2019-11-27

シド「SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL」レポ

シドが11月21日、東京国際フォーラム ホールAにて、アルバム『承認欲求』を携えた全国ホールツアー「SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL」公演を開催。
そのステージで、新たなシドのライブを見せる場所として2020年5月9日(土)、10日(日)山梨・河口湖ステラシアターにて「SID LIVE 2020 -Star Forest-」を開催することを発表した。
              
一冊の本を読み終えたような、充実した読後感のあるライブだった。
──“あなたをあなたと認めてくれるものは何ですか?”“僕たちは誰ですか?”“あなたは誰ですか?”──
ステージ前面に貼られた大きなスクリーン幕。そこに問いかけのメッセージが打ち出された。
これは誰でもない“あなた”へのメッセージなんだと、その後に映し出された様々なSNSの見慣れたアイコンが、ステージと観客一人一人のリアルを繋ぐ。

それまで期待に沸いていた場内が、水を打ったように静まり返った。静寂の中、スタートしたのは「承認欲求」。
演奏するメンバーはスクリーンの向こう側。一つ幕を隔てた距離感は、この「承認欲求」の歌のようにむき出しの“リアル”を覆ったサウンドと、映し出される歌詞と映像が相まって、まるでドラマかアニメのオープニングを見ているような感覚に陥った。
続く「see through」のイントロで幕が開き、ファンキーなグルーヴを奏でるメンバーが姿を見せた。
もともとアルバム『承認欲求』はコンセプトアルバムではなかったが、こうしてツアータイトルになり、新旧の楽曲の歌詞とオリジナルの詩という“言葉”をメッセージとして放つことで、コンセプチュアルなステージを作り上げた。「螺旋のユメ」や「MUSIC」といった人気のライブ曲も、このラインナップに入ると、よりメッセージ性が強まった気がする。
マオの柔らかで温かみのある歌が響いたのは「2月」「手」「淡い足跡」のミディアムナンバー3曲。
「手」ではShinjiが奏でるアイリッシュなサウンドが、その世界観へと引き込んだ。

中盤ではこの日のために作ったという新曲「delete」を披露。
明希のダウンピッキングによる重厚なビートが印象的な、スリリングなビートナンバーだ。
ゆうやもドラムセットから降り、アコースティックスタイルで聴かせた「ポジティブの魔法」では、左右に並びプレイするメンバーに歌いながら絡んでいくマオの姿に笑いが起こる。
音源ではしっとりとした印象のある曲なのに、たちまち愛らしい曲に変わった。
こういうライブならではの印象の変化も楽しい。
そして、ゆうやのタイトなリズムが焦燥感をかき立てる「Blood Vessel」を皮切りに、「プロポーズ」「park」とアッパーチューンを畳み掛ける。
激しいヘドバンで乱れた会場を見て、「今日もすごかったね。風の強い日のゴルフ場みたいだった」とマオ。
秀逸なコメントで和ませると、光溢れるミディアムナンバー「その未来へ」へ。
メンバー4人と観客との大合唱で、一つの大団円を迎えた。
ステージ前にゆっくりスクリーンが降り、本編ラストの「涙雨」。
雨の映像と共に歌詞がポツポツと降り落ちる。そこに流れるエモーショナルなサウンドと歌声。
なんともドラマティックなラストだった。圧倒的な余韻に身動きできなかったのだろうか。
大きな拍手が沸き上がったのは、演奏が終わってメンバーがステージを去り、一瞬の沈黙が流れた後のことだった。

アンコールを受けてステージに戻ってきたメンバーは、ツアーTシャツに着替えてラフなスタイルで「デアイ=キセキ」「循環」「ドラマ」「エール」と聴かせた。
そして迎えたエンディング。冒頭に出た問い掛けに対し、シドはちゃんと音楽で答えを出す。

──“あなたにとって僕たちは、必要ですか?”“あなたが認めたあなたに認めてほしい”“それが僕たちの承認欲求”──
心理学において、“承認欲求”からの脱却に必要なのは“自己肯定”だと言われる。
このメッセージの後、最後に鳴らしたのは「君色の朝」。
〈眠ってる力を信じたぶんだけ 僕たちはまた色を纏う〉。マオの伸びやかな歌声と、それに寄り添うたおやかなバンドアンサンブルで放たれたメッセージが、心の中に染み込んでいく。
日々、たくさんの言葉が流れていく中で、きっとシドの音楽は“信じられる”ものなのだろう。
ステージから放たれるメッセージをじっと見つめ、真摯に耳を傾ける観客の姿がとても印象に残っている。
彼らは明日、どんな色の朝を迎えるのだろうか。この曲を胸にワクワクしてほしい。
そんなふうに思えたのも、このステージでシドがかけた“ポジティブの魔法”のせいなのかもしれない。

最後にステージに残ったマオは、「何が起こってもやれるんだなと、じんわり心にしみたツアーでした。
本当に僕たちにとってやってよかったツアーでした」とツアーを振り返った。
そして、延期になっている2公演に向けて「あと2本、今までに見せたことのないような俺の“伸び”を見せるから、期待してて」と語っていた。
終演後、延期になっていた2公演と、2020年5月9日(土)、10日(日)に山梨・河口湖ステラシアターで開催される「SID LIVE 2020 -Star Forest-」が告知された。
マオの言う“伸び”がどんなものか気になるところだし、野外ステージで彼らがどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみである。
それと共に、18年目に向けてスタートを切ったシドの新章に期待したい。

PHOTO:西槇太一
TEXT:大窪由香

SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL
2019年11月21日(木) 東京国際フォーラム ホールA
SET LIST
01 承認欲求
02 see through
03 螺旋のユメ
04 MUSIC
05 2月
06 手
07 淡い足跡
08 罠
09 delete(新曲)
10 Trick
11 ポジティブの魔法
12 青
13 Blood Vessel
14 プロポーズ
15 park
16 その未来へ
17 涙雨
En01 デアイ=キセキ
En02 循環
En03 ドラマ
En04 エール
En05 君色の朝

■ホールツアー情報
SID TOUR 2019 -承認欲求- 振替公演
2019年12月29日(日) 埼玉 / 大宮ソニックシティ  OPEN 17:00 / START 18:00
2020年1月5日(日) 宮城 / 東京エレクトロンホール宮城  OPEN 17:00 / START 18:00

【チケット一般発売日】 11月30日(土) 10:00~
<大宮ソニックシティ>
ローソンチケット  https://l-tike.com/sidtour2019/ 
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/sidtour2019/  
イープラス https://eplus.jp/sidtour2019/ 
Yahoo!チケット http://r.y-tickets.jp/sidtour2019/ 
LINE TICKET https://ticket.line.me/sp/sidtour2019/ 
キョードー東京 0570-550-799
<東京エレクトロンホール宮城>
ローソンチケット https://l-tike.com/sidtour2019/ 
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/sidtour2019/ 
イープラス https://eplus.jp/sidtour2019/ 
【チケット料金】 全席指定 ¥7,500(税込) ※4才以上有料

■ライブ情報
SID LIVE 2020 -Star Forest-
2020年5月9日(土)河口湖ステラシアター
2020年5月10日(日)河口湖ステラシアター
※詳細は後日発表 

■テレビ情報
CS放送 TBSチャンネル1
『シド「SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL」』
2020年1月26日(日)20:30~
番組サイト https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/o2360/ 

■ニューアルバム『承認欲求』NOW ON SALE
【初回生産限定盤A(CD+DVD)】 KSCL-3180/1 ¥3,611+税
【初回生産限定盤B(CD+写真集)】 KSCL-3182/3 ¥3,611+税
【通常盤(CD)】 KSCL-3184 ¥2,870+税
 詳細はコチラ https://sid-web.info/music/217996  

■『承認欲求』Music Video(YouTube) 
  

■サブスクリプションサービス https://kmu.lnk.to/sid_digital 

シド オフィシャルサイト http://sid-web.info/ 
シド オフィシャルTwitter https://twitter.com/sid_staff 
シド オフィシャルInstagram https://www.instagram.com/sid_official_jp
SID Official YouTube Channel http://www.youtube.com/c/sid 
シド オフィシャルWeibo https://www.weibo.com/sidofficial

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