降り立ったホームには
温い風が吹いている
帰らない覚悟を決めて
この街にやって来た

嘘みたいな風景
でも嘘じゃない風景
空が割れて落ちてくる
アスファルトに影が
歩き疲れた影が
焼き付いて動かない

誰もが知っている、
誰でも知っている事が
未だに分らないから
探してばかりの、
迷ってばかりの日々を
今日も又、繰り返すだけ

地平線の彼方で夕空が
小さな俺を嘲っている

やがて月日も流れ去り
やがてそれ等も忘れ去る

「目を覚ます。目を覚まして家を出る
歩き出して何処へ行く
歩き出して彼所へ行く
四番線、色が剥がれて消えて行く
慣れてしまえば大丈夫
何が起きても大丈夫」

みんな分っている、
全て分っている事が
どうしても捨てられないから
探してばかりの
迷ってばかりの日々を
やっぱり今日も繰り返している

地平線の彼方の朝焼けが
小さな背中を押すようだ

握りしめた切符は片道だ
分らない儘、
列車は走る
迷った儘で、行け。


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