2012-12-20

【シド】バンドの歴史が刻まれた10年目のベスト!

 結成10周年にして初のベストアルバムを発売するシド。大ヒット曲のみならず、ライヴのテッパン曲やインディーズ時代の名曲も網羅した一枚から浮かび上がるバンドのカラー。色褪せないメロディーをフルコースでどうぞ。

──シドは2013年春に結成10周年を迎えますよね。バンドを組んで間もない頃は、何年バンドが続くとか想像しなかったと思うのですが、10周年目前の今、どんな心境ですか?

ゆうや「ぶっちゃけ、そんなに実感がないんですよね。周りに言われて気付くぐらいの感じなんですよ。“10年!?”って逆にちょっとビックリしているというか。」

明希「僕も似た感じですね。“もう10年なんだ!?”っていう。周りの人にも“長いよね”って言われて…確かに短くはないんですけど、いいかたちで自然に10年経った気がしているので。」

マオ「僕らメジャーデビュー(2008年)が遅かったので、やっと新人バンドから中堅バンドに片足突っ込んだっていう気がしてますね。目の前のことを1個ずつ、ちゃんとやっていくことが最優先だったので、気付いたら10年という感覚ですね。」

Shinji「僕は年々バンドが楽しくなってきましたね。始めたばかりの頃はビジュアル系のシーンがどんな感じなのかも分からなかったし、デビュー前は環境が変わることへの不安もあったんですけど、この2~3年で大事なことは変わらないし、関係ないんだなって。ライヴも自分が楽しめていれば、お客さんも楽しんでくれるし。」

──いい意味でリラックスして音楽に向き合えるようになったのかも。2013年の1月16日には初のベストアルバム『SID 10th Anniversary BEST』が発売されますが、ベスト盤を出すなら、このタイミングだって決めていたのですか?

マオ「シングルベストを出すタイミングは今までにもあったと思うんですけど、“まだ早いな”ってずっと思ってたんです。今回は10周年っていう区切りの年だし、ベストでしょうっていう王道な流れで。ただ、出すならシングル集ではなく、バンドの10年がちゃんと見える内容にしたかったですね。」

──アルバム収録曲やメジャーデビュー以前の曲も収録されていますが、どんな基準で18曲をセレクトされたのですか?

マオ「バンドのいろんな面が見える曲を選ぼうと思ったのと、新旧問わずファンに人気がある曲は押さえてますね。それと周りのスタッフの意見も取り入れたり。」

──シドの楽曲はメロディーや歌詞はウェットなんだけど、サウンドは洗練されていてアコースティックギターやストリングスを取り入れていたり、ラテンやボサノバの要素があったり多彩ですよね。それぞれ自分目線だけではないところで選んだ今回のベストをどういうふうに捉えていますか?

Shinji「自画自賛になっちゃうかもしれないけれど、いろいろなアプローチでサウンドアレンジをしているのと、やっぱりメロディーを大事にしてきたバンドだなと思いましたね。」

明希「ほんと一曲一曲、ジャンルで言うとサウンドも表現の仕方もさまざまだと思うんですけど、こうやってまとめて聴くと違和感なく聴けるので、10年かけてシドの音楽の個性をちゃんと提示できたんじゃないかなと感じましたね。若い時の曲は照れ臭さもあるんですけど、それも含めて楽しめたので、聴いてくれる人も楽しんでくれるんじゃないかなと思います。過去の産物ばかり並べたわけではなく、最新シングル「V.I.P」も収録されているし、ちゃんと未来も見えるベストになったと思います。」

マオ「インディーズ時代の音源ってなかなか自分たちでは聴かないんですよね。でも、こうやって改めて並べると昔から面白いことやってたんだなと思いましたね。3曲目の「アリバイ」(2005年)のストリングスアレンジとか、J-POPでは普通かもしれないですけど、当時、ああいう曲をライヴハウスで歌うバンドってウチらのジャンルにはいなかったので、よくやったなぁって。」

ゆうや「あと、やっぱり歌モノバンドだなって気がしましたね。カラオケでも歌いやすいメロディーというか。初めて聴く人にはバンドの流れも分かる構成になっているので“ベスト聴いてシド軽く分かっちゃったぜ”風になってくれたら(笑)。」

──歌モノという話が出たけど、改めて聴くと切ない恋愛の曲が多いなって。別れの歌だったり、断ち切れない想いを歌っていて、エロティックな曲を含めて、心情をえぐる曲が多い。

マオ「幻想的な歌詞の良さもあると思うんですけど、俺が書きたいのは身近に感じられたり、ダイレクトに胸に突き刺さるようなものなので。悲しかったり切なかったりする詞に“自分もこういうことある!”って共感する人は多いと思うし、みんなひとりになっちゃえば弱いと思うので。」

──DVDには歴代のライヴテイクが収録されるんですよね。

明希「そうですね。ライヴでも歴史を振り返ってほしかったのでレアな曲が収録されてますね。」

マオ「18曲じゃ入りき切らなかったっていうのもあるし。面白かったのは2005年の人見記念講堂でのライヴ。“角刈り限定ライヴ(嘘)”ってタイトルでやったんですよ(笑)。初のホールライヴで普通なら“やった! やっとホールまで来た。めっちゃカッコ良いライヴにしようぜ”っていう時期なのに4人で悪ふざけしちゃったんでしょうね。でも、本当に角刈りにされたら困るから、“(嘘)”にして(笑)。これはファンに大好評でしたね。」

──そんなレアな映像も観られるという(笑)。2013年はベストのみならず10周年記念ライヴなどいろいろ計画があるようですが、どんな一年にしたいですか?

マオ「年中、お祭りみたいな。何かしら派手なことやってる年にしたいですね。」

Shinji「派手にね。忙しい年にしたいですね。」

ゆうや「10年続けてきたのはすごいことだと思うので、1年中、忘年会みたいな(笑)。自分たちへのご褒美の年になったらなと。」

取材:山本弘子

(OKMusic)


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