本棚の一番上に静かに息をしている
青いふちどりの昆虫図鑑
ページのどこかに挟んだ手紙が
誰かの膝にハラリと落ちた時
それは私の時計になる

セカイの愛とか夢とか
通りすがりの他人のようで
この指にはまらないモノ
私には見える 私には見える
見える 見える 見える

硝子の花瓶の向こうに揺らぐ
重ねられてた本に眠る文字
置き去りにした雨の自転車を
絵に描いたように言葉にできたら
放課後の光が優しいこと もう一度知る

昨日の雨に乾かない冷たいシューズ
その違和感を感じても
それもまた半分望んでいることを
言葉にしたいから
一冊の本のように
言葉にしたいから

私には見える 私には見える
私には見える…


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