足をもがれたバッタは同じとこに留まって
半径五センチの中で一生を終えた
あしかせを付けた私は逃げ出すこともできず
この小さな空間で死んでいくのかな

耳も聞こえるし 目も見える 声を出す事も
悲しい旋律は風になって渓谷を駈ける
それだけ それだけ ただ歌うだけ
誰かを待ってただ歌うだけ

イタリアという国には素敵な靴があるという
美しいビロウドで出来た素敵な靴が
あしかせを付けた私はその喜びも知らず
薄汚れたこの足で生きていくのかな

耳も聞こえるし 目も見える 声を出す事も
鮮明な感覚が仇になって絶望を作る
それだけ それだけ ただ歌うだけ
何かを待ってただ歌うだけ

付きまとう幻覚や幻聴
振り切ってけたら会えるのに 会えるのに


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