2011-10-20

exist†trace、純粋に好きなものを もっと突き詰めて演ってもいいんじゃないか

 exist†traceから早くも新しい5TRACKS CD『THE LAST DAYBREAK』が届けられた。今回は前作にも増して、欲するものを自由に取り込んだという強者たちが並ぶ。メンバーを代表して、ジョウ(Vo)、miko(Gu)、乙魅(Gu)の3人が熱く語ってくれた。

──最初に聴いた時、前作以上に間口の広がった5曲だと思ったのですが…2周、3周と聴くうちにどんどん深みにハマるような罠がいっぱい仕掛けられていますよね?(笑)

ジョウ やっぱり、作品を発表する度に驚いてほしいので。

乙魅 単純に5曲全部がカッコ良い。一個一個の音を作り込んだので、いろんなところに耳がいくというか。細かいフレーズであったり、楽器同士の絡み合いだったり。そこにジョウの歌声が乗っかって、良いなぁと思いましたね。

miko 前回の5TRACKS CD『TRUE』が初めてメジャーでリリースする作品だったので、自分たちはこういうバンドだってことが分かりやすいものを選曲した部分はあって。じゃ、次の作品はどうしようかって話をしていた時に、“自分たちはこうなんです”って語るための音源よりも、自分たちが今カッコ良いと思えるものだったり、純粋に好きなものをもっと突き詰めて演ってもいいんじゃないかなって。

──それは『TRUE』を出して、また新たな気持ちで挑めたということですか?

ジョウ そうですね。中にはすでに『TRUE』の選曲会に挙がっていた曲もあるんですけど、「Daybreak ~13月の色彩~」「be Naked」とかはmikoが新たに持ってきました。

──ちなみに、何曲中からの選曲だったのですか?

ジョウ 今回は多くて、確か20曲ぐらい?

──絞っていく作業だけでもひと苦労しそうですね(笑)。それだけ楽曲がそろっているなら、もっとボリュームのある作品形態でも良かったのかなと個人的には思うのですが、前作に引き続き“5TRACKS CD ”にしたのは事前に決めていたのですか?

miko 『TRUE』を5曲で出してみてバランスが良かったので、バンドに合ってるなと。シングルでもアルバムでもないところが私たちには丁度良いみたいで、自然に5曲にしようと思いました。でも、選曲会議に出ている曲はどれも良いし、みんな各々“あれもやりたい”“これもやりたい”だったので、本当に10曲入りぐらいのアルバムが作れちゃう感じでした(笑)。

ジョウ 迷いに迷いましたけど、数ある曲の中でも特にメロディーの良いもの、聴いて残ったものを選曲しました。今回、乙魅が作曲した「君の真っ白な羽根」が入ってるんですけど、実は『TRUE』の時に惜しくも漏れてしまった一曲だったんですよ。で、私はその時からすごいメロディーが頭と心に残っていて、夢に出てきたぐらいなんですよ。なので、ぜひ歌いたいなぁと思って一票入れました。

──全方位に振り切っている曲たちを最後にどっしり受け止めてくれる役割を持ってますよね。作品全体が締まります。

ジョウ これがひとつの答え、たったひとつ信じたもの…どんな結末が待っていようとも、自分の信じた道を歩いていこうという強いメッセージがありますよね。

乙魅 「君の真っ白な羽根」は、最初から“天使と人間の恋”というイメージが強かったので、切ないけど、優しく包み込むような感じが出せたらいいなと思って作りました。

ジョウ 「リトル・メアリーと美しき憎しみのドナウ」みたいな曲もあったんで、締めには本当相応しい、心を浄化してくれる一曲ですね。最初はラストに持って来るつもりはなかったんですけど、作っていくうちに締めはこれが良いよねっていう。

miko 前作で「KISS IN THE DARK」という曲を作って以来、自分の中の箍(たが)が外れてしまったというか。良い意味でも悪い意味でも、これまでは真面目に曲を作ってきていたので、遊びも取り入れることを覚えたというか。「リトル・メアリーと美しき憎しみのドナウ」は遊んでしまえ!って振り切りましたね。

ジョウ mikoも歌っているので、注目して聴いてもらえれば。

──お妃様とのギャップが物語の想像を膨らませてくれているように感じます。

miko 最初、ジョウに歌い分けてもらうつもりで、二面性でいこうかなって思ったんですけど、ジョウが歌うとカッコ良いメアリーになってしまって。もうちょっと弱くてもいいのかなって話をしていたら、歌うハメになってしまい…。

──この後の「I feel you」への流れも良いですよね。

miko 「リトル・メアリーと美しき憎しみのドナウ」の後を支えられるのがこの曲しかいなかったんです(笑)。例えば、この後に「君の真っ白な羽根」をくっつけてしまうと重すぎるので。

ジョウ そうしたら、浄化も何もできなかったと思うんですね。「I feel you」はさわやかさと疾走感で全てを取っ払い、忘れさせてくれるというか。

miko 作り終わってからもよく聴くんですけど、この曲聴いてると大きい会場でライヴやりたいなって思うんですよね。花道を走りたいなぁって、夢が膨らみます。

──あと驚きだったのが、「Daybreak ~13月の色彩~」のAメロのジョウさんの歌声!

ジョウ 歌詞をまじまじと読むと怖いじゃないですか。ガスマスク? CANDYプールって何だろう?…みたいな。しかも、自然環境への問題提起したような雰囲気もあって。まじまじ歌っちゃうと自然環境だけを取り上げた歌になってしまう恐れがあったんですけど、それだけの意味じゃなかったので、可愛らしく歌うことで“私はこういう世界に住んでいます”って主人公の皮肉めいた感じを出してみました。

──そして、「be Naked」のようなゆったりしたテンポ感が心地良かったです。

miko ちょっとオールドっぽい感じで。『TRUE』以降に考えたカッコ良いものの中にイメージとしてあって。オールドの匂い、雰囲気って、きっと“これがexist†traceです”って語れるものではないんですけど、自分たちがやったら絶対面白いだろうなっていう確信みたいなものがあったんで。今回できて良かったです。

──《裸のまま戦えるか?》の一節はパンチがありますよね。

ジョウ 女性に向けたメッセージの強い曲だったんで。私も読んだ時に刺さりました。自分もexist†traceのジョウとして裸のまま戦えているかなって再確認させられた曲でもありますね。“惰性の恋”、そういう言葉があるんですけど。やっぱ今現代の女の子たちの中には、そういういうふうに感じながら生きてる子もいるんじゃないかなっていうところから、私たち二十代の等身大の曲と呼んでるんです。女子たちの胸に突き刺さって、ひとつでも勇気になってくれたらいいですね。

取材:ジャガー

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