2017-10-05
Hi-STANDARDの『MAKING THE ROAD』は燦然と輝き続ける日本ロックシーンの黄金の一枚

Hi-STANDARD が10月4日、実に約18年振りとなるオリジナルフルアルバム『The Gift』を発売した。SNSを見ていると、前日には「フラゲしたぜ」的な盛り上がりや、「今日、会社の帰りの必ず買う」といったコメントが見られた他、ちょっとした祭り状態であることが分かる。2000年8月に千葉・ZOZOマリンスタジアム(旧・千葉マリンスタジアム)にて開催したライヴイベント『AIR JAM 2000』のDVDも予告なしに発売されたことも、祭り状態に拍車をかけているようだ。今回は今も忘れられないHi-STANDARDの復活劇と共に、彼らの作品を紹介してみたい。
■東日本大震災の1カ月後に復活!
“日本で最高峰のバンドをひとつ挙げよ”と問われたら、筆者はHi-STANDARD(以下ハイスタ)を挙げる。これから先は変わるかもしれないが、現状では間違いなくそうだと思う。自分は付かず離れずでハイスタのインタビューをしたり、ライヴレポートをしたわけではないし、ましてやAIR JAM直撃世代ではない。どちらかと言えば、彼らが盛り上がっていた1990年代半ばには冷静にその姿を見ていた方だ。とにかくやられたのは2011年の活動再開の時。同年4月26日、難波章浩(Vo&Ba)、横山健(Gu)、恒岡章(Dr)の3人がそれぞれのTwitterで “9.18 ハイ・スタンダード AIR JAM。届け!!!”とつぶやいた。次々とRTされる3人が揃った画像入りツイートを最初は何のことかよく分からないままに眺めていたのだが、事態が飲み込めると、身体が震え、口から何か飛び出してきそうなほどに興奮を覚えた。仕事中だったから別に奇声を上げたりすることはなかったが、その時の自分のTwitterを見返したら“全てにおいてハイスタがロックであることが証明された気がする”なんてつぶやいてやがった。余程興奮してたんだろう。東日本大震災の発生から1ヵ月余り。今思えば、多くの日本人がそうであったように自分自身にも得体の知れない焦燥感があったのだろう。そんなところでのハイスタの復活は、一条の光どころか、かなり大きな希望となったことは間違いない。
「John Lennonは賢明に愛と平和を歌っていたけど、たった4人でも一緒にやっていけなかったじゃないか?」という指摘を、これも確かTwitterで見たと思うが、なかなか正鵠を射ているとは思う。The Beatlesの場合、未曾有のビジネスになっていたので、決して4人だけの意見をまとめるだけで事が動くことはなかったろうし、そのスキームは間違いなく複雑怪奇で我々凡人には計り知れないものであったろうが、それにしても各々の考えを擦り合わせることができなかったのは事実のようである(The Beatlesの解散はJohn Lennonがバンドからの脱退を宣言したことに端を発するとの説がある)。断っておくが、だからと言って、ここではJohn LennonやPaul McCartneyを糾弾したいわけではない。かのThe Beatlesですら解散や活動停止とは無縁でなかったし、それだけバンドというのはまとまることが難しい。そこを強調したいのである。しかも、皮肉なことに…というか何というか、セールス面で成功すればするほど、その傾向は強くなる。ミリオン、ダブルミリオンな世界になると複雑怪奇どころじゃなく、魑魅魍魎が跋扈するような事態にもなり、常人には立ち回ることすらできなくなるのだろう。
■東北のため、日本のために戻ってきた ハイスタ
ハイスタは2000年8月の『AIR JAM 2000』の後、活動を休止した。その理由は横山が精神疾患から少し休養したいとの申し出があったことに端を発しているという。《そこから長い充電期間に入るが、横山がリハビリのつもりで発足させたソロ活動に本腰を入れたことにより、難波との確執が生じたことを述べている》(《》はWikipediaから抜粋)。その後、難波、横山の両名がそれぞれのブログで、誹謗中傷めいた舌戦を繰り広げる。当時「これはもうバンドとしての復活は望めないだろうな」と思ったものだ。
だが、前述の通り、みなさん、ご存知の通り、ハイスタはバンドとして戻ってきた。『AIR JAM 2011』のチケット先行には20万人が応募。数だけならドームツアーができる規模だ。筆者はBSでの生中継を見た。「子供連れの奴はしっかり手握っとけよ! いくぞ!」で始まったオープニングナンバーは「STAY GOLD」。改めて言うのもアレだが、タイトルの意味は“いつまでも輝け”“輝き続けろ”、あるいは“輝きを失うな”といったところか。ハイスタ復活にこれ以上相応しい曲はなかった。その後の横山のMCも振るっていた。「信じられないかもしれないけど、俺たち日本のために集まったんだよね。笑わないでくれよ。ほんとだよ」。難波も言った。「東北どっちだ? あっちか? 届けよう。俺らが力合わせればできねぇことなんてねぇ、マジで。俺はそう信じてる」。号泣した。アーティストとはわがままなものだし、本来それでいいと思う。自己を追及するからこそ作品に一本筋が通る。バンドにしても同じで、メンバーそれぞれが己をバンドにぶつけるからこそ、楽曲のクオリティーが高くなることは多い。だからこそ、なかなか利他的にはなれないと個人的には理解しているし、そうであるからこそ、前述した難波、横山の確執も生まれたのだと思う。しかしながら、ハイスタは東北のため、日本のために戻ってきた。この彼らの姿勢をして、“日本で最高峰のバンド”と言わずして、何が最高峰だろか。個人的な恩讐を超えて、日本を元気にするために立ち上がる──このクラスのロックバンドで、そんなことができたのは、ハイスタの他、数えるくらいだったと記憶してる(同じ意味で、同年7月に東京ドーム2デイズ公演を行なった吉川晃司、布袋寅泰のCOMPLEXも素晴らしかったと思う)。
■言わずと知れた日本のメロコアバンドの 第一人者
さて、当コラムの主旨からして、以下、そんなハイスタから名作を1枚挙げるわけだが、ぶっちゃけ、何でもいいのではないかと思う。…というのは半分冗談だが、約18年振りにの最新作『The Gift』を含めてもハイスタのアルバムは5作品なので、そこから1枚は選びづらい。1st『LAST OF SUNNY DAY』はミニアルバムなのでともかく、2nd『GROWING UP』、3rd『ANGRY FIST』、4th『MAKING THE ROAD』の3作品から1枚のチョイスするとしても、どれにしてもバンドの特徴は表れているし、リスナーの好みの問題だとは思う。よって、この辺で了とさせてもらえるとありがたいのだが、そうもいかないだろうから、ここでは4th『MAKING THE ROAD』をハイスタの名盤として推しておきたい。自らのレーベル“PIZZA OF DEATH RECORDS”を完全に独立させて発表したアルバム第一弾というエポック作であるし、インディーズにもかかわらず日本国内外で100万枚以上のセールスを記録した日本ロックシーンにとってのエポックメイキング作でもある。
その内容は…と言えば──これは言うまでもないだろうが、“メロディック・ハードコア”=所謂メロコアバンドとしてのハイスタらしさが発揮されている。これまた説明不要だろうが、ハードコア・パンクのようなラウドな音+スピーディーなリズムに叙情的な歌メロを乗せたのがメロコア。M2「standing still」、M3「teenagers are all assholes」、M6「stay gold」、M8「glory」辺りがまさにそれだし、何より30秒余りで終わる短いインストながら、3人の音で構築したオープニングナンバーM1「turning back」で、日本のメロコアの第一人者の作品であることを提示しているようでもある。また、M5「dear my friend」やM7「no heroes」、あるいはM19「brand new sunset」で聴くことができるウェットなメロディー感からは、メロディーメーカーとしての奥行きというか、非凡なセンスを感じるざるを得ないし、ハイスタのポピュラリティーの高さ、その秘密はこういうところにもあると思う。
■3ピースの音だけにこだわらない姿勢も
前半は所謂メロコアらしい、活きのいいバンドサウンドで迫る一方、後半では外音(というか、通常の3ピース以外の音)を取り入れていることも確認できる。M12「making the road blues」ではコンガ(辺りだろう)。ボサノヴァタッチのM13「tinkerbell hates goatees」ではフルートやパーカッション。M14「lift me up don't bring me down」にブラス、M15「pentax」にトランペット(だろう、多分)。M17「mosh under the rainbow」のイントロではピアノ入りジャジーなサウンドを入れているし、M19「brand new sunset」のアウトロに近い辺りにはアコギ、オルガンが聴こえる。18年前の作品なのでもうネタバレでもないと思うが(それ以前のアルバムでもハイスタはやっていたし…)、シークレットトラックであるM20「Sexy Girlfriend」はアコースティックサウンドで構成したナンバーだ。弦楽器はおそらくアコギとウクレレで、ハワイアンのように仕上げている。また、これは外音ではないが、M16「nothing」のイントロはややサイケっぽく、M19「brand new sunset」ではアルペジオと、ハードコア・パンク的ではないギターを聴くことができるナンバーもある。
■自ら道を作って来た者が綴る 堂々たる歌詞
歌詞は英語詞オンリーだが、その中身の関してはほとんど説明不要だろう。タイトル『MAKING THE ROAD』に全てが集約されていると言ってもいい。
《No one can ever know/How hard it is for him to carry on this way/No one can know his love/For his people and family/Makin' Making the road/Makin' This one is for you》(M12「making the road blues」)。
《I don't need fake friends/I don't want to lie anymore/I'll never play that game again/I won't stop fighting/I will keep my pride inside for sure/Because of you/I don't need nothing》(M16「nothing」)。
《let's make a big circle now/something's waiting for you》《how do we step over the line/into the new age/outside our sun has begun to shine, shine, shine/mosh mosh mosh mosh under the rainbow, friends》(M17「mosh under the rainbow」)。
いずれも堂々とした内容である。これで仮に彼らの復活がなかったとしたら、何か言うべきだったのかもしれないが、戻ってきた以上、何も言うことはない。この時に歌ったことをこれからもハイスタ自身が実行し、形にしていくだけだろう。
TEXT:帆苅智之
アルバム『MAKING THE ROAD』
1999年作品
<収録曲>
1. turning back
2. standing still
3. teenagers are all assholes
4. just rock
5. dear my friend
6. stay gold
7. no heroes
8. glory
9. please please please
10. green acres
11. changes
12. making the road blues
12. making the road blues
13. tinkerbell hates goatees
14. lift me up don't bring me down
15. pentax
16. nothing
17. mosh under the rainbow
18. starry night
19. brand new sunset
20. Sexy Girlfriend
【関連リンク】
Hi-STANDARDの 『MAKING THE ROAD』は 燦然と輝き続ける日本ロックシーンの 黄金の一枚
Hi-STANDARDまとめ
BRAHMAN、これまでの全楽曲をダウ ンロード&ストリーミング解禁!
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