2014-01-20

【ZEPPET STORE】初期衝動から芽生えた刺激が導く次なる進化

 イギリスのアンダーグラウンドな匂いを感じさせる多彩な楽曲に定評のあるZEPPET STOREが、現在の5人編成となって2作目となるアルバム『SPICE』をリリース。独特の音像をさらに突き詰めた、新たなマスターピースに確かな個性が息づいている。

──ZEPPET STOREはいかなるバンドなのか、初めて知る人に分かりやすいキーワードを何か挙げるとしたら?

木村「最初に五味誠と木村世治が、雑誌のメンバー募集で知り合うんですけど、その時はニューウェイブや…その頃はまだシューゲイザーという言葉はなくて、ザ・スミスとかエコー&ザ・バニーメンとかっていうニューウェイブ以降のものやネオアコっぽいものが入ったり。UK全般のちょっとアンダーグラウンドの要素を含んだものをキーワードに集まってるんですよ。そこからどんどんノイズのほうに興味が沸いて、お互いに一緒に聴いてたクリエーション・レーベルのものに傾倒していくんですね。ただ、それでZEPPET STOREを表せるかというと(笑)、またちょっと複雑な感じでね。」

──五味さんはその後に脱退もしてますからね。

木村「そう。そして、今度はバネ(赤羽根)の要素が入ってくる。ちょうど英語から日本語にシフトしていく時期でもあったので、また音楽性も変わってくるんですよね。例えば、もうちょっと70年代っぽいフレーズだったり、リフが多用されてきたりして。」

五味「何か骨太な印象になっていったよね。」

赤羽根「まこっちゃん(五味)がいた頃は、もっとフワーッとした音像に聴こえてたんですよ。それがなくなったのかもしれないですね。ギターの音にしても、ポンっていくのと、ザワーっといくのとの違いもあったと思いますし。それでも時期によってまた音楽性も若干変わってきてますからね。」

──しかしながら、ZEPPET STOREらしさと言われるものが確実にある。だからこそ、5人編成で再始動した点が興味深いですよね。あるタイミングでギタリストが五味さんから赤羽根さんに交替し、音像にも変化が表れた自覚が当時からありながら、その異なるふたつを合わせてしまったという。

木村「まさにその通り。今言ったキーワードが全部詰まっているのが、今回のアルバムを含めた復活後の2枚ですよね。」

──では、前作『SHAPE 5』はどう振り返りますか?

五味「やっぱり、僕以外のみんなも久々にr集まったこともあるだろうし、俺からするとバネと初めて一緒に作るアルバムだったし、その意味で、計算しないで出来上がった、初期衝動みたいなものが詰まったアルバムだった気はしますね。」

赤羽根「一番の新鮮味はやっぱりまこっちゃんと一緒にやる部分だったんですけど、相手からどんなものが出てくるか、それが楽しみでしたね。実際に対照的だと思っていたふたりが意外なところで一致していたりもして。」

木村「曲作りはいつもと変わらず、それぞれと一緒にやってた頃と同じやり方だったんですよ。何かアイデアがあれば、スタジオで詰めていって。ただ、今回はスタジオで作り上げたのが、ヘタしたら6割ぐらいのものなんですね。それがレコーディングの場でのギタリスト同士のやりとりで…五味はエンジニアも兼ねているので、そこでふたりの世界が色濃く入ってきて、6が倍ぐらいになるんですよ。それが過去のZEPPET STOREとは違うところでしたね。だから、そういう成り立ち方からすれば、言い方はちょっと変ですけど、ギターアルバムの2枚かなという印象がありますね。」

──では、今回の『SPICE』に向けてはどんな話し合いがなされたのでしょうか? 先ほど初期衝動という言葉が出ましたが、前作はこの5人で初めて作る面白味を探りながらかたちになっていったんだと思うんです。そこで自分たちができることが明確になった。それを踏まえての新作になりますよね。

五味「前回のプリプロは、全員で集まって“せーの!”で音を出すような、スタートラインがその日みたいな作り方だったんだけど、今回はみんなでまず自分のデモを持ち寄ろうと。ZEPPET STOREを結成した頃みたいに、さらにバンドの原点に帰ったようなところがあるんですね。レコーディングは、前回は初期衝動で全員が乗せたものに対して、最終的に俺がバランスをとったんですけど、今回はもう一歩チャレンジして、かなり曲によって攻め方を決めて、一曲一曲のアプローチをもうちょっと鮮明にしていったんですよ。」

木村「だから、前回よりも作曲者のカラーが出ているし、さらにそれをギタリストのふたりがアイデアを出して、方向性を決めて突き進むという感じなので、一曲一曲の個性がより出てますよね。」

赤羽根「リズムを録った時点で、もう預けてもらった気分なんですよ、ギタリストとしては。これをどの方向に料理してもいいでしょう、みたいな感覚で作ってたんで、それこそアプローチが全然変わっちゃった曲もありますし。」

五味「ふたりで顔を見合わせながら、“ほんとにいいよね?”“怒られないよね?”なんて言いながら(笑)。」

木村「そう、作曲者の意向を無視して、アレンジというよりリミックスに近いことをふたりでやっててね(笑)。「夜に這う」なんて特にそうだったよね。どれだけ変わったか、デモをボーナストラックに入れたいぐらいですよ(笑)。」

赤羽根「つまらないところはつまらないって、やっぱ正直に思っちゃうんですよ。だから、そこはダビングの時にアレンジから構築し直すこともありました。中には、デモを忠実に再現しているものもありますね。」

五味「「無情な世界」「SELFISH」とかはそうだね。」

──いずれにせよバリエーションは多彩ですよね。ミュージックビデオも制作された、まさにZEPPET STOREと言いたくなる「DELIGHT」から始まりながら、楽曲が進むにつれて、常に二転三転していくような印象もありますし。ところで、アルバムタイトルの由来に関しては?

木村「ずっと悩んでたんですけど、ワンワードで、ちょっと刺激があるといったニュアンスのものを入れようと思っていたら、“SPICE”という言葉が浮かんできたんですね。料理でもスパイスをひとつ加えるだけで、だいぶ変化するじゃないですか。その象徴みたいなアルバムでもありますしね。」

取材:土屋京輔

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