海辺にあるボロボロのベンチに腰掛けて
誰に聴かせるでもなく ボクはギターを弾いてる
遠くに見える江ノ島はあいかわらずクジラみたいだ
風に飛ばされそうになって 帽子をポケットにしまう
誰かが近づいて来たぞ ランニング姿のじいさんだ
台風に備えてボートを岸に寄せたいらしい
もう一人いたおじさんと三人で力を合わせて
重たそうなボートは案外 簡単に動いた
おかしな充実感を得て 小走りでベンチに戻る
お礼を言われて照れくさくて 少しだけ笑った

あぁ ボクももっと素直に誰かに
力を貸してくださいと言えたらいいのになぁ
あぁ ボクはいらねぇとこばっか器用で
ここぞという時にはいつもかっこつけるだけです

海辺にあるボロボロのベンチに腰掛けて
誰に聴かせるでもなく ボクはギターを弾いてる
気付いたらおまえが足元でボクを見上げてた
悪いがお前が食べられるようなものは持ってないよ
ボクの言葉を無視して そいつはベンチに飛び上がって
知り合ったばかりのボクのヒザの上で寝始めた
ボクはどちらかと言えば犬派なんだけどなぁ…
オスだかメスだか知らないが なんだかお前が好きだ
突然お前は起き上がって 隣に置いてあるギターに
寄り添って一緒に寝始めた 全く気の多いやつだ

あぁ ボクももっと無防備に誰かに
愛されたいと甘えて眠れたらいいのになぁ
あぁ ボクはいらねぇとこばっか器用で
ここぞという時には いつもかっこつけるだけです
かっこつけるだけです

あぁ ボクももっと素直に誰かに
力を貸してくださいと言えたらいいのになぁ
あぁ ボクはいらねぇとこばっか器用で
ここぞという時にはいつもかっこつけるだけです

あぁ ボクももっと無防備に誰かに
愛されたいと甘えて眠れたらいいのになぁ
あぁ ボクはいらねぇとこばっか器用で
ここぞという時には いつもかっこつけるだけです
かっこつけるだけです
かっこつけるだけです

海辺にあるボロボロのベンチに腰掛けて
隣で寝てる猫とギターを日が暮れるまで見ていた


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