2013-03-22

【In 197666】“運命”だけでは片づけられない思い

 4月3日に6曲入りミニアルバム『(NO) MY DESTINY』でメジャーデビューを果たすIn 197666。優しさと厳しさ、理想と現実…相反する要素を包み込んだサウンドと詩世界が、心に突き刺さる。

──“In 197666”というユニークなバンド名は、誰かの誕生日か何かと思ったら…。

原「アメリカのMurderdollsというバンドの曲名です。特にそのバンドを尊敬しているとかではなくて、たまたま目に入ったCDの曲名です(笑)。高校生の時に付けて、その場のノリでここまできてしまったと(笑)。」

──高校で結成したバンドがそのまま続いて今に至るわけですよね。

西「バンドを始めたのは高校の先輩への憧れからだけど、ここまで続いた大きな要因は全員純粋に音楽を始めた段階から友達だったということですね。森下は去年加入した新しいメンバーではあるけど、18歳の頃からずっと友達だったし。全員がいて当たり前の、家族とか恋人に近しいような存在だったんです。」

──最初の頃はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのようなバンドをやっていたそうですが、どのようにして現在のスタイルに到達したのですか?

西「ライヴハウスに出始めるようになると、当時流行っていたドス暗いロックに触発されたり。全員ステージでは一切笑わない、MC なし、楽器はハウリングさせたまま投げて帰る、みたいな(笑)。そういうのが最高にカッコ良いと思っていたんです。大学に入り、周りの友人が現実に目覚めていく中、自分たちも“なぜ自分たちが最高にカッコ良いと思ってることに対する反応がまったくないんだろう?”と考えるようになり、より大衆性を求めたものをやりたくなっていき、二転三転して今のかたちになっていったという感じですね。俺たちがその時々に“やりたい”と思えるものは何でもやっていきたいという話をしているうちに、この4人で一緒にやっていること自体が俺たちのアイデンティティの芯になるのかな、という結論に達しています。」

──ミニアルバム『(NO) MY DESTINY』からは、どちらかといえばミッシェルなどよりもV系のバンドの匂いを感じました。

西「LUNA SEA、L'Arc ~en ~Ciel、GLAY といった90年代J-ROCKへの憧れが大きかったからですね。フレーズやメロディーに顕著に出ていると思います。エンジニアでプロデューサーの采原史明さんの影響もありますし。」

原「中学時代に聴いていた、黒夢やLUNA SEAといった90年代のV系って、今聴いてもすごくカッコ良くて、スケールのデカさも含めてそういったバンドのエッセンスを採り入れられたらとは思いました。」

森下「楽器を始めた頃にそういったバンドをコピーしていたので、自然と出ちゃうというのはありますね。」

西「“俺たちのルーツはミッシェルやBLANKEY JET CITYです”と言えればカッコ良いんですけど、中学で純粋に音楽に触れ始めた頃に憧れたのはそういったV系のバンドなんですよね。あの孤高感、スケールのデカさに。」

──タイトルの“(NO) MY DESTINY”ですが、なぜ“NO”が括弧で括られているのですか?

西「“運命かもしれない、しかしそれは自分の意志次第で変わる”という。“運命だけに左右されていない、これが俺だ”という意志の表れをタイトルにしたかったんです。収録されている5曲にはそれぞれ異なった“運命”がキーワードとなっているストーリーがあるんです。」

──それはメジャーデビュー作ということで、決意表明としても捉えられますね。

西「まさしく。自分たちがこうしてメジャーからデビューさせてもらえたのは、もしかしたら運命かもしれない。でも、同時に自分たちの意志でここまで続けてきたから、という思いもあって。メジャーというより多くの人に伝わる場所だからこそ、ポジティヴなメッセージを送りたかった。“お前自身の人生だろ”という強いメッセージを、人間としての弱さを内包して伝えたかったんです。」

原「西さんが“(NO) MY DESTINY”というタイトル案を持ってきた時、全会一致で瞬間的に決まったんです。そんなこと滅多にないんだけど。」

──メジャー第一弾ということで作風を意識した部分も?

西「去年10月にインディーズで出したアルバム『Stars seed』が10曲が全て違う表情を持った、自分たちとしてはオムニバスアルバムとして作った作品だったんですけど、今回はそうしてアウトプットしたものを受けて、“みんなで盛り上がれる曲”“いい感じに聴ける曲”というざっくりとしたテーマを設定して探っていって。あと、その時々に聴いていたものが出てくる音に直結するタイプなので、その日によって違うものが出てきましたね。」

森下「昨日は“やっぱりロックじゃなきゃ”と言ってたのが、今日は“やっぱりポップじゃなきゃダメだ”とか(笑)。」

西「メジャーとは言うものの制約を受けることはなく、本当に俺たちの好きなようにやらせてもらえて。「Fly」という曲にはかなり直接的な社会的メッセージが込められていて、個人的には思い入れも強いので、こういう曲をメジャー一発目に出せたのが本当に嬉しいです。」

──それでは最後に漢字でこのミニアルバムを表現すると?

西「“人”。聴いてくれる人に“人間らしく、自分らしくあってほしい”という思いがあるので。僕が書く歌詞には一貫して人と愛が入っているんです。」

森下「“歌”。サウンド重視だった前作より、もっと歌を届けたいというテーマがあって、それを追求したので。」

原「“命”。運命の“命”ですね。「Fly」をはじめとして、“命”をテーマとする曲が複数あるので。」

三浦「“飛”。「Fly」ですね。とにかく思い入れがある曲なので。」

取材:金澤隆志

(OKMusic)


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