2011-09-20
SPYAIR、10年も20年も聴き継がれる名盤を作りたかった
ラウドでポップなミクスチャーロックで人気を呼ぶ、名古屋のストリート発の5人組バンド、SPYAIR。待望の1stアルバム『Rockin' the World』に込められた想いとは? 10月の野音ライヴへの意気込みとともに話を訊いた。
──ついに待望のメジャー1stアルバムが完成したわけですが、まずそこに至るまでを振り返ってもらえますか?
IKE シングル「LIAR」でデビューしたのが昨年の8月だったんでちょうど1年くらいですね。いろいろと経験できた1年でしたね。いきなりドラマのタイアップでデビューだったので、プレッシャーもあったし、もうガチガチに肩に力が入ってたんですが、ここ最近になってようやく少しずつリラックスして音楽と向き合えるようになってきたんですよ。
MOMIKEN うん、普段の生活までガチガチだったもんね。飯作るぞ!、寝るぞ!って、いちいち気合い入れてた(笑)。自然体になるための1年だったかもしれない。
UZ デビューするまでは、生活していくためにバイトをしながら音楽に向き合っていたのが、音楽に専念することができるようになって、だんだんと自分を客観視できる余裕が生まれてきたんですよね。こうなりたい!、俺たちには夢があるんだ!って息巻いていたのが…もちろん今も夢は持ち続けていますが、無理せずに自然なスタイルで追い求めるようになりました。
KENTA そう、メジャーデビュー前後から今年の初め頃までメンバー全員が頑固になってたよね。自分はこうやらなきゃいけない、俺はこれが好きだからこうやるんだっていう我がみんな強かった。でも、それじゃダメなんだって、ある時に気付いて。インディーズの時のようにみんなで話し合って、柔軟にやっていくようになったら、みんなが自分ではなく、バンドを考えるようになっていったんです。
ENZEL☆ そう、僕もやっと自分がSPYAIRというバンドで、何をすればいいのかが分かったんです!(笑) ステージで遊ぶように盛り上げるのが、僕の役目。そう吹っ切れたとたんに、やりやすくなっていきましたね。
──音楽だけに向き合ってきた結果であり、その成長がこのアルバムにもしっかりと刻まれていそうですね。
UZ はい、さっきみんなが言ったような意識の変化がなければ作れなかったと思いますね。でも、“1stアルバムだから、こういうテーマを持たせよう”とか“こんなストーリーを描こう”というのはなかったんです。今のSPYAIRを全て見せ切ってしまおうというのは、もちろんあったんですが、明確にテーマとして呼べるものは、10年も20年も長く聴き継がれていくような名盤を作りたいということくらいですね。
IKE うん、それはみんなが共有していたアルバムの予想図ですね。一枚目のアルバムって、これから折に触れて聴き返されていくはずだから、どうしても名盤でなくちゃいけなかったんです。
──SPYAIRが考える名盤の条件とは、どういうものだったのでしょう?
KENTA 何回もリピートできるアルバムですね。12曲聴き終わって、トレイから取り出されるんじゃなくて、“え、終わっちゃったの? もう1回聴きたいな”って思わせるのが名盤だと思うんですよ。
IKE そう、だから曲数よりも収録時間に気を使ったんです。60分では長いくらい。そんなに聴いてると満腹になっちゃうじゃないですか。昔の名盤って長くても50分くらい。もちろんLP時代で制限はあるけれど、ちょうど聴きやすいボリュームだと思うんですよね。
UZ 俺は1stアルバム自体に、昔からすごく夢を見てたんです。その夢が絶対に長く聴き継がれていくアルバム。だから、まさにこの時のために曲を書き溜めてきたんです。
──どれくらいアルバム用に曲があったのですか?
UZ 30曲くらい作ってましたね。そこから選ぶわけなんですが、すでにシングル5曲とカップリング1曲が入ることが決まっていたので、その6曲とのバランスを考えながらチョイスしていきました。迷ったり、悩んだりでしたね。
──アルバムはちょうど40分ほどの収録時間で、なおかつ12曲ですから、曲順にも悩んだんじゃないですか?
KENTA UZにどの曲を入れたいというのがあって、その中で“この曲はどう?”というふうにみんなで組み立てていったんですが、この曲はどうしても入れたくねえ!とか駄々をこねることもあったりしましたね(笑)。
UZ あったね~。絶対いやだ!とか言ってたら、メンバーとスタッフが外堀を埋めるように説得し始めるんですよ(笑)。まあ、俺も大人になったんで受け入れましたが。最近までどうもしっくりとこなかったんですけど、不思議と気にならずに聴けるようになってきた。やっぱ、名盤は繰り返し聴くもんですね(笑)。
IKE そうそう、それも名盤の楽しみ方だよ(笑)。
──10月30日には日比谷野外大音楽堂でのワンマン公演も決定しています。その意気込みもお願いします!
IKE つい先日、下見を兼ねて野音に行ってきたんです。やっぱ広いですよね、3000人は入りますから。ボロボロのスタジオから、今は夢のような素晴らしいスタジオで歌えている、音楽やれている、メシを食えている。野音のステージに立った時、そんな喜びを噛み締めながら、でも、しっかりと次を見据えて歌っていきたいです。
MOMIKEN 4曲目の「BEAUTIFUL DAYS」のAメロに“僕らはこんなトコまで来たんだね”とあるんですけど、野音でIKEがそう歌う姿を僕はイメージして詞を書いたんです。今年一番の目標であって、音楽の聖地でもある。そういうところで僕らのメッセージを届けられるのはすごくうれしい。名古屋のストリートで夢中になれるものを探してきた僕らが掴んだ夢のひとつだと思っています。
取材:油納将志
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