これはこの世のことならず
死出の山路の裾野なる
賽の河原の物語

赤く咲くワスレグサ 燃えるような恋の花
やがて散る宿命なら 咲き乱れて死にたい
狂おしく悩ましい 色欲にとらわれて
人並みの幸せを 手放してしまった

淫らな夢のつづき もう一度見たくて
きつく首しめながら 夜ごと抱かれた

地獄の底から吹き上げる
熱い風に身を焦がし
極楽浄土へのきざはしは
千切れたままの蜘蛛の糸
このまま抜け出せぬ暗闇の子守唄

月は満ち羊水が うらめしく流れ出す
血にまみれ産まれた 望まれぬ命

呪われた恋の終わり 無垢な赤子の
濡れた布で口塞ぎ 息の根を止める

母の温もりを知らぬまま
捨てられた魂よ
賽の河原で積みあげた
石の塔はくずされて
いつまでも報われぬとこしえの子守唄

飢えたカラスが鳴く夜は
村で誰か人が死ぬ
ひだるい暮らしの口減らし
姥捨て山に神かくし
熱く煮える
血の池地獄
咎(とが)を背負った女が
身をなげた

淫らな夢のつづき もう一度見たくて
きつく首しめながら 夜ごと抱かれた

地獄の底から吹き上げる
熱い風に身を焦がし
極楽浄土へのきざはしは
千切れたままの蜘蛛の糸
このまま抜け出せぬ暗闇の子守唄

聞くにつけても哀れなり
二つや三つや四つ五つ
十にも足らぬおさなごが
峰の嵐の音すれば
父かと思いよじのぼり
谷の流れを聴くときは
母かと思いはせ下り
手足は血潮に染みながら
河原の石をとり集め
これにて回向の塔を組む
今日は初七日、二七日(ふたなのか)
四十九日に百か日(ひゃっかにち)
極楽ヶ浜に血の池地獄
恐山には風吹くばかり
恐山には風吹くばかり
恐山には風吹くばかり

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