック」。セリフのキレが抜群だ。『今日のクレストはかわいい子いっぱいおんなぁ!』と竜之介のドラムがパワフルな女子サービスソング「乙女ビンビン」をかまし、フロアの興奮は最初のクライマックスに達した。

再びSEが流れ、コント第4幕へ。恋に悩む楓のセリフに竜之介が『それ、何かの曲の歌詞みたい』と突っ込み、「純愛バイセコー」、そして「抱きしめたいハグトゥナイ」でさらにポップに弾ける。彼女にハグトゥナイしようとしてビンタされてしまった楓が、『こいつらこそ僕の心のバンソウコなんや!』とバンド仲間の大切さを再認識するコントを挟んでバラード「バンソウコ」。泣かせコーナーの最後には、大阪を飛び出して東京をもうひとつの故郷にしたいとの思いを込めた「ホームグラウンド」を披露した。

再びコントを挟み、最後のMCへ。『いろんなことがありました。バンド練習に恋愛に、ドジっ子竜之介に……』とコントの流れを踏まえて話し始め、『僕らは日本中を笑顔にしたいと思ってます。それが音×AiRの夢です。最後、僕らもみんなもそれぞれの夢をつかめますように』と現実につないで、みんなの夢を応援するJOL原宿のテーマソング「Catch Your Dream」で本編は幕を閉じた。

アンコールでは拍手が始まるやいなや出てくるボケに『早い早い』とお客さんが口々に突っ込む。音×AiRのノリが完璧にフロアを巻き込んだようだ。"何も用意しない状態だとこんなにグダグダだったっけ?"と苦笑いのメンバー紹介を経て、チケット100枚を手売りするミッションを達成したことを発表し、音×AiRのテーマソングともいうべき「なんちゃってヒーロー」をお届け。最後は全員で記念撮影をして、4度目の東京ワンマンは大成功に終わった。

終演後に楽屋を訪ねると、4人とも上機嫌を絵に描いたような笑顔でわちゃわちゃとふざけ合っていた。

楓「やりたいこと全部できました!」
竜之介「できた理由は、準備をしっかりしてたから……(小声)」
楓「今までしてなかったみたいやん」
MASAYA「してなかったことはないけども」
竜之介「今までのライブより深く作り込みました。MCがコントやったんで、作り込むしかなかったんですけど。今までMCはその場の雰囲気でやってたんで」
楓「うまくしゃべろう……なんてしゃべろう……みたいな不安がなかったし、ロックバンドっぽいパフォーマンスもちゃんとできて、満足です」
竜之介「達成感みたいなんはこれまでで一番かもしれないです」

にぎやかかつ簡潔なコメントが満足ぶりを物語っていた。成功の理由はおそらく、MCをコントにしてガチガチに作り込んだことで、そっちに気をとられることなく演奏に集中できたからだろう。コントがコテコテのベタベタなのもよかった点で、曲名に引っかけて次につないだりといった演出が効いていた。

新たな音×AiRのスタート地点として、ここからまた伸びていける可能性を十分に見せてくれた、あらためて将来が楽しみになるライブだった。

■【セットリスト】

1.波乗りトコナッツ
2.ダントツ☆YOU
3.オトコボンバー
Sコント「バンド練習編(Love Me Do)」
4.Poppoco
コント「夢ってなんですか編」
5.ネバギバソウル
6.あの頃のままで
Sコント「おばかさん」
7.ドジっ娘モーニング
8.叱ってサディスティック
9.乙女ビンビン
コント「片思い編」
10.純愛バイセコー
11.抱きしめたいハグトゥナイ
Sコント「楓、傷心」
12.バンソウコ
13.ホームグラウンド
-MC-
14.Catch Your Dream
EC-1.なんちゃってヒーロー

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