2013-11-20
【浮気者】“浮気者=tokyo”というイメージがあった
SuGから浮気? とファンを惑わせた武瑠(Vo)のソロプロジェクト“浮気者”が始動。ジャンルを越えたクリエイターやアーティストとコラボしたミニアルバム『I 狂 U』が完成した。移り気が生んだ才気あふれる作品を武瑠が語る!
──そもそも武瑠くんのソロプロジェクト“浮気者”は、どんなコンセプトから生まれたのですか?
「復活前に“SuG=本命ありき”の遊びとしての“浮気者”っていうプロジェクトを始動させたら面白いかもっていう思い付きです。武瑠としてのソロだったら、“浮気者”ってネーミングはイヤだった(笑)。」
──この夏に特設サイトを立ち上げて、プロ、アマ、ジャンルも問わず浮気相手を募集してましたよね。
「あれも思い付きでファンも含めて、誰かと一緒に何かやりたいなぁと思っていて。たくさん応募していただいて、お菓子メーカーの方から“一緒にお菓子を作りませんか?”ってオファーがあったり、ペット服のお店やギタリストの方とか女性ファッション誌の編集さんとか…もちろん、一般の方もたくさん応募してくれたんですけど、作品を添付していない方が多かったので、今後はぜひ添付してほしいですね。」
──そんな浮気者プロジェクト第一弾としてミニアルバム『I 狂 U』がリリースされましたが、たむらぱん、0.8秒と衝撃。、ゆよゆっぺなど、さまざまなアーティストとコラボしてますよね。これは特設サイトの募集とは違う流れで?
「そうですね。アルバムのほうは単純にいいなと思う人とか、周りに推薦された人も含めてオファーした感じです。今回、自分の中にイメージがあったから、曲を作る前にアーティスト写真を撮ったんですよ。その時には“I 狂 U”っていう言葉やMVの構想も浮かんでいたんです。タイトルは“Crazy for you”っていう意味合いなんですけど。」
──アルバムのコンセプトは“tokyo”だとか?
「“浮気者= tokyo”っていうイメージがあったんです。」
──SuGの頃から“tokyo”のホテルを舞台にしたアルバムを作っていたけれど、武瑠くん自身は“tokyo”やそこに暮らしている人たちにどんな印象を持っているのですか?
「善くも悪くも流されちゃうイメージがありますね。意志なく流動的というか、“水”っぽいというか。」
──恋愛だったり、人間関係にしても?
「全部、流れている感じ。黒とか白のはっきりした色じゃなくて、グレーとか水色の曖昧で淡い色合い。」
──今、話してくれたことはアルバム全体を聴いた時に浮かぶ色合いとリンクしています。
「そうですね。写真もそういうイメージで撮ってますね。東京ってターミナル的なところがあると思っていて、最後の曲「rise and fall」でそういうことを歌ってるんですけど、陽が昇って落ちていくように、毎年毎年上京する人がいて去っていく人がいて、どんどん人が入れ替わっていくんだけど、街だけは変わらずにそれを見てるみたいな。《染まり続ける僕ら蔑むよう》って詞が出てくるけど、そのループをただ繰り返してるだけ、みたいな。」
──それがループするサウンドの無機質な質感にもつながる?
「ループする感じはそうですね。音は最初からクラブで流れるような感じにしたいなと思ってたんです。ダブステップやヒップホップのイメージ。歌詞は短編のオムニバス集。東京のいろんな街で繰り広げられるストーリーで、池袋、歌舞伎町、高円寺、下高井戸、渋谷が舞台になってるという。」
──「I 狂 U」のMVもショートムービーみたいですもんね。東京のミクスチャー感が出ていて、ダンスでパンクで、ストリート感があってカット割りもすごい。
「MVを観てもらわないと成立しないと思うぐらい重要で、いいと思われなかったらどうしようって(笑)。原宿、浅草、新橋、秋葉原、渋谷で撮ったんですけど、男性のアーティストでダンスもしていて、こういうポップでエッジのある映像は自分しかできないだろうなっていうのもありますね」
──コラボしたアーティストたちとの浮気現場エピソードは?
「たむらぱんさんとはライヴで共演したことがあって、パブリックイメージは明るいのかもしれないけど、切ない曲が得意なんじゃないかなと思って曲を頼んで、歌詞を一緒に書いたんですけど、詞の共作は初めてだったので新鮮でしたね。」
──0.8秒と衝撃。とコラボしている「愛の妙理」はアルバムの中でもぶっとんでますね。
「ぶっとんだ曲を入れたかったから、0.8秒と衝撃。に頼んだっていうのもあるんです。この曲は高円寺の商店街で同じ人と何度も何度もすれ違って、神様が強制的に出会わせようとしてるみたいな世にも奇妙な物語。ループする不思議な音を入れてほしいっていうのと、最後に落語をサンプリングしたいって伝えましたね。J.M.さんの感情がない感じの歌声がスタイリッシュさを醸し出している。で、コラボしている人で唯一、推薦してもらったのがゆよゆっぺさんで、「undermine」という曲を書いてもらったんですけど、原曲はどメタルだったのをサビだけ残して、他はダブステップ寄りのアレンジにして。俺よりビジュアル系っぽい歌詞を書くなって思いました(笑)。」
──あと、Sadsの「忘却の空」をカバーしているのが印象的でした。武瑠くんにとって思い出深い曲なのでは?
「そうですね。コピーバンドで出た初めてのライヴで歌った曲だし、好きでずっと聴いていた曲なので、当時の思い出も一緒に呼び覚まされる感覚がありましたね。この曲がテーマ曲だったドラマ『池袋ウエストゲートパーク』に使われていたKREVA さんの曲も衝撃的で、そのイメージでアレンジを構築していったんですけど、このアルバムを作って改めて自分の本線が分かった気がしましたね。「忘却の空」や「rise and fall」みたいな切なかったり儚かったりする世界観をソリッドでポップなところに落とし込んでいくっていう。」
──浮気しての再発見ですね。最後に12月29日の代々木第二体育館でいよいよSuGが復活しますね。
「そうですね。1年の休止期間は短くもあり、長くもあり。自分にとっては“生きてる= SuG”みたいな感覚があるから、“やっとできる!”みたいな感じともちょっと違う。生きてるから自然にステージに立つみたいな感覚ですね。」
取材:山本弘子
(OKMusic)
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