一本蹈鞴

砂（すな）を　噛（か）むなら　翫味（がんみ）と　為（す）る
禄（ろく）を　食（は）むなら　倍（ばい）の　役（やく）を　為（な）す

嗚呼（ああ） 夙（つと）に　焦（こ）がれる　夢想（むそう） 狂言（きょうげん）に
然（そ）う　未（ま）だ　遠（とお）いも　遠（とお）いと　大（おお）いに　嘆（なげ）くも　踏（ふ）み明（あ）けるのは　直道（すぐみち）

業（わざ）に　踏（ふ）み抜（ぬ）く　鞴（ふいご）の　錬（ねや）す　材（ざい）は　鉄（くろがね）の
魂（たま）よ　燃（も）えろと　喞子（しょくし）が　往（ゆ）き還（かえ）り
鋼鉄（はがね）を　成（な）す

闇（やみ）を　覗（のぞ）けば　光（ひかり）を　知（し）る
取（と）りも直（なお）さず　陰（かげ）は　陽（ひ）の　鑑（かがみ）

嗚呼（ああ） 常（つね）に　流（なが）れる　空音（そらね） 鏘然（しょうぜん）と
然（そ）う　唯（ただ） 容易（ようい）な　妖異（ようい）と　王威（おうい）が　嘔吐（たま）えど
切（き）り拓（ひら）くのは　此（こ）の　道（みち）

正（まさ）に　打（う）ち合（あ）う　矜恃（きょうじ）の　堅（かた）き　牢（ろう）な　鑕（かなとこ）の
金属（かな）に　込（こ）めるは　相槌（あいづち） 三組（みくみ）が
鍛（かた）し　上（あ）げる　音（ね）ぞ

燻（いぶ）り出（だ）して　みよ　燃（も）え残（のこ）りの　火（ひ）で
生（う）み出（いだ）して　みよ　其処（そこ）に
蛻（もぬけ）の殻（から） なれば
脱（ぬ）ぎ　捨（す）てたる　主（ぬし）を

業（わざ）に　踏（ふ）み抜（ぬ）く　鞴（ふいご）の　錬（ねや）す　材（ざい）は　鉄（くろがね）の
魂（たま）よ　燃（も）えろと　喞子（しょくし）が　往（ゆ）き還（かえ）り
鋼鉄（はがね）を　成（な）す

正（まさ）に　打（う）ち合（あ）う　矜恃（きょうじ）の　堅（かた）き　牢（ろう）な　鑕（かなとこ）の
金属（かな）に　込（こ）めるは　相槌（あいづち） 三組（みくみ）が
鍛（かた）すや　重畳（ちょうじょう）と